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【コンクリート主任技士過去問解説】平成29年度No1~5

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【平成29年度―問題1】

 ポルトランドセメントの製造における次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)主原料のひとつである石灰石は、ポルトランドセメント1tを製造するために約1.2t使用されている。
(2)微粉炭などの天然化石燃料のほかに、廃プラスチックなどの廃棄物が代替燃料として用いられている。
(3)せっこうは、アルミン酸三カルシウム(C3A)の水和を抑制し、セメントの異常凝結を防止するために添加されている。
(4)粘土の代替材料の一部として石灰石を用いる場合、クリンカーおよびせっこうの微粉砕後に石炭灰を混合する。
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正解(4)

(1)問題のとおりです。普通ポルトランドセメントの主原料は、石灰石をはじめ、粘土、珪石、酸化鉄等を調合し、1450℃以上の高温で焼成した「クリンカー」と呼ばれる塊状の物質を粉砕し、せっこうを加えて製造します。1tの普通ポルトランドセメントを製造するためには約1.2tの石灰石が使われます。
(2)問題のとおりです。セメントの原燃料として、石炭灰、汚泥・スラッジ、流動床灰、副生石灰などの非可燃性廃棄物から、廃タイヤ、廃油、廃プラスチックなどの可燃性廃棄物まで、さまざまな廃棄物を代替燃料として用いられています。
(3)問題のとおりです。アルミン酸三カルシウム(C3A)は、水に接触するとすぐに発熱反応を起こし、急速に水和物を作ります。そのため、せっこうを加え、水、せっこう、C3Aの三成分が反応して、エトリンガイトが徐々に生成されることによって急結を防ぎます。
(4)誤りです。粘土の代替材料の一部として石灰石を用いる場合、クリンカーおよびせっこうの焼成前の原料工程で石炭灰を混合します。

【平成29年度―問題2】

 普通ポルトランドセメントの水和過程を説明した下記の文章の空欄(A)~(D)の組合せとして、適当なものはどれか
 セメントの水和反応は、注水直後にセメントに含まれるアルミン酸三カルシウム(C3A)とせっこうの反応によって(A)を生成する。その後にけい酸三カルシウム(C3S)が活発に反応するようになり、強アルカリ性の(B)が生成してから安定性の高い(C)が生成する。次に(D)の生成が始まり、(A)は減少していく。
(A) (B) (C) (D)
(1) エトリンガイト 水酸化カルシウム モノサルフェート C-S-H
(2) 水酸化カルシウム エトリンガイト C-S-H モノサルフェート
(3) エトリンガイト 水酸化カルシウム C-S-H モノサルフェート
(4) 水酸化カルシウム エトリンガイト モノサルフェート C-S-H
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正解(3)

【平成29年度―問題3】

 目盛りのあるガラス容器に水を200mlはかりとり、湿潤状態の砂500.0gを加えて十分に空気を追い出した後、水面の位置の目盛りを読み取ったところ402mlであった。この砂の表乾密度を2.54g/cm3、絶乾密度を2.51g/cm3、水の密度を1.00g/cm3としたとき、表面水率として適当なものはどれか
(1)0.9%
(2)1.2%
(3)1.7%
(4)2.3%
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正解(3)

図中のXとYに関する方程式が2つあります。変数が2つ、式も2つなので、連立方程式を解けば、XとYそれぞれの値を算出することが出来ます。

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{1}
x + 2.54y = 500\\
x + y =202
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

上の連立方程式を解くと、Y=193.506、X=8.494

$$表面水率(%)=\{\frac{X}{2.54×Y}\}{×100}=\{\frac{8.494}{2.54×193.506}\}{×100}=1.73$$

答え(3)1.7%

【平成29年度―問題4】

 次の骨材を用いて製造された各種コンクリートのうち、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の規定に照らして、正しいものはどれか
(1)戻りコンクリートを洗浄して得られた回収骨材を用いて、「高強度55 50 20 M」を製造出荷した。
(2)JIS A 5021(コンクリート用再生骨材H)に適合する再生骨材Hを用いて、「舗装 曲げ 4.5 6.5 25 BB」を製造出荷した。
(3)JIS A 5031(一般廃棄物、下水汚泥又はそれらの焼却灰を融解固化したコンクリート用溶融スラグ骨材)に適合する溶融スラグ粗骨材を用いて、「普通 21 12 20 N」を製造出荷した。
(4)JIS A 5022(再生骨材Mを用いたコンクリート)に適合する再生骨材Mを用いて、「普通 21 12 25 BB」を製造出荷した。
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正解(2)

(1)誤りです。JISでは軽量コンクリートおよび高強度コンクリートには、回収骨材を用いないと規定しています。
(2)問題のとおりです。再生骨材Hは普通コンクリートおよび舗装コンクリートに適用できます。
(3)誤りです。溶融スラグ骨材は使用することができないと規定されています。
(4)誤りです。再生骨材Hは普通コンクリートおよび舗装コンクリートに使用できますが、再生骨材Mは使用できません。

【平成29年度―問題5】

 各種コンクリートにおいて、混合材を用いる方法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)暑中コンクリートにおいて、養生中の水和熱を抑制するため、高炉スラグ微粉末6000を普通ポルトランドセメントに対して30%置換して使用した。
(2)擁壁に用いるコンクリートにおいて、アルカリシリカ反応によるひび割れを防止するため、フライアッシュⅡ種を普通ポルトランドセメントに対して15%置換して使用した。
(3)高温高圧養生(オートクレーブ養生)を行うコンクリート製品において、高い圧縮強度を得るため、シリカフュームを普通ポルトランドセメントに対して15%置換して使用した。
(4)高流動コンクリートにおいて、水和熱を抑制するため、所要の強度が確保できることを確認した上で、石灰石微粉末を普通ポルトランドセメントに対して単位量で100kg/m3置換した。
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正解(1)

(1)誤りです。高炉スラグ微粉末は、比表面積の大きさにより3000、4000、6000、8000の4つに区分されます。大きい数値ほど比表面積が大きく、水和反応がしやすく、それに伴い水和熱が発生します。高炉スラグ微粉末6000は、水和熱を抑制することはできません。
(2)問題のとおりです。フライアッシュは、比表面積、強熱減量によりⅠ~Ⅳ種に区分されます。フライアッシュはポゾラン反応性を有し、水酸化カルシウムを消費するため、区分にかかわらず、15%置換するとアルカリシリカ反応を抑制できます。
(3)問題のとおりです。オートクレーブ養生において、シリカフュームに含まれる、常温では不活性なシリカが、カルシウムと結合することで、けい酸カルシウム水和物(トベルモライト)という強度の高い安定した反応物を生成するため、製造されたコンクリートは常温で養生された場合よりも高強度なものとなります。置換率15%として使用することで高強度化が図れます。
(4)問題のとおりです。石灰石微粉末は、化学的には不活性な炭酸カルシウムです。石灰石微粉末は、水和熱を抑制するために使用されます。

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