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【1級建築士】(H30構造分野No.1~5)計算問題回答手順解説、苦手な方でもgif動画でわかりやすく

1級建築士の構造分野で出題される、計算問題の回答手順を解説します。

解説部分は折りたたみメニューになっているので、必要に応じてクリックして解説を展開してください。解説の中にgif動画による回答手順があります。

平成30年No.1問題文

図のような等質な材料からなる断面が、図に示す垂直応力度分布となって全塑性状態に達している。 このとき、断面の図心に作用する圧縮軸力Nと曲げモーメントMとの組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。 ただし、降伏応力度はσyとする。

N
M
1.
4a2σy
10a3σy
2.
4a2σy
20a3σy
3.
8a2σy
10a3σy
4.
8a2σy
20a3σy

解説はこちら

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正解4

「図に示す垂直応力度分布となって全塑性状態に達している」とは、
それ以上の力を加えても、材料が抵抗する応力が増大せずに、一定の力で変形がどんどん進む状態ということです。
折り目がついた紙は弱い力でもどんどん曲がっていきますよね、その状態に近いです。
この問題では、全塑性状態に達していますので、 図ー1の平面全部が図ー2の垂直度応力分布になっていることを
意識してください。
「断面の図心に作用する圧縮軸力N」と対比して覚えなければならないのは、
偏心して作用する場合です。偏心すると、 図心からの距離×軸力N=軸力Nによるモーメント が作用することになりますが、
この問題では「図心に作用する軸力N」というのがヒントです。軸力Nの偏心を考慮しなくて良いということが
問題文に書かれています。
それでは以上のことを踏まえて、実際に計算していきましょう。以下解答例です。

 

この問題の考え方を、現場で使いそうな場面は、仮設のH鋼の断面強度算定などが考えられます。例えばH鋼構台は、協力業者が構造計算書を作成してくるかもしれませんが、生コン車とポンプ車が載るこの構台には「どんな応力がかかっているんだろう?」と思ったとら、手計算でH鋼にかかる応力を算定すべきでしょう!そのときは、最大と考えられる荷重を想定すべきです。

積極的にモデル化を行い、どんな材料(強度、ヤング係数)で出来ているのか、どんな外力(固定荷重、車両の積載荷重等)がはたらいているのか、どんどん調べていきましょう!あなたの現場での役割はどんどん大きくなっていきますよ!

手計算で断面を概算すると、協力業者がどれくらいの安全率を見込んでいるか分かります。断面の過大な設計は、経済的合理性に欠けますので、ぜひ自身の手で判断してみてください。

平成30年No.2問題文

図のような集中荷重Pa、Pbを受ける梁A、Bの荷重点に生じるたわみδa、δbの値が等しいとき、集中荷重PaとPbとの比として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、梁A、Bは等質等断面の弾性部材とする。

Pa   :   Pb
1.
1   :   4
2.
1   :   2
3.
1   :   1
4.
2   :   1

解説はこちら

【H30構造No.2】の解説をみる

正解2

たわみの公式を覚えているかどうかの問題ですね。何度かやるうちに覚えますので、とにかく式を書きましょう。集中荷重と、分布荷重で公式が異なりますので、注意してください。 また、AとBが等質等断面ということは、曲げ剛性EIが同じということです。(等質=Eが同じ、等断面=Iが同じ) そして、弾性部材であるということは、たわみの公式に従って変形するということです。(本当はたわみの公式は弾性範囲内で成り立つ公式ということ)
実際に計算していきましょう。以下解答例です。

 

片持ち梁と単純梁では、長さが2倍になっても単純梁のほうが変位は1/2ということです!足場板を設置する際やブラケットを検討する場合、現場監督が構造的な視点を持って現場を見ることが大切ですね!

