『宅建業者・賃貸不動産管理業者のための 民法改正(債権法)改正における実務ポイント 江口正夫・著 大成出版社』
先日、TAKKYOが開催している登録実務講習に参加した際、講師の神田先生という方が民法改正についてわかりやすくまとめてある本を紹介してくれました。
神田先生の授業は、私は非常に楽しく受講させていただきました。特に先生が、自身の実務の中で経験された「トンデモお客」に関する体験談が良かったです。登録実務講習に関しては、他のページでまとめています。ご興味があればこちらを参考にしてください。
さて、神田先生が紹介してくれたこの本は、建築業を生業とする人でも理解しやすく、ボリュームも多すぎないので非常におすすめです。大まかな内容は以下になると思いますが、ぜひ一度目を通すことを推奨します。
改正民法-いつから適用されるの?
原則として施工期日(2020年4月1日)以降に発生した債権から適用されます。注意点は、改正民法の施工期日以降に発生した債権であっても、その原因である法律行為(契約等)が施行日前にされたときは改正前民法が適用されると定められていることです。(改正民法附則第10条、同17条)
建築業上の影響-職業別短期消滅時効の廃止
改正前民法では、職業別に特別の短期消滅時効が定められています。改正民法では職業別短期消滅時効の規定は削除され、いずれも「権利を行使できる時から10年、権利を行使できることを知った時から5年」の規定が適用されます。
改正前 | 改正後 | |
時効の起算点 | 工事終了日 | 権利を行使できる時、権利を行使できることを知った時 |
時効期間 | 3年 | 権利を行使できる時から10年、権利を行使できることを知った時から5年 |
瑕疵担保責任から契約不適合責任へ
改正前民法:瑕疵担保責任として売主の損害賠償義務は無過失責任
改正民法:契約不適合責任=債務不履行責任となり、売主の責めに帰すべき事由が認められることが要件となる
契約の解除における違い
改正前民法:隠れた瑕疵に対して、原則は損害賠償であって、契約の解除は買主がその瑕疵を知らず、かつ、そのために契約した目的を達することができない場合に限られる
改正民法:契約不適合責任に基づく契約解除は、債務不履行による解除と同様に処理される
まとめ
法律に関しても学ぶべきことが多いです。一般人には理解できないことも多いと感じます。具体的な紛争になった、あるいは紛争を避けたい場合は専門家に相談すべきでしょう!
専門家に相談するといっても、まったく知識がない状態では、そもそも何を相談すべきかわかりません。民法改正とはどんな内容か、大まかにでも把握しておきたいという方や、具体的に何が変わったのかを把握しておきたい方はこの本を読んで損はないと思います。