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WES試験対策(1級) 問題と解説 No.21~25

WES試験対策(1級) 問題と解説 No.21~25

 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【No.21】 突き合わせ溶接

突き合わせ溶接に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)突き合わせ溶接継手のぜい性破壊強度を低下させる要因として、引張残留応力が挙げられる。
(2)突き合わせ溶接継手のぜい性破壊強度を低下させる要因として、引応力集中部が挙げられる。
(3)突き合わせ溶接継手のぜい性破壊強度を低下させる要因として、溶接熱影響部におけるじん性低下が挙げられる。
(4)継手の厚さ及び外力条件は一定の場合、余盛付き突き合わせ溶接継手の疲労強度に影響する因子として、余盛止端形状が挙げられる。
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誤っている選択肢は 無し

【解説】
(1)正しい。溶接部は冷却の際に収縮しようとしますが、溶接線方向の収縮は周囲の冷たい母材部分に拘束されて応力が発生し、溶接線方向にはビード付近で引張残留応力が生じます。
(2)正しい。突き合わせ溶接における応力集中部とは、応力が局所的に高くなる領域のことです。これは、構造や形状の不連続によって生じる現象で、特に溶接部では避けがたいものです。溶接止端部の形状などによって、応力が集中しやすくなります。
(3)正しい。溶接熱影響部では、結晶粒の粗大化、組織変化、化学成分の偏りなどによって、強度が低下します。
(4)正しい。余盛止端部は形状が急変するため、応力集中が生じやすい領域です。特に繰返し荷重を受ける構造では、疲労き裂の発生源となることが多く、止端の曲率半径が小さいほど疲労強度が低下します。疲労寿命への影響として、余盛を削除して平滑に仕上げた継手は、余盛付きのものよりも疲労寿命が最大で10倍以上向上するという報告があります。これは、応力集中が緩和されるためです。

【No.22】 突き合わせ溶接

突き合わせ溶接に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)継手の厚さ及び外力条件は一定の場合、余盛付き突き合わせ溶接継手の疲労強度に影響する因子として、溶接残留応力が挙げられる。
(2)突き合わせ溶接において、母材の引張強さと継手の疲労強度の関係について、余盛がある場合、継手の疲労強度は母材の引張強さにほぼ比例して大きくなる。
(3)突き合わせ溶接において、母材の引張強さと継手の疲労強度の関係について、余盛がない場合、継手の疲労強度は母材の引張強さにほぼ比例して大きくなる。
(4)JIS Z 3400:2013「金属材料の融接に関する品質要求事項」で規定されている、製造事業者が工事計画の初期段階において考慮するテクニカルレビューの項目に、母材の仕様及び溶接継手の諸性質がある。
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誤っている選択肢は (2)

【解説】
(1)正しい。溶接時には急速な加熱、冷却が起こるため、母材と溶接金属の間に引張または圧縮の残留応力が生じます。特に余盛止端部では形状的な応力集中に加えて、引張残留応力が重なることで疲労き裂の発生リスクが高まります。
(2)誤り。余盛付き突き合わせ溶接継手において、継手の疲労強度は母材の引張強さに必ずしも比例して向上するわけではありません。むしろ、疲労強度は余盛止端形状、溶接残留応力、溶接欠陥など複合的な因子に左右されます。例えば、高張力鋼を用いた場合、母材の引張強さは高くても、溶接熱影響部でじん性が低下し、疲労き裂が発生しやすくなる傾向があります。つまり、母材の強度が高いほど疲労強度が高くなるとは限らず、むしろ逆効果になる場合もあります。
(3)正しい。突き合わせ溶接において、母材の引張強さと継手の疲労強度の関係について、余盛がない場合、継手の疲労強度は母材の引張強さにほぼ比例して大きくなります。
(4)正しい。「金属材料の融接に関する品質要求事項」で規定されている、製造事業者が工事計画の初期段階において考慮するテクニカルレビューの項目に、母材の仕様及び溶接継手の諸性質があります。

【No.23】 突き合わせ溶接

突き合わせ溶接に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)マグ溶接の厚板の突合せ継手の初層溶接における縦割れの防止策について、なし形ビードにならないようにすることが挙げられる。
(2)板厚20mmの余盛付き平板突合せ鋼溶接の内部欠陥を検出する非破壊検査方法について、超音波探傷試験を適用する場合、垂直探傷が適している。
(3)放射線透過試験を適用する場合、透過写真上の余盛部は、母材に比べて黒く観察される。
(4)放射線透過試験を適用する場合、内部欠陥の検出上、過度な余盛が規制されている。
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誤っている選択肢は (2)、(3)

