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【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.9)中性化

コンクリート診断士 問題と解説Vol.9

音声学習用動画のご紹介

 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問41_中性化】

 普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの中性化(炭酸化)に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものの個数はいくつか
①コンクリートが中性化(炭酸化)すると収縮する。
②中性化(炭酸化)した部分のコンクリートは、弱アルカリ性を示す。
③水セメント比と中性化(炭酸化)速度との間には相関性はない。
④中性化(炭酸化)することにより、コンクリートの圧縮強度は低下する。
(1)1個
(2)2個
(3)3個
(4)4個
クリックで【問題41】の解答と解説をみる

正解(2)

①問題のとおりです。コンクリートの収縮は、乾燥収縮、自己収縮および炭酸化収縮を含みます。
②問題のとおりです。中性化した部分は、pHが10程度の弱アルカリ性を示します。
③誤りです。水セメント比が小さいほど、密実なコンクリートとなり、中性化速度は遅くなります。
④誤りです。中性化(炭酸化)により、毛細空隙が炭酸カルシウムにより閉塞されるため、圧縮強度は低下しません。

【問42_中性化】

 コンクリートの中性化の進行に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)海砂を用いたコンクリートは、塩化物中のナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属の存在によって、中性化の進行は遅くなる。
(2)相対湿度80%の雰囲気中におかれたコンクリートは、相対湿度50%中におかれた場合よりも中性化の進行は遅くなる。
(3)水セメント比および単位セメント量が同一の場合、高炉セメントを用いたコンクリートと普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの中性化の進行速度は同程度である。
(4)コンクリートが乾燥状態にあるとき、通気性の大きい骨材を用いたコンクリートの中性化の進行速度は、通気性の小さい骨材を用いた場合と同程度である。
クリックで【問題42】の解答と解説をみる

正解(2)

(1)誤りです。細孔溶液中のイオンの大部分はナトリウムイオンとカリウムイオンで、それらが多く細孔溶液中に溶解している場合に、高アルカリ環境下となります。これらのアルカリイオンも、炭酸イオンと反応して、炭酸アルカリを生成しますが、溶解度が非常に大きいため、再び細孔溶液に炭酸イオンが溶解し、溶解度の小さい炭酸カルシウムがどんどん生成されていきます。炭酸カルシウムがどんどん生成されていくことで、細孔溶液中のカルシウムイオン濃度が低くなり、水酸化カルシウムが溶解しやすい環境となってしまうということです。つまり、高アルカリ環境下では、炭酸カルシウムの生成が進み、水酸化カルシウムのカルシウムイオンの消費が進むため、中性化が進行しやすくなります。
(2)問題のとおりです。湿度が50~60%で、コンクリート中での二酸化炭素の拡散係数が大きくなり、中性化速度は速くなります。
(3)誤りです。細孔溶液のpHが高いほど、中性化の進行は抑制されます。通常、細孔溶液のpHは12から13の高アルカリ性です。この、高いアルカリ性を保つ役割を果たすのが水酸化カルシウムです。混合セメントは混和材として、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフュームが用いられます。これらの混和剤は、水酸化カルシウムと反応し、水和を起こします。そのため、水酸化カルシウムが消費されることにより、細孔溶液中のpHが低くなり、中性化の抑制に対して不利になります。一方で、混和材の水和反応により、コンクリートの組織が緻密化することで、二酸化炭素の侵入が抑制されるため、中性化進行の低減に有効となります。つまり、混和材の使用は、有利な点と不利な点を総合すると、混和材を使用していない普通セメントに比べて、中性化の進行に及ぼす影響は同等か、不利になるということになります。
(4)誤りです。通気性の大きい骨材を使用すると、コンクリート内部へ炭酸ガス(二酸化炭素)が侵入しやすくなるため、中性化進行速度が速くなります。

