コンクリート診断士 問題と解説Vol.2-18
このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【No.86】
コンクリート中の鋼材腐食に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)コンクリート中の鉄筋が腐食する際,アノード反応およびカソード反応を起こす。
(2)鋼材の腐食進行は,鋼材表面の不動態被膜が塩化物イオンにより破壊され,腐食反応を起こすことである。
(3)アノード反応は,不動態被膜が破壊され,鉄イオンが細孔溶液中に溶け出す。
(4)カソード反応は,電子がコンクリート中の二酸化炭素および水と反応して水酸化物イオンを生成する。
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正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。コンクリート中の鉄筋が腐食する際,アノード反応およびカソード反応を起こします。
(2)○正しい。鋼材の腐食進行は,鋼材表面の不動態被膜が塩化物イオンにより破壊され,腐食反応を起こすことです。
(3)○正しい。アノード反応は,不動態被膜が破壊され,鉄イオンが細孔溶液中に溶け出します。
(4)×誤り。カソード反応は,電子がコンクリート中の酸素および水と反応して水酸化物イオンを生成します。
【No.87】
コンクリートのアルカリシリカ反応に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)プレストレスで拘束された部材では,高速方向のひび割れが卓越する。
(2)細孔溶液中の水酸化物イオン濃度が高いほど,コンクリートの膨張量が大きくなる。
(3)モルタルバー法で無害と判定された骨材尾を用いても,アルカリシリカ反応によるひび割れが発生する場合がある。
(4)反応性鉱物を含む骨材と含まない骨材を混合して使用する場合,反応性鉱物を含む骨材の混合割合とコンクリートの膨張量とは比例関係にある。
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正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。プレストレスで拘束されたり,軸方向鉄筋量が多いコンクリート部材では,部材軸方向のひび割れが発生しやすいです。
(2)○正しい。細孔溶液中の水酸化物イオン濃度が高いと,アルカリシリカ反応が促進され,コンクリートの膨張量も大きくなります。
(3)○正しい。モルタルバー法による判定法は時間がかかり,特別な骨材によっては,非常に緩やかに進行し,現行のモルタルバー法による判定においてもアルカリシリカ反応によるひび割れが発生する場合があります。
(4)×誤り。アルカリシリカ反応による膨張は,反応性骨材の量とともに増大しますが,反応成分の割合がある含有量以上において膨張量が減少する傾向を示します。この時の含有量をペシマム量といいます。
【No.88】
アルカリシリカ反応に起因する鉄筋コンクリート部材のひび割れや膨張に関する記述として,次のうち適当なものはどれか。
(1)主鉄筋に沿った方向よりも,主鉄筋の直行する方向に,ひび割れは生じやすい。
(2)雨がかりのある部位のほうが,雨がかりにない部位よりも,ひび割れは生じやすい。
(3)反応性骨材の含有量に比例して,膨張量は大きくなる。
(4)フライアッシュセメントA種を用いた場合より,C種を用いた場合のほうが,膨張量は大きくなる。
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正解は(2)
【解説】
(1)×誤り。主鉄筋の直行する方向よりも,主鉄筋に沿った方向に,ひび割れは生じやすいです。
(2)○正しい。アルカリシリカ反応では,水分の供給の影響が大きく,雨がかりのある部位のほうが,雨がかりのない部位よりも,ひび割れは生じやすいです。
(3)×誤り。反応性骨材の含有量に比例して,膨張量は大きくなりますが,反応成分の割合が一定値を超えると,膨張量が減少する傾向を示します。
(4)×誤り。フライアッシュセメントA種を用いた場合より,C種を用いた場合の方が,膨張量は小さくなり,アルカリシリカ反応抑制効果があります。C種のほうがフライアッシュセメントの割合が大きく,pHが小さくなるためです。
【No.89】
コンクリートの凍害に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)外気温の低下に伴って,コンクリート中では,径の小さい細孔中の水から凍結し始める。
(2)水圧説では,細孔中の未凍結水による水圧が凍害の要因とされている。
(3)水圧説による細孔中の未凍結水による圧力は,コンクリート中の空隙の分布状況に影響されない。
(4)気泡間隔係数が小さいと隣り合う気泡間の距離が近くなり,耐凍害性が期待でき,一般的には気泡間隔係数を200マイクロメートル以下とすることが望ましい。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。外気温の低下に伴って,コンクリート中では,径の小さい細孔中の水から凍結し始める。
(2)○正しい。水圧説では,細孔中の未凍結水による水圧が凍害の要因とされています。
(3)×誤り。水圧説による細孔中の未凍結水による圧力は,コンクリート中の空隙の分布状況に影響されます。
(4)○正しい。気泡間隔係数が小さいと隣り合う気泡間の距離が近くなり,耐凍害性が期待でき,一般的には気泡間隔係数を200マイクロメートル以下とすることが望ましいです。
【No.90】
コンクリートの硫酸による化学的浸食に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)硫酸浸食においては,セメント中の水酸化カルシウムと硫酸が反応して,コンクリート表面に二水せっこうを生成する。
(2)硫酸浸食において,表面に生成した二水せっこうはセメントクリンカーのアルミン酸三カルシウムと反応し,エトリンガイトを生成して膨張を引き起こす。
(3)普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートでは,水セメント比が小さいコンクリートのほうが組織が緻密であるため,硫酸による浸食を受けにくい。
(4)普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートでは,硫酸の場合,水セメント比が小さいと劣化の進行が速い傾向にある。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。硫酸浸食においては,セメント中の水酸化カルシウムと硫酸が反応して,コンクリート表面に二水せっこうを生成します。
(2)○正しい。硫酸浸食において,表面に生成した二水せっこうはセメントクリンカーのアルミン酸三カルシウムと反応し,エトリンガイトを生成して膨張を引き起こします。
(3)×誤り。普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートでは,水セメント比が小さいコンクリートのほうがアルカリ分が多く,硫酸による浸食を受けやすいです。
(4)○正しい。普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートでは,硫酸の場合,水セメント比が小さいと劣化の進行が速い傾向にあります。