WES試験対策(1級) 問題と解説 No.1~5
このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【No.1】 アーク溶接の用語と基本
アーク溶接の用語と基本に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)アーク溶接では、アークを発生させるための電源を必要とする。
(2)アーク溶接は、アーク熱を利用して、母材の接合部を加熱、溶融することによって接合する手法である。
(3)ティグ溶接は、アーク溶接には分類されない。
(4)シールドガスは、溶接部を大気から遮断し、酸化や窒化を防ぐ役割がある。
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誤っている選択肢は (3)
【解説】
(1)正しい。アークは、電流を流し、母材と溶接棒などを接触させたときに発生する、気体中の放電現象である、アーク放電です。
(2)正しい。アーク溶接は、アーク熱を利用して、母材の接合部を加熱、溶融することによって、母材の溶融金属あるいは母材と溶加材を融合させた溶融金属を生成し、それらの溶融金属を凝固させて接合する手法です。
(3)誤り。ティグ溶接は、融点が高く、アーク熱で溶けにくいタングステン電極を用いたアーク溶接で、アークの安定性に優れます。ティグとは、タングステン、イナートガスの略です。イナートガスとは、不活性ガスで、ティグ溶接では、シールドガスとして、アルゴンガスやヘリウムガスが用いられます。
(4)正しい。シールドガスは、溶接部を大気から遮断し、酸化や窒化を防ぐ役割があります。
【No.2】 アーク溶接の種類
アーク溶接の種類に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)アプセット溶接は、アーク溶接に分類される。
(2)ミグ溶接は、アーク溶接に分類される。
(3)フラッシュ溶接は、アーク溶接に分類される。
(4)マグ溶接には、シールドガスとして、100%アルゴンが用いられる。
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誤っている選択肢は (1)、(3)、(4)
【解説】
(1)誤り。アプセット溶接は、アーク溶接ではなく、抵抗溶接の一種です。アプセット溶接とは、金属材料の端面同士を突き合わせて圧力を加えながら電流を流し、電気抵抗によって生じる熱で接合する抵抗溶接の一種です。突き合わせた金属の端面に圧力を加えながら電流を流すと、電気抵抗によって熱が発生します。この熱で金属が溶融し、圧力を加えることで接合されます。
(2)正しい。ミグ溶接は、ソリッドワイヤと呼ばれる、金属のワイヤを電極に用いたアーク溶接で、ワイヤと母材を同時に溶かしながら溶接します。ミグとは、メタル、イナートガスの略です。ミグ溶接は、電極が溶ける消耗電極式の溶接で、針金状の溶接ワイヤをトーチの先端部に供給しながら溶接を行います。
(3)誤り。フラッシュ溶接とは、接合する金属同士を軽く接触させた状態で電気を流し、発生するジュール熱で金属を溶融させて接合する抵抗溶接の一種です。
(4)誤り。マグ溶接のマグとは、メタル、アクティブガスの略です。アクティブガスとは、活性ガスで、マグ溶接では、シールドガスとして、炭酸ガス、またはアルゴンと炭酸ガスの混合ガスが使用されます。なお、混合ガスには、アークの指向性、溶接移行の円滑さ、ビード表面形状の美麗さなどの観点から、20%前後の炭酸を混合したガスが多く使われます。
【No.3】 アーク溶接の種類
アーク溶接の種類に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)サブマージアーク溶接は、大気からの遮蔽にフラックスを利用する溶接法である。
(2)プラズマアーク溶接は、電極と母材との間でアーク放電をさせる非消耗式溶接法である。
(3)エレクトロガスアーク溶接は、大気からの遮蔽にフラックスを利用する溶接法である。
(4)ティグ溶接は、融点が高く、アーク熱で溶けにくいタングステン電極を用いたアーク溶接で、アークの安定性に優れる。
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誤っている選択肢は (3)
【解説】
(1)正しい。サブマージアーク溶接は、アーク溶接の一種で、粒状のフラックスでアークを覆いながら行う溶接方法です。アークがフラックスに覆われているため、外からは見えない状態で行われます。フラックスとは、溶接時に母材や溶接金属の酸化を防止し、溶接部の品質を高めるために使用される化学薬剤です。サブマージとは、下に沈めるという意味で、フラックス中に溶接部を沈ませていることがサブマージアーク溶接の語源のようです。
(2)正しい。プラズマアーク溶接は、ティグ溶接と同様に、アーク熱で溶けにくいタングステン電極を用いる、電極と母材との間でアーク放電をさせる非消耗式溶接法です。プラズマアーク溶接は、ティグ溶接と異なり、水冷ノズル内にプラズマガスを流し、電極と母材間でアークを極限まで狭窄して得られる、エネルギー密度の高いアーク熱源を用います。
