コンクリート診断士 問題と解説Vol.19
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このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【問91_凍害】
普通コンクリートの凍害に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)コンクリートの飽水度が80%以下の場合、凍害が生じにくい。
(2)吸水率が5%以上の粗骨材を用いると、凍害が生じやすい。
(3)凍結防止剤を散布すると、スケーリングが生じやすい。
(4)同一空気量のコンクリートの耐凍害性は、気泡径の分布によらず同程度である。
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正解(4)
(1)問題のとおりです。飽水度とは、全空隙量に対する、含水量の比です。AE剤を用いないコンクリートでは飽水度が80%以下、AE剤を用いたコンクリートでは飽水度が90%以下で、凍害が生じにくくなります。
(2)問題のとおりです。粗骨材の吸水率は5%以上で凍害が生じやすくなります。JISでは、粗骨材の吸水率は3.0%以下とすることが規定されています。その他のJIS規格値について、参考のために以下の表に示します。
<JIS A 5308 付属書1 レディーミクスト用コンクリート骨材>
項目 | 粗骨材 | 細骨材 |
---|---|---|
絶乾密度 g/cm3 | 2.5以上 | 2.5以上 |
吸水率 % | 3.0以下 | 3.5以下 |
微粒分量 % | 1.0以下 | 3.0以下 |
安定性損失 % | 12以下 | 10以下 |
塩化物量(NaCL) % | – | 0.04以下 |
(3)問題のとおりです。凍結防止剤を散布すると、塩害が生じやすくなります。凍害と塩害の複合劣化により、スケーリングは起こりやすくなります。
(4)誤りです。気泡間隔係数は、200~250μm以下で、耐凍害性を有します。
【問92_凍害】
コンクリート構造物の凍害に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)気泡間隔係数が500μmのコンクリートより、200μmのコンクリートのほうが凍害を受けやすい。
(2)外壁面より、ひさしなどの突出部のほうが凍害を受けやすい。
(3)コンクリート表面のポップアウトの原因を調査するため、使用骨材の吸水率を測定した。
(4)凍害を受けている部分の劣化程度を評価するため、スケーリング深さを測定した。
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正解(1)
(1)誤りです。気泡間隔係数は、200~250μm以下で、耐凍害性を有します。
(2)問題のとおりです。ベランダ、ひさし、パラペットなどの突出部は水が溜まりやすく、日射の影響を受けやすいため、凍害を受けやすくなります。
(3)問題のとおりです。骨材の吸水率が大きいほど、凍害によるポップアウト現象は生じやすくなります。
(4)問題のとおりです。スケーリングは、セメントペースト部で生じる表面はく離です。その深さを測定することで、凍害の劣化程度を評価します。
【問93_凍害】
コンクリートの凍害に関する次の記述中の(A)~(C)にあてはまる語句の(1)~(4)の組合せのうち、適当なものはどれか。
外気温の効果に伴って、コンクリート中では(A)細孔中の水から凍結し始め、続いて(B)細孔中の水が凍結する。水圧説では、これらの細孔中の未凍結水による水圧が凍害の主因とされている。この圧力はコンクリート中の空隙の分布状況に影響され、その評価指標として用いられるのが(C)である。
(A) | (B) | (C) | |
(1) | 径の大きい | 径の小さい | 気泡間隔係数 |
(2) | 表面近傍の | より深部の | 動弾性係数 |
(3) | 径の小さい | 径の大きい | 動弾性係数 |
(4) | 深部の | より表面側の | 気泡間隔係数 |
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正解(1)
気泡間隔係数が200~250μm以下で耐凍害性を有するとされてます。ここで、AE剤を用いたコンクリートは、25~250μmの微細な空気泡を連行するため、耐凍害性を有します。
【問94_凍害】
寒冷地のコンクリート構造物表面に生じたポップアウトの原因が、凍害であることを特定するための調査項目として、次の(1)~(4)のうち、最も有効なものはどれか。
(1)使用骨材の粗粒率
(2)使用骨材の吸水率
(3)コンクリートの気泡間隔係数
(4)コンクリートの弾性係数
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正解(2)
ポップアウトは、骨材の吸水率に起因する現象です。
【問95_化学的腐食】
コンクリートの化学的腐食に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)下水道中では、硫黄酸化細菌によって、コンクリート中にエトリンガイトが生成される。
(2)酸によるコンクリートの浸食深さは、時間の二乗に比例する。
(3)遊離脂肪酸を含む油類は、コンクリートを侵食する。
(4)硫化水素(H2S)は、コンクリートを浸食しない。
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正解(3)
(1)誤りです。下水道中の化学的浸食は、嫌気性細菌によって硫化水素が生成され、その硫化水素と、好気性細菌のはたらきによって硫酸が生成されます。生成された硫酸が、セメント水和物の水酸化カルシウムと反応し、二水せっこうが生成され、その二水せっこうが脱落することで生じます。
(2)誤りです。中性化と同様に、酸による浸食深さは時間の平方根に比例します。
(3)問題のとおりです。コンクリートは動植物油により劣化するといわれています。動植物油に少量含まれる、遊離脂肪酸は、酸として直接コンクリートを侵食します。浸食は、遊離脂肪酸と水酸化カルシウムが反応し、脂肪酸のカルシウム塩が生成され、脂肪酸カルシウム塩が膨張することにより生じます。
(4)誤りです。硫化水素と、好気性細菌のはたらきによって硫酸が生成されます。生成された硫酸が、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応し、二水せっこうが生成され、その二水せっこうが脱落することでコンクリートの浸食が生じます。