コンクリート診断士 問題と解説Vol.4
音声学習用動画のご紹介
このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【問16_初期欠陥】
コンクリート構造物に生じた変状の種類と発生原因の組合せとして、次の(1)~(4)のうち、最も適当なものはどれか。
変状の種類 | 発生原因 | |
---|---|---|
(1) | 豆板(ジャンカ) | 不適切な練混ぜによる過剰なエントラップトエアの発生 |
(2) | ポップアウト | AE剤の不適切な使用による過剰なエントレインドエアの導入 |
(3) | コールドジョイント | 先に打ち込んだコンクリートへの凝結遅延剤の使用 |
(4) | 砂すじ | 過大な単位水量による過剰なブリーディングの発生 |
クリックで【問題16】の解答と解説をみる
正解(4)
(1)誤りです。過剰なエントラップトエアの発生は、鉄筋表面への空隙による付着力の低下や、コンクリート表面の表面気泡発生の原因となります。
(2)誤りです。過剰なエントレインドエアの導入をすると、空気量が増大し、圧縮強度が低下することが考えられます。
ポップアウトは、吸水率の大きい骨材を使用により、骨材が吸収した水の凍結時の膨張圧力により、コンクリート表面が損傷を受ける現象です。コンクリート内部の、微細な気泡がクッションの役割を果たし、凍害による膨張圧力を低減させるため、ジャス5では、空気量の下限値は4%を下限値としています。また、耐凍害性を持たせるには、粗骨材の吸水率は3%以下、細骨材の吸水率は3.5%以下の骨材を使用することが基準とされています。
ポップアウトは、吸水率の大きい骨材を使用により、骨材が吸収した水の凍結時の膨張圧力により、コンクリート表面が損傷を受ける現象です。コンクリート内部の、微細な気泡がクッションの役割を果たし、凍害による膨張圧力を低減させるため、ジャス5では、空気量の下限値は4%を下限値としています。また、耐凍害性を持たせるには、粗骨材の吸水率は3%以下、細骨材の吸水率は3.5%以下の骨材を使用することが基準とされています。
(3)誤りです。凝結遅延剤は、コンクリートを打ち込む前に添加しなければなりません。
(4)問題のとおりです。過大な単位水量による過剰なブリーディング水の発生により、側面型枠表面のセメントペースト分を洗い流してしまうことで、砂すじが生じやすくなります。
【問17_初期欠陥】
コンクリート壁に生じたコールドジョイントの発生原因に関する記述のうち、最も適当なものはどれか。
(1)打重ね部のコンクリートの締固め時間が短かった。
(2)コンクリートの打重ね時間間隔が短かった。
(3)コンクリートの凝結開始が遅かった。
(4)型枠の脱型時期が早かった。
クリックで【問題17】の解答と解説をみる
正解(1)
(1)問題のとおりです。打重ね前のコンクリートと後のコンクリートを十分に一体化させるためには、コンクリートの締固めを十分に行うことが肝要です。締固め時間が短いと、コールドジョイントの発生原因となります。
(2)誤りです。打ち重ね時間間隔が長くなると、打重ね前のコンクリートが凝結を開始することで、コールドジョイントの発生原因となります。
(3)誤りです。コンクリートの凝結開始が早いと、コールドジョイントの発生原因となります。
(4)誤りです。コールドジョイントは、打重ねコンクリートの凝結開始時間が原因です。型枠の脱型開始時期には関係ありません。
【問18_エフロレッセンス】
エフロレッセンスに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)エフロレッセンスは、レイタンスがコンクリート表面に露出したものである。
(2)エフロレッセンスは、水の移動が容易なひび割れやその周辺で発生しやすい。
(3)エフロレッセンスが発生しても、コンクリートの強度が大きく低下することはない。
(4)エフロレッセンスには、水酸化カルシウムや炭酸カルシウム以外にアルカリ炭酸塩やアルカリ硫酸塩も含まれる。
クリックで【問題18】の解答と解説をみる
正解(1)
(1)誤りです。エフロレッセンスは、コンクリート中の水酸化カルシウムが水に溶けて、コンクリート表面に溶出し、空気中の二酸化炭素と反応することで生じた炭酸カルシウムが白い析出物となって現れたものです。レイタンスは、コンクリート中の微粒分が表面に浮き上がって形成される脆弱な層のことを言います。
(2)問題のとおりです。レイタンスは、コンクリート内部の水酸化カルシウムが水に溶けだすことを起因とするため、水の移動が容易なひび割れやその周辺で発生しやすくなります。
(3)問題のとおりです。エフロレッセンスが発生しても、コンクリートの強度が大きく低下することはありません。
(4)問題のとおりです。エフロレッセンスにはアルカリ硫酸塩やアルカリ炭酸塩も含まれますが、これらは溶解度が高いため、白い析出物となって現れる前に、雨水などによって流されます。
【問19_エフロレッセンス】
硬化後間もないコンクリートに発生する一次エフロレッセンスに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)一次エフロレッセンスはコンクリート表面にけい酸カルシウムが析出したものである。
(2)一次エフロレッセンスが発生すると、コンクリート表面近くの毛細管水中の水酸化カルシウムの濃度が高くなる。
(3)一次エフロレッセンスは脱型直後にコンクリート表面が乾燥すると発生しやすい。
(4)一次エフロレッセンスはコンクリートの水セメント比が小さい場合に発生しやすい。
クリックで【問題19】の解答と解説をみる
正解(3)
(1)誤りです。一次エフロレッセンスは、コンクリートの急激な乾燥により発生します。二次エフロレッセンスは、硬化後に表面に析出します。エフロレッセンスの主成分は、炭酸カルシウムです。
(2)誤りです。一次エフロレッセンスはコンクリート表面の水酸化カルシウムの炭酸化によって生じます。この反応により水酸化カルシウムが消費されるため、コンクリート表面近くの毛細管水中の水酸化カルシウムの濃度は低くなります。
(3)問題のとおりです。コンクリート表面が乾燥することで発生するエフロレッセンスを、一次エフロレッセンスと言います。
(4)誤りです。水セメント比が小さいコンクリートは、水分が少なく、一次エフロレッセンスを生じにくくなります。
【問20_エフロレッセンス】
エフロレッセンスの発生原因として、次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)死滅した真菌類の蓄積
(2)可溶性成分の溶出・析出
(3)骨材の微粒分の滲出
(4)アルカリシリカゲルの滲出
クリックで【問題20】の解答と解説をみる
正解(2)
(1)誤りです。死滅した真菌類の蓄積は、コンクリート表面に黒い汚れとなって現れます。
(2)問題のとおりです。エフロレッセンスは、コンクリート中の水酸化カルシウムが水に溶けて、コンクリート表面に溶出し、空気中の二酸化炭素と反応することで生じた炭酸カルシウムが白い析出物となって現れたものです。
(3)誤りです。微粒分が滲出し、堆積した層をレイタンスと呼びます。
(4)誤りです。アルカリシリカゲルの滲出は、白い析出物のため、エフロレッセンスと見た目に似ていますが、アルカリシリカ反応を示唆しています。