WES試験対策(1級) 問題と解説 No.111~115
このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【No 441~460】WES溶接管理技術者試験対策
WES溶接管理技術者試験勉強のための一問一答形式の音声教材です。初学者である自分向けに、音声には基本的な用語の説明も含めています。運動中や通勤中に聞き流しながら...
【No.111】 サブマージアーク溶接
サブマージアーク溶接に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、低電圧特性の電源を用いる。
(2)太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、アーク安定化のためにアーク電圧をフィードバックする。
(3)太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、ワイヤ送給速度を制御してる。
(4)太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、フラックスを利用して溶接金属を大気から保護する。
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誤っている選択肢は (1)、(2)
【解説】
(1)誤り。サブマージアーク溶接は、垂下(定電流)特性の電源を用います。垂下特性は電源の外部特性曲線が「電圧が上がると電流が下がる」ように傾いており、電流が大きく変動しにくく、電流一定に近い挙動を示します。定電流特性は、アーク電圧の変動に対して電流が安定するように設計された特性であり、垂下特性と定電流特性はほぼ同じです。
(2)誤り。基本的にはアーク電圧を直接フィードバックして安定化するわけではありません。
(3)正しい。サブマージアーク溶接は、ワイヤ送給速度を制御しています。アーク電圧は溶接条件(電流・ワイヤ径・溶融速度)によって自然に決まる値で、電源がそれを「直接制御」するのではなく、電流一定の中でワイヤ溶融速度と送給速度が釣り合うことで安定します。
(4)正しい。サブマージアーク溶接は、フラックスを利用して溶接金属を大気から保護します。
【No.112】 サブマージアーク溶接
サブマージアーク溶接に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、マグ溶接と比較して、大電流が使用できないため、能率が劣る。
(2)太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、マグ溶接と比較して、アークがフラックスで覆われているため、遮光の必要がなく、風の影響がない点で優れている。
(3)太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、マグ溶接と比較して、溶接金属の表面全体が厚いスラグで覆われているため、ビード外観が美麗である点で優れている。
(4)太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、マグ溶接と比較して、スパッタやヒュームの発生が多い点で劣る。
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誤っている選択肢は (1)、(4)
【解説】
(1)誤り。サブマージアーク溶接は、大電流が使用でき、厚板の長手継手など、大入熱・高溶着速度という点で能率が優れています。
(2)正しい。サブマージアーク溶接は、アークがフラックスで覆われているため、遮光の必要がなく、風の影響がない点で優れています。
(3)正しい。サブマージアーク溶接は、溶接金属の表面全体が厚いスラグで覆われているため、ビード外観が美麗である点で優れています。
(4)誤り。サブマージアーク溶接は、アークがフラックスに完全に覆われているため、スパッタはほとんど外部に飛散しません。
【No.113】 サブマージアーク溶接
サブマージアーク溶接に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、マグ溶接と比較して、溶接姿勢に制限がない点で優れている。
(2)太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、マグ溶接と比較して、フラックスの散布および回収が必要である点で劣っている。
(3)太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、マグ溶接と比較して、装置が比較的大型で高価である点で劣っている。
(4)太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、マグ溶接と比較して、入熱量が大きく、熱影響部の軟化やぜい化を生じることがある点で劣っている。
