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【骨材のアルカリシリカ反応性判定】化学法、モルタルバー法、酢酸ウラニル蛍光法とは?

骨材のアルカリシリカ反応性試験について

 コンクリートに使用する骨材のアルカリシリカ反応性の判定には、いくつかの方法があります。以下に、代表的な2つの方法を示します。
①化学法はJIS A 1145で試験方法が規定
②モルタルバー法はJIS A 1146で試験方法が規定
 どちらの方法も、コンクリート骨材がアルカリシリカ反応によって膨張する危険性があるかを判定する試験です。
 ①の化学法では、骨材に含まれるシリカ量とアルカリ量を測定することにより、アルカリシリカ反応を生じる可能性が高い(有害である)か低い(無害である)かを判定します。
 ここで、③酢酸ウラニル蛍光法はアメリカ連邦道路局により提案された方法で、コンクリートコアに酢酸ウラニル溶液を塗布し、暗室で紫外線を照射するとアルカリシリカゲルが黄緑色に発光する原理を利用します。これにより、アルカリシリカゲルの有無を確認することができます。

①化学法 JIS A  1145

 化学法は、コンクリート試料の溶解シリカ量(Sc)とアルカリ濃度減少量(Rc)を化学分析によって求めます。
 溶解シリカ量は”原子吸光光度法”という方法で、試料を高温中で原子化して、そこに光を照射し、その吸収スペクトルを測定することで、試料中の元素の定量を行い、測定します。原子吸光光度法は、溶解シリカ量に限らず、様々な原子の測定に使えます。
 次に、アルカリ濃度は”中和滴定法”によりコンクリート試料中のアルカリ量を測定します。

←滴定イメージ

試験方法の概要

  1. 150~300μmに粒度調整したコンクリート試料25gと1mol/Lの水酸化ナトリウム標準液25mLを反応容器に入れ、水温80度の水槽内で24時間反応させます
  2. 24時間後、吸引ろ過で試験溶液を採取し、試料から溶出したシリカ量を”原子吸光光度法”で、アルカリ骨材反応によって試料に消費されたアルカリ量を”中和滴定法”によってそれぞれ測定します
 アルカリ骨材反応による膨張量は、コンクリートの温度、水の供給およびアルカリ量に影響を受けます。試験では、アルカリ骨材反応を促進するために水温80度の水槽内に入れます。

判定

  1. Scが10mmol/L以上で、Rcが700mmol/L未満の範囲では、ScがRc未満となる場合、その骨材を「無害」と判定し、ScがRc以上となる場合、その骨材を「無害でない」と判定します。
  2. Scが10mol/L未満で、Rcが700mmol/L未満の場合、その骨材を「無害」と判定します。
  3. Rcが700mmol/L以上の場合は実績が無いため判定しません。

引用規格:JIS A 1145 骨材のアルカリシリカ反応性試験方法

②モルタルバー法 JIS A  1146

 モルタルバー法は、骨材を粉砕した試料を用いてモルタルバー(ようかん状に固めたモルタル)を製作し、貯蔵室でアルカリ骨材反応を促進させて、その長さ変化を測定し、材齢26週の膨張量によって「無害」または「無害でない」を判定する試験です。
 「無害でない」と判定されると、潜在的に反応性を持つと考えられる骨材です。ただし、JIS A 53008では「無害でない」と判定されても、抑制対策を実施すればコンクリートに使用できます。
 このモルタルバー法で「無害」と判定された骨材は、化学法で「無害でない」と判定された骨材でも「無害」と判定します。

試験方法概要

【材料】
  1. 上記の材料を練り混ぜ、モルタルバー(寸法:40×40×160mm、3体)を製作し、貯蔵槽(温度:40±2℃、湿度:95%以上)にて所定材齢まで養生します。
  2. 測定の材齢(脱型時、2,4,8,13および26週)ごとにモルタルバーの長さ変化を測定し、3体の膨張率から平均膨張率を算出します。

判定

材齢26週における平均膨張率で判定を行います。

引用規格:JIS A 1146 骨材のアルカリシリカ反応性試験(モルタルバー法)

モルタルバー法で判定できる成分

 ”微晶質石英”を含む骨材の反応は極めて緩やかであり、26週の養生期間では判定できません。”火山ガラス”を有する骨材はモルタルバー法で判定できます。

③酢酸ウラニル蛍光法

 酢酸ウラニル溶液中のウラニルイオンは、アルカリシリカゲル中のアルカリイオンと置換する性質をもっています。置換されたウラニルイオンが発光することで、目視でアルカリシリカゲルの存在を確認することが出来ます。
 ウラニルイオンが発光する現象を”ルミネッセンス”と呼びます。”ルミネッセンス”とは、物質が外部からのエネルギーを受けて励起され、その後受け取ったエネルギーを光(可視光線)として放出する現象です。
 酢酸ウラニル溶液は、高濃度のウランを含む放射性溶液で、一般的には溶液の扱いや廃棄物の扱いが困難なため、国内では実施している機関は少なく、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」においては、ウランの量 300 g 以上使用する場合、使用の許可を受ける必要があります。また、それ以内であっても、国内規制物質の使用の許可を受ける必要があります。
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