コンクリート診断士 問題と解説Vol.73
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このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【問361_耐荷性状】
梁部材の耐荷性状に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)曲げを受ける、鉄筋コンクリート梁部材で、コンクリートが先に圧縮破壊するか、引張鉄筋が先に降伏応力に達するかは、部材の断面寸法による。
(2)曲げ破壊よりも先に、せん断破壊が生じるように設計すると、脆性的な破壊を防ぐことができる。
(3)一般的に、コンクリートの圧縮破壊よりも先に、引張鉄筋の降伏が生じるように設計すると、脆性的な破壊を防ぐことができる。
(4)建築基準法等で定められる、最小鉄筋比より、極端に小さい鉄筋比の場合には、曲げひび割れの発生と、ほぼ同時に、コンクリートの圧縮破壊が生じ、最終的に、脆性的な破壊に至る。
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正解(3)
(1)×:誤りです。曲げを受ける、鉄筋コンクリート梁部材で、コンクリートが先に圧縮破壊するか、引張鉄筋が先に降伏応力に達するかは、部材の鉄筋比によります。
(2)×:誤りです。せん断破壊よりも先に、曲げ破壊が生じるように設計すると、脆性的な破壊を防ぐことができます。
(3)〇:問題のとおりです。コンクリートの圧縮破壊よりも先に、引張鉄筋の降伏が生じるように設計すると、脆性的な破壊を防ぐことができます。
(4)×:誤りです。最小鉄筋比より、極端に小さい鉄筋比の場合には、曲げひび割れの発生と、ほぼ同時に、引張鉄筋の降伏が生じ、大変形を起こすことで、最終的に、脆性的な破壊に至ります。
【問362_ASR】
コンクリートのアルカリシリカ反応に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)日本における火成岩のうち、アルカリシリカ反応性を示す可能性が高い岩種の区分は、火山岩である。
(2)火山岩は、マグマの冷却速度が、小さく、結晶が粗粒化するため、反応性の高い鉱物が生成されやすい。
(3)堆積岩の一種である、砂岩の中には、アルカリシリカ反応の促進膨張性を示すものがある。
(4)堆積岩の一種である、石灰岩には、アルカリシリカ反応の、遅延膨張性を示すものがある。
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正解(1)
(1)〇:問題のとおりです。アルカリシリカ反応性を示す可能性が高い岩種の区分に、火山岩があります。
(2)×:誤りです。火山岩は、マグマの冷却速度が大きく、結晶が細粒化するため、表面積が大きくなります。そのため、火山岩はアルカリシリカ反応性の高い鉱物が生成されやすくなります。
(3)×:誤りです。堆積岩には、微晶質石英が含まれており、アルカリシリカ反応の遅延型膨張性を示すものがあります。
(4)×:誤りです。石灰岩は、一般的に、アルカリシリカ反応が起こらない骨材とされています。
【問363_フライアッシュ】
フライアッシュを用いたコンクリートに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)フライアッシュを用いることで、コンクリートの物質移動抵抗性が向上する。
(2)フライアッシュを用いたコンクリートでは、AE剤を用いた場合、気泡が連行されやすい。
(3)フライアッシュを用いることで、コンクリートの凝結が促進される傾向がある。
(4)フライアッシュを用いることで、ブリーディングが多くなると、気泡の粗大化や、消失等が生じる。このため、フライアッシュを用いたコンクリートでは、耐凍害性を確保する対策は、特に行わない。
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正解(1)
(1)〇:問題のとおりです。物質移動抵抗性は、気体の通りにくさを表す指標で、表層透気試験などで評価します。フライアッシュを用いることで、コンクリートの細孔構造の緻密化を図ることができ、一般に、コンクリートの物質移動抵抗性が向上します。
(2)×:誤りです。フライアッシュに含有される、未燃カーボンは、AE剤を吸着する性質があるため、フライアッシュを用いたコンクリートではAE剤を用いても、気泡が連行されにくくなります。
(3)×:誤りです。フライアッシュは水和反応の速度が遅いことから、凝結時間は遅延する傾向にあります。
(4)×:誤りです。フライアッシュを用いることで、ブリーディングが多くなると、気泡の粗大化や、消失等が生じます。このため、フライアッシュを用いたコンクリートでは、フライアッシュ用のAE剤を使用し、耐凍害性を確保する対策が、一般に行われます。
【問364_化学的浸食】
下水道施設における化学的浸食に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)下水中の硫酸塩は、硫酸塩還元細菌の働きにより二酸化硫黄に変化する。
(2)還元細菌の働きにより生成された硫化水素は、気相部のコンクリート表面における、硫黄酸化細菌の働きにより硫酸に変化する。
(3)硫酸とコンクリート中の水酸化カルシウムが反応すると、無水せっこうなどが生成されて顕著な体積膨張が生じる。
(4)硫酸による化学的浸食は、下水の水面近傍の気中部では進行しにくい。
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正解(2)
(1)×:誤りです。下水中の硫酸塩は、硫酸塩還元細菌の働きにより硫化水素に変化します。還元とは酸化物イオンを奪う反応です。
(2)〇:問題のとおりです。還元細菌の働きにより生成された硫化水素は、気相部のコンクリート表面における硫黄酸化細菌の働きにより、硫酸に変化します。
(3)×:誤りです。硫酸と、コンクリート中の水酸化カルシウムが反応すると、二水せっこうなどが生成されて、顕著な体積膨張が生じます。
(4)×:誤りです。下水の水面近傍の気中部では、還元・酸化反応が起こりやすいため、硫酸による化学的浸食が、著しく進行しやすくなります。
【問365_疲労】
鋼道路橋のRC床版の疲労に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)劣化初期において、床版の乾燥収縮が主桁に拘束されると、橋の軸方向に一方向ひび割れが発生する。
(2)劣化初期において、一方向ひび割れが発生した後、繰返し荷重を受けるとひび割れ幅が大きくなる。
(3)押抜きせん断耐力の低下が顕著となる段階では、ひび割れ密度の変化は小さいものの、ひび割れ幅が徐々に大きくなる。
(4)帯水状態よりも、乾燥状態にあるRC床版のほうが疲労による劣化の進行が速くなる。
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正解(3)
(1)×:誤りです。劣化初期において、床版の乾燥収縮が主桁に拘束されると、主筋方向、つまり、橋の軸直交方向に一方向ひび割れが発生します。
(2)×:誤りです。劣化初期において、一方向ひび割れが発生した後、繰返し荷重を受けるとひび割れ密度が大きくなります。
(3)〇:問題のとおりです。押抜きせん断耐力の低下が顕著となる段階では、ひび割れ面は上下に擦り合わせが繰り返され、コンクリートの磨耗が促進されます。その結果、ひび割れ幅が拡大します。
(4)×:誤りです。乾燥状態よりも、帯水状態にあるRC床版のほうが、疲労による劣化の進行が速くなります。RC床版内に水が浸透すると、砥石に水を垂らして刃物を研ぐのと同じように、ひび割れ面のコンクリートの摩耗が、著しく促進されます。