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WES試験対策(1級) 問題と解説 No.26~30

WES試験対策(1級) 問題と解説 No.26~30

 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【No.26】 非破壊試験方法

非破壊試験方法に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)浸透探傷試験に用いる浸透液に必要な性質として、引火点が高いことが挙げられる。
(2)溶剤除去性浸透探傷試験では、溶剤を試験体表面に塗布して、ウエスでふき取る。
(3)アーク光による健康障害として、電気性眼炎が挙げられる。
(4)アーク光による健康障害として、皮膚炎が挙げられる。
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誤っている選択肢は (2)

【解説】
(1)正しい。浸透液は多くの場合、有機溶剤を基剤としており、可燃性を持つものが多いため、引火点が高いほど火災リスクが低くなります。また、消防法などの規制により、引火点が低い液体は危険物として扱われ、保管や使用に制限がかかるため、引火点が高い製品は取り扱いが容易になります。
(2)誤り。検体表面の傷創に浸透した探傷剤の除去作業で、溶剤除去性浸透剤を使用した検査の場合は、除去剤を染み込ませたウエスで拭き取ります。
(3)正しい。溶接時に発生するアーク光には、強力な紫外線が含まれており、これが角膜にダメージを与えることで発症します。医学的には「光線角膜炎」や「紫外線角膜炎」とも呼ばれます。
(4)正しい。アーク溶接時に発生する光には、紫外線、赤外線、可視光線が含まれています。特に紫外線は強力で、日焼けに似た皮膚炎を引き起こすことがあります。

【No.27】 溶接作業の安全衛生

溶接作業の安全衛生に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)マグ溶接で発生する有毒ガスとして、一酸化炭素が挙げられる。
(2)マグ溶接で発生する有毒ガスとして、オゾンが挙げられる。
(3)溶接電流が200Aのマグ溶接でフィルタプレートを2枚重ねて使用する場合、遮光度番号の適切な組み合わせは、6+6である。
(4)労働安全衛生法施行令により、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置は、国家検定が義務付けられている。
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誤っている選択肢は 無し

【解説】
(1)正しい。マグ溶接のシールドガスとして使用する炭酸ガスが高温のアーク熱で分解されて、一酸化炭素が発生します。一酸化炭素は血中酸素運搬を阻害するため非常に危険です。
(2)正しい。溶接による高温下で、空気中の窒素と酸素が反応してオゾンをが生成されます。オゾンは、喘息や気管支炎などの呼吸器疾患を引き起こす可能性があります。
(3)正しい。日本工業規格では、溶接電流に応じた遮光度番号が定められており、200Aのマグ溶接には遮光度12が標準とされています。この基準は、紫外線透過率、可視光線透過率、赤外線透過率などの光学的特性を科学的に評価した上で設定されています。遮光度が低すぎると目に有害な光が侵入し、電気性眼炎や網膜障害のリスクがあります。逆に遮光度が高すぎると作業視野が暗くなりすぎて作業性が低下します。
(4)正しい。労働安全衛生法施行令第13条では、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置の構造規格について定めています。具体的には、始動感度、耐衝撃性、遅動時間などに関する規定があります。これらの規定は、作業者の安全を確保するために設けられています。

【No.28】 溶接法

溶接法に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)抵抗スポット溶接は、融接に分類される。
(2)被覆アーク溶接は、融接に分類される。
(3)電子ビーム溶接は、融接に分類される。
(4)レーザろう付けは、融接に分類される。
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誤っている選択肢は (1)、(4)

【解説】
(1)誤り。金属の溶接方法は、主に融接、圧接、ろう接に分類されます。圧接方法の一種である抵抗スポット溶接は、溶接したい2つの金属の上下から電極を当て、適度な圧力を加えながら加熱もすることで徐々に金属を溶かしていき、その後冷却することで再凝固する働きを利用して2つの金属を接合させます。
(2)正しい。溶接の中で、最も一般的な方法が「融接」です。融接では、母材と溶加材、またはどちらか一方を溶かして溶接します。融接の中でも代表的なものが「アーク溶接」です。
(3)正しい。溶接には、「融接」、「圧接」、「ろう接」の3種類があります。電子ビーム溶接はこのうち「融接」の一種で、電子ビームを当てて母材を接合する方法です。高温にならず接合面に深く溶け込めることが特徴です。精密な溶接をしたいときに向いており、人工衛星、深海探査船、エネルギー加速器などに使われます。電子ビーム溶接は、真空中の陰極をフィラメントで加熱した際に放出される電子を電圧で加速し、電磁コイルで収束させ母材に当てます。このときに発生する高い熱エネルギーを利用した溶接方法です。
(4)誤り。ろう付けでは、接合される金属の接合面または接合面の間にフィラー金属を配置します。溶加材は母材金属よりも融点が低いため、母材金属の構造的完全性に影響を与えることなく溶融し、ぴったりと合った隙間に流れ込みます。このプロセスは毛細管現象に依存して接合部を充填しており、異種金属や融点が大きく異なる金属の接合に広く使用されています。レーザーろう付けは、レーザー溶接とろう付けの両方の原理を組み合わせたものです。レーザービームがフィラーワイヤーの表面に照射され、フィラーワイヤーが溶融して高温の液体金属が形成されます。液体フィラーメタルが接合部に流れ込み、接合面間の隙間を埋めます。