平成30年No.3問題文

図のような集中荷重Pa、Pbを受ける梁A、Bの荷重点に生じるたわみδa、δbの値が等しいとき、集中荷重PaとPbとの比として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、梁A、Bは等質等断面の弾性部材とする。

1.
2  /  PL
2.
2PL  /   3
3.
3PL  /  4
4.
PL

解説はこちら

【H30構造No.3】の解説をみる

正解2

この問題は、慣れないと解くのに時間がかかってしまうでしょう。 しかし、計算自体は単純な力の釣り合いとモーメントの釣り合いの問題なので 何度か解くうちに慣れてしまいましょう。ここで覚えておきたいのは、ピン接合の部分はモーメントが0という事です。 屋根の頂点がピン接合になっているので、モーメントの釣り合いだけを考える場合、解答に示すように、 仮想的に左半分のモデルとしてしまいます。その状態で、屋根の頂点のモーメントの合計が0である式から、 正解2を選ぶことができます。

 

問題では、足元がピン接合となっています。なかなか、実際の建築物でピン接合の柱脚は少ないかもしれません。しかし、鉄骨の露出柱脚などは、ピン接合として設計されます。例えば、外部のひさしの柱脚などは、大きな水平力が掛からないためピン接合で設計される場合があります。 構造設計者がどんな意図で、どんな柱脚にしたのか、実際に聞いてみると新たな知見が得られるかもしれませんね!

平成30年No.4問題文

図は、2層のラーメンにおいて、2階に水平荷重P1、R階に水平荷重P2が作用したときの柱の曲げモーメントを 示したものである。次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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正解4

まず、誤っているものを選択する点に注意してください。 外力(水平力)と柱のせん断応力のつり合い式、柱の曲げモーメントから柱のせん断力を求める式と外力」の モーメントのつり合いを考えましょう。上階からのせん断力(応力)は下階に伝達していきます。 これは、構造計算で基本的な考え方になるので、覚えて下さい。下階に行くほど柱や梁の断面が大きくなっていますよね! 外力と(内部)応力をごちゃ混ぜにしないで、つり合いを考えてくださいね。

切断法で問題を解く場合、反力のない(外力のみの)上階から解いていくことをお勧めします。外力による力のつり合い、モーメントのつり合いを考えればよいので、シンプルに考えることができるからです。

反力が発生する足元は、大体の問題では反力が未知となっており、その反力を求めてから回答を進めるパターンが多いです。

 

現場で構造体が組まれていく様子を見ていると、下階のほうが断面が大きく、 高強度の材料が使われていることがわかります。上階からの水平力によるせん断力と自重をすべて受け、 基礎から地盤に伝える役割があるからです。現場監督として、気になるのは、どうしてその階から鉄筋の太さが変わるのかとか、コンクリートの強度が変わるのかといったことです。もちろん、強度が高いほうが単価が上がるといった事情もありますが、各階ごとにコンクリート強度が異なるような構造では施工管理がしにくくなってしまいますね。間違いのもとにもなってしまいます。意匠上、断面を絞らざるを得ないといったことに加え、構造的な合理性・経済的な合理性・施工的な合理性のバランスを考えながら設計されていますので、現場に構造設計者が来たら質問してみると、構造設計者の苦労がわかるかもしれませんね!

平成30年No.5問題文

図のような水平荷重Pが作用するトラスにおいて、部材A及び部材Bに生じる軸力の組合せとして、 正しいものは、次のうちどれか。ただし、軸力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。

A
B
1.
-√2P/2
+P
2.
-√2P/2
+2P
3.
-√2P
+P
4.
-√2P
+2P

解説はこちら

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正解3

反力を出したくなるところですが、この手の問題は上の方から切断法で答えが出せます! 無駄な時間を使わないように注意しましょう。切断法で出てきた軸力の向きは、 圧縮力(この問題では-)と引張力(この問題では+)の向きに注意して、回答してください。 ちなみに、副管理人はこの手の問題が大の苦手で、問題から離れていると、どっちが圧縮か引張かわからなくなってしまいます。その時は、自分が考えているのは「外力」か「内力(応力)」かを意識することが大切だと思います。向きに対して理解が必要です。以下、解答例です。

 

鉄骨造の建物では、このような形でブレースが配置されている場合が多いですね。 実際には地震力は左右どちらからにも耐えられるように設計されますが、 特にブレースに大きな軸力がかかることがわかります。現場ではその軸力をうまくブレースに 負担させることができるよう、接合部の納まりに注意して監理しましょう。現場監督の腕の見せ所ですよ!

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