コンクリート診断士 問題と解説Vol.10
音声学習用動画のご紹介
このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【問46_中性化】
コンクリートの中性化速度に関する記述中の(A)~(D)にあてはまる次の語句の組合せのうち、適当なものはどれか。
環境湿度が低くてコンクリートが乾燥し、細孔空隙中の液状水がなくなると、(A)、中性化の進行は(B)。環境湿度が高くて細孔空隙中に液状水が満たされると、(C)、中性化の進行は(D)。
(A) | (B) | (C) | (D) | |
(1) | 炭酸化反応が進行せず | 遅くなる | 二酸化炭素の侵入量が少なくなり | 遅くなる |
(2) | 二酸化炭素の侵入量が少なくなり | 遅くなる | 炭酸化反応が進行せず | 速くなる |
(3) | 二酸化炭素の侵入量が少なくなり | 速くなる | 炭酸化反応が進行せず | 遅くなる |
(4) | 炭酸化反応が進行せず | 速くなる | 二酸化炭素の侵入量が少なくなり | 速くなる |
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正解(1)
大気中の二酸化炭素は、コンクリートの空隙内に拡散することによって侵入します。空隙内に拡散した二酸化炭素が、細孔溶液中に溶解し、コンクリート内部の水和物との反応により、コンクリート内部の中性化が起こります。このため、中性化には適度な湿度が必要ということになります。 相対湿度が低く、コンクリートが乾燥状態にあり、細孔溶液が少ない場合には、中性化が進行しにくくなります。
逆に、相対湿度が高い場合、コンクリートの空隙が水分で満たされた状態となり、二酸化炭素の内部への拡散が起きにくい状態になります。そのため、中性化が進行しにくくなります。
【問47_中性化】
下表は、ある建築物の室A,B,C,Dの室内環境(温度および相対湿度)である。環境条件から、コンクリートの中性化速度が最も速いのは次のうちどれか。ただし、コンクリートの水セメント比は60%とし、炭酸ガス濃度は各室とも同じとする。
室名 | 環境条件 | |
湿度 | 素体湿度 | |
A | 10℃ | 75% |
B | 25℃ | 50% |
C | 10℃ | 50% |
D | 25℃ | 75% |
(1)A室 (2)B室 (3)C室 (4)D室
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正解(2)
中性化速度は、相対湿度が50~60%程度で最大となります。また、化学反応は一般的に、温度が高いほど速くなります。ただし、温度が50℃以上になると、大気中の飽和CO2濃度が小さくなるため、中性化速度は遅くなります。
【問48_中性化】
コンクリートの中性化速度に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)アルカリ量(Na2O、K2O)が少ないセメントを用いたコンクリートは、アルカリ量が多いセメントを用いたコンクリートより中性化速度が大きい。
(2)高炉セメントB種を用いたコンクリートは、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートより中性化速度が大きい。
(3)連続した空隙を有する軽量骨材を用いたコンクリートは、普通骨材を用いたコンクリートより中性化速度が大きい。
(4)水セメント比の大きいコンクリートは、水セメント比の小さいコンクリートより中性化速度が大きい。
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正解(1)
(1)誤りです。アルカリ量が多いセメントを用いると、水酸化カルシウムの溶解度が大きくなるため、中性化速度が大きくなります。
(2)問題のとおりです。高炉セメントB種を用いたコンクリートは、高炉セメントの水和により、水酸化カルシウムが消費されるため、中性化速度が大きくなります。
(3)問題のとおりです。空隙を有する骨材は、二酸化炭素が侵入しやすくなるため、中性化速度が大きくなります。
(4)問題のとおりです。水セメント比の大きいコンクリートは、水セメント比の小さいコンクリートよりも、コンクリート組織内部の毛細空隙が多くなるため、中性化速度が大きくなります。
【問49_中性化】
コンクリートの中性化速度に関する次の記述中の(A)~(D)に当てはまる(1)~(4)の語句の組合せのうち、適当なものはどれか。
一般に、骨材の絶対容積および、水セメント比が同一の場合、連続した空隙を有する軽量骨材を用いたコンクリートは、普通骨材を用いたコンクリートより中性化速度が(A)。また、一般のコンクリートにおいて環境湿度が(B)、コンクリートの細孔空隙中の液状水が大きく(C)と中性化速度は(D)なる。
(A) | (B) | (C) | (D) | |
(1) | 小さい | 低く | 減少する | 大きく |
(2) | 大きい | 低く | 減少する | 大きく |
(3) | 大きい | 低く | 減少する | 小さく |
(4) | 小さい | 高く | 増加する | 小さく |
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正解(3)
軽量骨材は、骨材内部に連続した空隙を有するため、二酸化炭素の侵入が容易となり、中性化速度が大きくなります。
中性化速度は、相対湿度が50~60%程度で、最大となります。環境湿度が低下し、細孔空隙中の液状水が減少する乾燥状態では、中性化速度は小さくなります。
【問50_中性化】
コンクリートの中性化と塩害の複合劣化に関する記述中の(A)~(D)に入る用語の組合せのうち、適当なものはどれか。
①除塩不足の海砂を使用すると、中性化の進行が(A)。
②中性化が進行して塩化物イオンの濃縮が起こるのは、(B)が分解するためである。
③コンクリート中のpHが小さくなると、それに応じて鉄筋腐食が発生する限界塩化物イオン量は(C)。
(A) | (B) | (C) | |
(1) | 遅くなる | フリーデル氏塩 | 大きくなる |
(2) | 遅くなる | エトリンガイト | 小さくなる |
(3) | 速くなる | エトリンガイト | 大きくなる |
(4) | 速くなる | フリーデル氏塩 | 小さくなる |
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正解(4)
①除塩不足の海砂には、塩化ナトリウムが多く含まれるため、コンクリート中のアルカリ量(Na+)が多くなり、中性化が促進されます。
②中性化が進行して塩化物イオンの濃縮が起こるのは、コンクリートに固着しているフリーデル氏塩が分解するためです。この現象を、中性化フロントと呼びます。
③コンクリート中のpHが小さくなると、鉄筋表面の不働態被膜が破壊され、鉄筋の腐食反応が促進されます。そのため、鉄筋腐食限界塩化物イオン量は低下します。