反発硬度法とは?
反発高度法とは、コンクリートの表面を”リバウンドハンマー”と呼ばれる器具で打撃して、その時の反発度を測定することによって、コンクリート強度の推定を行う方法を言います。
新築の現場監督にはなじみがない
新築現場の現場管理を行う上で、反発硬度法を使用する場面はあまりないと思います。新築現場で構造体のコンクリートを打設する際には、打設するコンクリートの強度は、供試体の圧縮強度を試験することで把握することができるからです。
非破壊検査
反発硬度法は【非破壊検査】のため、構造体を傷つけたくない場合や、コアを採取できない場合に採用される方法です。
非破壊検査のうち、強度を測定する反発硬度法に対して、コンクリートの表面をたたき、その衝撃(波)の伝搬から、コンクリート内部の欠陥位置を探査する方法に【弾性波法】があります。あわせて覚えてください。
反発硬度法の測定方法は、JIS規格で定められていますので、以下にまとめます。
Coffee Break
「リバウンドハンマー」のほかに「コンクリートテストハンマー」や「シュミットハンマー」などの用語を聞いたことはありませんか?
反発高度法は、もともとスイスのシュミット博士により開発された強度推定方法で”シュミットハンマー法”とも呼ばれています。スイスのPROCEQ社が発売している試験用器具の商品名が「シュミットハンマー」になります。
日本国内の公文書などでは、商品名である「シュミットハンマー」は用いずに、「リバウンドハンマー」や「コンクリートテストハンマー」という用語を使用しています。
JIS(JIS A 1155)による反発硬度法の規格
測定の準備
- リバウンドハンマーは500回の打撃ごとに点検を行う
- 点検結果がリバウンドハンマーの製造時反発度から3%以上異なっている場合は用いてはならない
測定箇所の選定
- コンクリート強度が10~60N/mm2に適用可能
- 厚さが100mm以上をもつ部材
- 一片の長さが150mm以上の断面を持つ部材
- 部材の縁部から50mm以上離れた場所
- 表面が均一でかつ平滑な平面
- 塗装された面がある場合は、砥石などで除去
測定時の注意点
- 1箇所の測定では、互いに25~50mmの間隔をもった9点について測定を行う
- 測定面に対して垂直に打撃する
- 環境温度が0℃~40℃の範囲で行う
測定結果
- 真上に向かって測定する場合、真下に向かって測定する場合よりも反発度は大きく測定される
- 濡れているコンクリート表面は乾燥している表面よりも反発度は小さく測定される
- 測定した値の偏差が平均値の20%以上を棄却する(※偏差=測定値-平均値)
計算例
<平均値=40.8N、測定値=48Nのとき>
偏差=48-40.8=7.2
7.2/40.8=0.18(<20%)=棄却しない
弾性波法とは?
コンクリート表面に振動(弾性波)を与え、これを表面の受信子で測定し、受信した振動からコンクリート内部の欠陥の位置を測定する方法を言います。
種類と特徴
衝撃弾性波法
- ハンマーなどでコンクリート表面を打撃する
- 物理的な打撃のため、測定周波数は20Hz~20kHzである
- 弾性波を検出する装置は、電圧素子(振動を与えると電圧が発生)を利用した振動子が用いられる
超音波法
- 周波数が20kHz以上の超音波を使用する
- 発振子からシリコングリスなどの接触剤を介して弾性波を照射する(鉄骨のUT検査のようなイメージ)
- 弾性波を検出する装置は、電圧素子を利用した振動子が用いられる
- 波の周波数が高いため、探査精度は高くなるが透過能力が低くなる
打音法
- ハンマーなどでコンクリート表面を打撃する
- マイクを用いて弾性波を検出する
- 非接触のためコンクリート表面の性状に左右されにくい
- 周囲の騒音の影響を受けやすい
弾性衝撃波の計算例
$$L=(n×Vp)/(2f)$$
L:欠陥深さ
n:共振周波数の次数
Vp:弾性波伝搬速度
f:共振周波数
※通常はn=1