【解説】
(1)正しい。なし形ビードとは、溶接金属の断面形状が西洋なしの実のような形状になるビードのことです。特に狭い開先で深い溶け込みを行った際に形成されやすく、ビード幅に対して溶け込み深さが大きい、断面が縦長で、中央部がくびれたような形状となります。最終凝固部が中央に集中しやすく、縦割れが発生しやすくなります。
(2)誤り。余盛があると、垂直探触子を密着させることが難しく、超音波が母材に正しく入射しません。垂直探傷では、探触子と試験体表面が平滑であることが前提ですが、余盛の凹凸がそれを妨げます。斜角探傷では、超音波を欠陥面に対して垂直に入射させることができるため、
割れ、未溶着、融合不良などの面状欠陥の検出精度が高くなります
(3)誤り。放射線透過試験では、X線やγ線が試験体を透過し、裏側のフィルムに到達した放射線量に応じて濃淡が記録されます。放射線が多く透過すれば黒く、少なければ白く写ります。余盛部は厚みが増すため、放射線の透過量が減少します。余盛部は母材よりも厚くなるため、放射線がより多く減衰します。その結果、フィルムに到達する放射線量が少なくなり、濃度が低下して白っぽく見えます。
(4)正しい。余盛部では余盛高さが高くなるほど透過厚さが大きくなり、欠陥の検出精度が低下するため、過度な余盛が規制されています。

【No.24】 非破壊試験方法

非破壊試験方法に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)溶接後の目視試験の項目として、開先角度の検査が挙げられる。
(2)溶接後の目視試験の項目として、ビード形状の検査が挙げられる。
(3)余盛付き平板突合せ継手の横割れを磁粉探傷試験により検出する場合、余盛近傍の母材に磁極を配置して、溶接線に並行方向に磁化させる。
(4)磁粉探傷試験を適用できない材料として、TMCP鋼が挙げられる。
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誤っている選択肢は (1)、(4)

【解説】
(1)誤り。開先角度の検査は、溶接前に行う項目です。
(2)正しい。ビード形状は溶接後の目視試験において、最も重要な検査項目のひとつです。目視試験で確認される主なビード形状のポイントとして、適正な余盛があるか、高さが母材厚さの4~5%程度に収まっているか、ビードの均一性、端部の形状、表面欠陥の有無などが挙げられます。
(3)正しい。余盛付き平板突合せ継手の横割れ(板厚方向に垂直な割れ)を磁粉探傷試験(MT)で検出するには、欠陥面に垂直な磁束を形成する必要があるため、磁化方向は溶接線に並行が望ましいです。横割れは、溶接線と直交する方向(板厚方向)に伸びる面状欠陥です。欠陥に対して磁束が垂直に交差することで、漏洩磁束が発生し、磁粉が集まりやすくなります。したがって、磁化方向は溶接線に並行(欠陥に垂直)が理想的です。また、余盛部は形状が不均一で、磁極を直接配置すると磁束が乱れる可能性があります。そのため、余盛近傍の母材に磁極を配置することで、均一な磁束を溶接部に流すことができます。
(4)誤り。TMCPとは「サーモメカニカル、コントロールプロセス(熱機械制御加工)」の略です。TMCP鋼は、熱機械制御処理によって強度や靭性を高めた鋼材ですが、基本的には鉄を主成分とする強磁性体です。磁粉探傷試験は、強磁性体にのみ適用可能であり、TMCP鋼はこの条件を満たします。

【No.25】 非破壊試験方法

非破壊試験方法に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)磁粉探傷試験を適用できない材料として、オーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。
(2)磁粉探傷試験を適用できない材料として、低合金鋼が挙げられる。
(3)磁粉探傷試験を適用できない材料として、アルミニウム合金が挙げられる。
(4)浸透探傷試験に用いる浸透液に必要な性質として、粘性が高いことが挙げられる。
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誤っている選択肢は (2)、(4)

【解説】
(1)正しい。オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304、SUS316など)は強磁性体ではなく、磁束を通しにくいため、漏洩磁束が発生せず、磁粉が集まりません。
(2)誤り。低合金鋼は鉄をベースに少量の合金元素(クロム、モリブデン、ニッケルなど)を添加した鋼種で。低合金鋼は、磁化に十分な透磁率を持つ強磁性体であるため、磁粉探傷試験が適用できます。
(3)正しい。アルミニウム合金は磁性を持たない非磁性体なので、磁束が流れず、漏洩磁束も発生しないため、磁粉が欠陥に集まらず、欠陥を検出できません。
(4)誤り。浸透探傷試験は、表面に開口した微細なきずに、低粘度で浸透性の高い浸透液を塗布します。浸透液は毛細管現象により、きず内部に自然に浸み込んでいきます。つぎに、表面に残った浸透液を溶剤や水で除去し、きず内部にのみ浸透液が残る状態にします。そして、表面に白色微粉末などを塗布すると、きず内部の浸透液が毛細管作用で吸い出されて表面に現れます。吸い出された浸透液がきずの形状に沿って拡大された模様(指示模様)を形成し、これを目視または紫外線照射で観察することで、欠陥の有無や形状を判断します。
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