【No.29】 溶接法

溶接法に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)ティグ溶接は、溶極式のアーク溶接法である。
(2)エレクトロスラグ溶接は、溶極式のアーク溶接法である。
(3)プラズマアーク溶接は、溶極式のアーク溶接法である。
(4)セルフシールドアーク溶接は、溶極式のアーク溶接法である。
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誤っている選択肢は (1)、(2)、(3)

【解説】
(1)誤り。アーク溶接を大きく分けると2種類です。ひとつは、アークを発生する電極自身が溶加材となって溶融して消耗する「溶極式」。もうひとつは電極がほとんど消耗しない「非溶極式」です。ティグ溶接は、融点が高く、アーク熱で溶けにくいタングステン電極を用いた「非溶極式」のアーク溶接です。ティグとは、タングステン、イナートガスの略です。イナートガスとは、不活性ガスで、ティグ溶接では、シールドガスとして、アルゴンガスやヘリウムガスが用いられます。
(2)誤り。エレクトロスラグ溶接は、溶融スラグと溶融金属とが、溶接部からあふれ出ないように囲み、溶融スラグ内に通電した溶接ワイヤを連続して供給し、スラグの抵抗発熱で溶接を行う、アークを発生させない溶極式溶接法です。
(3)誤り。プラズマアーク溶接は、非溶極式のアーク溶接法です。プラズマアーク溶接は、タングステン電極と母材の間で発生するプラズマアークを利用して溶接を行います。
(4)正しい。セルフシールドアークは、アーク溶接方法のうち、溶極式の一種です。アーク溶接は、大気圧のプラズマ放電による発熱を利用して、母材と溶接材料を溶融させながら行う接合方法のことを指します。アーク溶接を大きく分けると2種類です。ひとつは、アークを発生する電極自身が溶加材となって溶融して消耗する「溶極式」。もうひとつは電極がほとんど消耗しない「非溶極式」です。

【No.30】 溶接ビード

溶接ビードに関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)溶接電流と溶接速度を一定にして、アーク電圧を高くすると、ビード幅と溶け込み深さは増大する。
(2)溶接電流とアーク電圧を一定にして、溶接速度を速くすると、ビード幅と溶け込み深さは増大する。
(3)アーク電圧と溶接速度を一定にして、溶接電流を増加させると、ビード幅と溶け込み深さは増大する。
(4)小電流、低溶接速度域では、溶け落ちや穴あきが発生しやすい。
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誤っている選択肢は (1)、(2)、(4)

【解説】
(1)誤り。ビード幅について、アーク電圧が高くなると、アーク長が伸びて、熱の拡がりが増します。その結果、ビード幅は増加する傾向があります。 一方、溶け込み深さについて、アーク電圧の上昇に伴い、電流が一定でもアークのエネルギー密度が減少する場合があります。熱が広がりすぎて集中性が弱くなるため、溶け込み深さは逆に減少することが多いです。
(2)誤り。ビード幅について、溶接速度が速くなると、熱入力量が減少します。その結果、ビード幅は小さくなる傾向があります。溶け込み深さについて、熱が材料に十分に伝わる前に前進するため、溶け込み深さも減少します。高速溶接では冷却も早くなるため、浅い溶け込みになる可能性が高まります。
(3)正しい。ビード幅について、一般的に、電流が増加すると入熱量が増大します。溶融池が大きくなり、ビード幅も増加する傾向があります。溶け込み深さについて、電流増加によって、アークの熱量とエネルギー密度が上昇し、熱の集中性が高まることで、溶け込み深さも深くなる傾向があります。
(4)誤り。溶接電流が小さく溶接速度が速い小電流 、高速域では、入熱が不足して母材に十分な入熱が付与されないため、溶け込み不足が生じます。反対に溶接電流が大きく、溶接速度が遅い大電流、低速域では、母材に過大な熱が加えられて溶接金属の溶け落ちや薄板では母材の穴あきが発生します。
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