【問43_中性化】

 水セメント比が同じコンクリートの中性化に関する記述中の(A)~(C)に当てはまる語句として、次の組合せのうち、適当なものはどれか
・コンクリートの含水率が3%以上では含水率が大きいほど、中性化の進行が(A)
・セメントの水和度が大きいほど、中性化の進行が(B)
・高炉セメントB種を用いた場合の方が、普通ポルトランドセメントを用いた場合よりも、中性化の進行が(C)
(A) (B) (C)
(1) 遅い 速い 速い
(2) 速い 遅い 遅い
(3) 遅い 遅い 速い
(4) 速い 速い 遅い
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正解(3)

(A)大気中の二酸化炭素は、コンクリートの空隙内に拡散することによって侵入します。空隙内に拡散した二酸化炭素が、細孔溶液中に溶解し、コンクリート内部の水和物との反応により、コンクリート内部の中性化が起こります。このため、中性化には適度な湿度が必要ということになります。含水率が3%よりも高い場合、コンクリートの空隙が水分で満たされた状態となり、二酸化炭素の内部への拡散が起きにくい状態になります。そのため、中性化が進行しにくくなります。
(B)水和反応により、コンクリートの組織が緻密化することで、二酸化炭素の侵入が抑制されるため、中性化進行の低減に有効となります。
(C)高炉セメントは、水酸化カルシウムと反応し、水和を起こします。そのため、水酸化カルシウムが消費されることにより、細孔溶液中のpHが低くなり、中性化の抑制に対して不利になります。

【問44_中性化】

コンクリートの中性化速度に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)空気中の炭酸ガスが2倍になれば、中性化速度は2倍になる。
(2)相対湿度が同じ場合、湿度が20~30℃程度で中性化速度は最も大きい。
(3)使用しているセメントのアルカリ含有量が多いほうが、中性化速度は大きい。
(4)混和材を普通ポルトランドセメントに30%置換する場合、高炉スラグ微粉末を用いた場合のほうがフライアッシュを用いた場合より、中性化速度は大きい。
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正解(3)

(1)誤りです。中性化速度はルートt則と言われるように、係数αと経過年数tの平方根で表されます。炭酸ガス濃度が2倍になった場合は、中性化速度はルート2倍になります。
(2)誤りです。中性化速度は、40~50℃程度で最も速くなります。
(3)問題のとおりです。使用しているセメントのアルカリ含有量が多いほうが、中性化速度は大きくなります。高アルカリ環境下では、炭酸カルシウムの生成が進み、水酸化カルシウムのカルシウムイオンの消費が進むため、中性化が進行しやすくなります。
(4)誤りです。フライアッシュのほうが高炉スラグ微粉末よりも、中性化速度は速くなります。

【問45_中性化】

 普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの中性化に関する次の(1)~(4)のうち、適当なものはどれか
(1)中性化深さは、時間の2乗に比例する。
(2)空意中の炭酸ガス濃度が2倍になると、中性化速度係数は2倍になる。
(3)促進中性化試験では、セメント硬化体中の全細孔量は炭酸化反応の進行により減少する。
(4)中性化速度係数は、相対湿度60%のときより相対湿度90%のときのほうが大きい。
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正解(3)

(1)誤りです。中性化速度はルートt則と言われるように、係数αと経過年数tの平方根に比例します。
(2)誤りです。炭酸ガス濃度が2倍になった場合は、中性化速度はルート2倍になります。
(3)問題のとおりです。炭酸化により、細孔が炭酸カルシウムで満たされるため、全細孔量は減少します。
(4)誤りです。湿度が50~60%で、コンクリート中での二酸化炭素の拡散係数が大きくなり、中性化速度は速くなります。大気中の二酸化炭素は、コンクリートの空隙内に拡散することによって侵入します。空隙内に拡散した二酸化炭素が、細孔溶液中に溶解し、コンクリート内部の水和物との反応により、コンクリート内部の中性化が起こります。このため、中性化には適度な湿度が必要ということになります。相対湿度が低く、コンクリートが乾燥状態にあり、細孔溶液が少ない場合には、中性化が進行しにくくなります。逆に、相対湿度が高い場合、コンクリートの空隙が水分で満たされた状態となり、二酸化炭素の内部への拡散が起きにくい状態になります。そのため、中性化が進行しにくくなります。
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