(3)誤り。エレクトロガスアーク溶接は、厚板を立て向き姿勢で高能率かつ安定した溶け込みによって溶接するために開発された、消耗電極式の溶接法です。シールドガスには炭酸ガスを用いることが多いのですが、アルゴンのみを用いたりアルゴンに炭酸ガスまたは酸素を混合したガスや、アルゴンにヘリウムを混合したガスも用いられます。
(4)正しい。ティグ溶接は、融点が高く、アーク熱で溶けにくいタングステン電極を用いたアーク溶接で、アークの安定性に優れます。ティグとは、タングステン、イナートガスの略です。イナートガスとは、不活性ガスで、ティグ溶接では、シールドガスとして、アルゴンガスやヘリウムガスが用いられます。
【No.4】 アーク溶接の種類
アーク溶接の種類に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)被覆アーク溶接は、非溶極式溶接法である。
(2)プラズマアーク溶接は、非溶極式溶接法である。
(3)エレクトロスラグ溶接は、非溶極式溶接法である。
(4)セルフシールドアーク溶接は、非溶極式溶接法である。
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誤っている選択肢は (1)、(3)、(4)
【解説】
(1)誤り。被覆アーク溶接は、溶極式アーク溶接の一種です。母材と同材質の金属棒を電極とし、金属棒を消耗する溶接法です。
(2)正しい。プラズマアーク溶接は、ティグ溶接と同様に、アーク熱で溶けにくいタングステン電極を用いる、電極と母材との間でアーク放電をさせる非消耗式溶接法です。プラズマアーク溶接は、ティグ溶接と異なり、水冷ノズル内にプラズマガスを流し、電極と母材間でアークを極限まで狭窄して得られる、エネルギー密度の高いアーク熱源を用います。
(3)誤り。エレクトロスラグ溶接は、溶融スラグと溶融金属とが、溶接部からあふれ出ないように囲み、溶融スラグ内に通電した溶接ワイヤを連続して供給し、スラグの抵抗発熱で溶接を行う、溶極式溶接法です。
(4)誤り。セルフシールドアーク溶接は、溶極式溶接法の一種で、ティグ溶接やミグ溶接、マグ溶接などに代表されるガスシールドアーク溶接とは異なり、アークや溶着金属を大気から遮へいするためのシールドガスを外部から供給しないで行うアーク溶接のことです。
セルフシールドアーク溶接は、外部からシールドガスを供給しないかわりに、フラックス入りワイヤを用います。フラックス入りワイヤとは、管状になっていて、金属外皮の内部にアーク安定剤、脱酸剤、スラグ形成剤、金属粉末などが充てんされている溶接ワイヤです。内包したフラックスがアーク熱に反応してシールドガスを発生させます
セルフシールドアーク溶接は、外部からシールドガスを供給しないかわりに、フラックス入りワイヤを用います。フラックス入りワイヤとは、管状になっていて、金属外皮の内部にアーク安定剤、脱酸剤、スラグ形成剤、金属粉末などが充てんされている溶接ワイヤです。内包したフラックスがアーク熱に反応してシールドガスを発生させます
【No.5】 ティグ溶接の基本
ティグ溶接の基本に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)アルミニウム合金のティグ溶接では、交流定電流特性電源を用いる。
(2)アルミニウム合金のティグ溶接では、シールドガスに窒素を用いる。
(3)アルミニウム合金のティグ溶接では、クリーニング作用を利用する。
(4)アルミニウム合金のティグ溶接では、作動ガスが必要である。
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誤っている選択肢は (1)、(2)、(4)
【解説】
(1)誤り。ティグ溶接には直流、交流があります。ティグ溶接の直流とは、標準的で安価な溶接方法で、アルミニウムやマグネシウムなどの活性金属以外のほとんどすべての金属の溶接に適用できます。ティグ溶接の交流は、アルミニウムやマグネシウム合金などの溶接で主に使用されます。アルミニウムやマグネシウム合金の場合のみ交流を使い溶接を行う理由は、アルミニウムやマグネシウムの表面にできる酸化皮膜を除去する必要があるため、母材側を陰極にして、アークのクリーニング作用を利用する必要があるからです。
(2)誤り。アルミニウムは二酸化炭素と反応してしまうため、シールドガスにはアルゴンやヘリウム、またこれらの混合ガスが使用されます。
(3)正しい。ティグ溶接の交流は、アルミニウムやマグネシウム合金などの溶接で主に使用されます。交流で溶接を行う理由は、アルミニウムやマグネシウムは酸化しやすく、表面にできる酸化皮膜を除去する必要があるため、母材側を陰極にして、アークのクリーニング作用を利用する必要があるからです。
(4)誤り。作動ガスは、プラズマアーク溶接及びプラズマ切断において、トーチに供給されてプラズマアークとなるガスのことを指します。