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誤っている選択肢は (1)
【解説】
(1)誤り。太径ワイヤを用いるサブマージアーク溶接は、マグ溶接と比較して、溶接姿勢に制限がない点で優れている。
(2)正しい。サブマージアーク溶接は、アークと溶融池がフラックスに覆われるため、重力に依存した安定性が必要です。そのため、基本的に下向き姿勢に限定されます。
(3)正しい。サブマージアーク溶接は、マグ溶接と比較して、装置が比較的大型で高価である点で劣っています。
(4)正しい。サブマージアーク溶接は、マグ溶接と比較して、入熱量が大きく、熱影響部の軟化やぜい化を生じることがある点で劣っています。
【No.114】 ステンレス鋼
ステンレス鋼に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)ステンレス鋼でガス切断ができない理由として、酸化物の融点が母材の融点より高いことが挙げられる。
(2)ステンレス鋼でガス切断ができない理由として、スラグが表面を覆って、酸化反応を妨げることが挙げられる。
(3)ステンレス鋼でガス切断ができない理由として、スラグの流動性が悪く、切断面へ強固に付着することが挙げられる。
(4)ステンレス鋼でガス切断ができない理由として、付着したスラグが剥離しにくいことが挙げられる。
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誤っている選択肢は 無し
【解説】
(1)正しい。ステンレス鋼でガス切断ができない理由として、酸化クロムなどの融点が母材の融点より高いことが挙げられます。ステンレス鋼は耐食性のために「酸化しにくい」性質を持っています。ガス切断は酸化反応を利用する方法なので、酸化が進みにくいステンレス鋼はそもそも燃焼反応が起こりにくいという点でも不適です。
(2)正しい。ステンレス鋼はクロムを含むため、酸化反応で酸化クロムなどの耐火性酸化物が生成されます。この酸化物は融点が非常に高く(約2435℃)、母材よりも高いため溶融しにくく、酸素流で除去できません。さらに、この酸化物はスラグとして表面に付着・覆い、酸素と母材の接触を妨げます。結果として酸化燃焼反応が進まず、切断が継続できません。
(3)正しい。クロムやニッケルを含むため、酸化反応で酸化クロムや酸化ニッケルなどが生成されます。これら酸化物は融点が非常に高く、しかも粘性が強く流動性が悪いため、酸素流で除去されにくいです。結果として、酸化物(スラグ)が切断面に強固に付着し、酸素と母材の接触を妨げ、酸化燃焼反応が継続できません。
(4)正しい。炭素鋼などでは、鉄が酸素と反応して酸化鉄となり、その酸化反応熱で母材が連続的に燃焼・除去されます。生成した酸化鉄スラグは比較的低融点で流動性があり、切断面から吹き飛ばされやすいです。一方、ステンレス鋼はクロムを含むため、酸化反応で酸化クロムなどの高融点酸化物を生成します。これらは融点が約2435℃と非常に高く、母材(約1400〜1500℃)よりも高いため、十分に溶融・流動しません。
【No.115】 ステンレス鋼
ステンレス鋼に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)ステンレス鋼の熱切断には、ガス切断は適用できない。
(2)ステンレス鋼の熱切断には、鉄粉を添加するパウダ切断が適用される。
(3)ステンレス鋼の熱切断には、窒素ガスを用いるレーザ切断が適用される。
(4)ステンレス鋼の熱切断には、窒素ガスを用いるプラズマ切断が適用される。
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誤っている選択肢は 無し
【解説】
(1)正しい。ステンレス鋼でガス切断ができない理由として、酸化クロムなどの融点が母材の融点より高いことが挙げられます。ステンレス鋼は耐食性のために「酸化しにくい」性質を持っています。ガス切断は酸化反応を利用する方法なので、酸化が進みにくいステンレス鋼はそもそも燃焼反応が起こりにくいという点でも不適です。
(2)正しい。通常のガス切断ではステンレス鋼は酸化反応が起こりにくく、耐熱性の高い酸化物スラグが生成して切断が困難ですが、鉄粉を添加することで酸化反応熱を補い、スラグの流動性を改善して切断を可能にします。鉄粉が酸素中で燃焼(酸化)することで高温が得られ、ステンレス鋼母材の溶融を助けます。鉄粉の酸化生成物がステンレス鋼の酸化物スラグを希釈し、融点を下げるため流動性が改善されます。これにより酸素ジェットでスラグを吹き飛ばしやすくなります。
(3)正しい。ステンレス鋼の熱切断には窒素ガスを用いるレーザ切断が広く適用されています。窒素は不活性ガスであり、切断中に酸化反応を防ぐため、ステンレス鋼の切断面を光沢のある滑らかで変色のない状態に仕上げることができます。
(4)正しい。ステンレス鋼の熱切断では、窒素ガスを用いるプラズマ切断は酸化を防ぎ、切断面品質を高めるために適用される方法です。特に美観や精度が重視される用途で有効です。
