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【コンクリート主任技士過去問解説】令和2年度No21~25

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【令和2年度―問題21】

 下図の曲線A~Dは、普通ポルトランドセメントと低熱ポルトランドセメントを用いたコンクリートを、幅10m×長さ10m、厚さ1mおよび3mのスラブ状構造物に打ち込んだときの部材中心部の温度履歴を示したものである。以下の表に示すセメントの種類と部材の厚さの組合わせのうち、適当なものはどれか。ただし、いずれの曲線も、単位セメント量は300kg/m3、打込み温度は20℃、外気温は20℃一定で、コンクリートは連続して打ち込んだものとする。
セメントの種類 部材の厚さ (1) (2) (3) (4)
普通ポルトランドセメント 1m
低熱ポルトランドセメント 3m
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正解(2)

部材中心部の温度と材齢の関係から、最も温度が高くなるAは”普通ポルトランドセメントの厚さ3mの部材”です。

つぎに、最大温度を示す材齢がAに近く、再考温度がAよりも低いBは”低熱ポルトランドセメントの厚さ3mの部材”です。

早期に最高温度に達するCとDは、最高温度が高いCが”普通ポルトランドセメントの厚さ1mの部材”です。

最も最高温度が低いDは”低熱ポルトランドセメントの厚さ1mの部材”です。

【令和2年度―問題22】

 高流動コンクリートに関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか
(1)高性能AE減水剤の使用量が多く流動性が高くなるので、圧送時の圧力損失が一般のコンクリートより小さくなる。
(2)増粘剤系高流動コンクリートは、増粘剤によりセメントペーストや水の粘性を高めることにより材料分離抵抗性を付与するため、単位粉体量の増加を抑えることができる。
(3)単位粗骨材量は、所定の間隙通過性を確保するため、一般のコンクリートに比べて大きい値に設定される。
(4)高性能AE減水剤を多量に使用するので、一般のコンクリートよりも凝結が遅延し、コンクリート表面のこて仕上げが容易になる。
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正解(2)

(1)誤りです。高流動コンクリートは、一般のコンクリートよりもセメント分が多く、粘性が高くなるため、圧力損失は大きくなります。
(2)問題のとおりです。一般に、高流動コンクリートはセメント分を多くしますが、増粘剤により粘性を高めることで、単位粉体量の増加を抑えることができます。高流動コンクリートには、粉体系、増粘剤系、併用系があります。
(3)誤りです。高流動コンクリートに求められる性能として、材料分離抵抗性があります。粗骨材の寸法が大きいと、材料分離を起こしやすくなります。高流動コンクリートの粗骨材寸法は、一般のコンクリートに比べて小さい値になります。粗骨材の最大寸法は、一般では30mm程度ですが、高流動コンクリートでは20mm程度です。
(4)誤りです。高流動コンクリートは、流動性確保のため、高性能AE減水剤により初期の水和反応が抑制され、凝結が遅延します。しかし、粘性が高く、ブリーディングが少ないので、こて仕上がしにくく、必要に応じて水分を噴霧しながら行います。

【令和2年度―問題23】

 鉄筋コンクリート部材の設計に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)水平力を受ける柱の曲げ変形能力は、軸力が大きい場合の方が小さい場合より大きい。
(2)曲げを受ける梁では、圧縮力は主にコンクリートで負担させるが、圧縮鉄筋を配置するとコンクリートの負担が軽くなるため、最大荷重に達した後のコンクリートの圧縮破壊による急激な荷重低下を抑制できる。
(3)鉄筋コンクリート梁では、せん断補強筋を密に配してせん断耐力を高め、せん断破壊よりも曲げ破壊を先行させる。
(4)許容応力度設計法では、構造物は弾性挙動を仮定して設計され、荷重の種類および組合せや対応する許容応力度は、示方書や基準で定められている。
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正解(2)

(1)誤りです。水平力を受ける柱の曲げ変形能力は、軸力が大きい場合の方が小さい場合より小さくなります。また、軸力が引張方向に働く場合も曲げ変形能力は小さくなります。
(2)問題のとおりです。曲げを受ける梁では、圧縮力は主にコンクリートで負担させますが、圧縮鉄筋を配置するとコンクリートの負担が軽くなるため、最大荷重に達した後のコンクリートの圧縮破壊による急激な荷重低下を抑制できます。曲げを受ける梁は、圧縮側コンクリート断面積と圧縮鉄筋の等価コンクリート断面積を考慮して計算します。
(3)問題のとおりです。鉄筋コンクリート梁は、せん断補強筋を密に配してせん断耐力を高め、せん断破壊よりも曲げ破壊を先行させます。柱部材も同様です。一般的に、細長い部材は曲げ破壊を先行させます。壁のように幅のある部材では、曲げ破壊は生じにくいため、せん断耐力で持たせる設計をします。
(4)問題のとおりです。許容応力度設計法では、構造物は弾性挙動を仮定して設計され、荷重の種類および組合せや対応する許容応力度は、示方書や基準で定められています。許容応力度設計法では、基本的には部材を弾性としますが、場合によってはコンクリートのひび割れやコンクリートの非弾性ひずみを考慮した剛性低下を部分的に認めながら応力計算を行います。

【令和2年度―問題24】

 鉄筋コンクリートラーメン構造に水平方向の等分布荷重が作用したとき、発生するひび割れの状況を示した下図の(1)~(4)のうち、適当なものはどれか
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正解(1)

曲げモーメント図は下図のようになります。曲げモーメントの分布形状から、ひび割れは(1)が正解です。

【令和2年度―問題25】

 プレストレストコンクリートに関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)プレテンション方式では、コンクリート打込み後、早期にプレストレスの導入が行われるため、初期強度の高いコンクリートが必要となる。
(2)外ケーブル方式の定着部には、応力が集中するため、十分な補強が必要となる。
(3)プレストレスを導入することによって、梁部材の曲げひび割れ発生耐力は増加するが、曲げ終局耐力はほとんど変化しない。
(4)プレテンション方式では、PC鋼材が直接コンクリートと付着しているので、コンクリートのクリープによるプレストレス量の経時変化は、考慮しなくてよい。
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正解(4)

(1)問題のとおりです。PC鋼材をコンクリートが固まる前に引っ張るのがプレテンション方式です。コンクリートが固まった後に引っ張るのはポストテンション方式です。プレテンション方式は、コンクリートが脱枠強度および緊張強度を超えなければ応力を解放できません。そのため、工事工程を考慮すると、早期強度の高いコンクリートが必要です。
(2)問題のとおりです。外ケーブル方式の定着部には、局所的に応力が集中します。そのため、定着部を十分に補強することが求められます。
(3)問題のとおりです。プレストレスの導入は、コンクリートに圧縮応力を発生させ、ひび割れを抑制します。内力的には、PC鋼材が引張力を負担し、コンクリートが圧縮力を負担している状態です。しかし、部材の曲げ終局耐力はそれらとは関係なく、引張側の鉄筋で決まるため、曲げ終局耐力はほとんど変化しません。
(4)誤りです。ポストテンション、プレテンションに関わらず、プレストレス導入後の有効プレストレスは、PC鋼材のリラクセーション、コンクリートのクリープおよび収縮を考慮します。