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【カーボンニュートラルと脱炭素に違いはあるのか】-建設業を例に

カーボンニュートラルと脱炭素に違いはあるか

カーボンニュートラルと脱炭素は、同じ意味です。環境省は、次のように発表しています。

カーボンニュートラル実現に向けて
環境省はグリーン社会実現に向けて、2050年までに温室効果ガスをゼロにするカーボンニュートラル(=脱炭素)の促進活動を行っています。
(引用=環境省HP:https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/)

建設業におけるカーボンニュートラル取組の重要性

2015年のパリ協定が採択され、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑えることを目指すことが示されました。

2020年、菅首相は所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロ」を表明しました。

2020年、経団連は「2050年カーボンニュートラル(Society5.0with Carbon Neutral)実現に向けて」を公表しました。

建設業は、Society5.0が目指す「デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合によって、社会の課題を解決し、価値を創造する社会」の実現に加え、脱炭素への取組が課題となっています。

カーボンニュートラル(=脱炭素)とは?

カーボンニュートラルとは、人間活動による、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いた、実質ゼロを意味しています。

カーボン(Carbon)は炭素、ニュートラル(Neutral)は中立という意味で、カーボンニュートラルは炭素中立と訳せます。

CO2だけではない、温室効果ガス

温室効果ガスは、地表から放射された赤外線の一部を吸収することで、温室効果をもたらす気体のことです。

環境省によって年間排出量が把握されている温室効果ガスには、次の種類があります。

  • 二酸化炭素 (CO2)
  • メタン (CH4)
  • 亜酸化窒素(N2O)
  • ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs)
  • パーフルオロカーボン類 (PFCs)
  • 六フッ化硫黄 (SF6)

カーボンニュートラルは、カーボン(炭素)を含む二酸化炭素だけではなく、温室効果ガス全般を指します。

建設業界のCO2排出量

建設業界のCO2排出量を考えるときに、次の2つに分けます。

①施工段階で排出される量
②施設運用段階で排出される量

グラフを見ると、施工段階(建設資材生産+建設にかかわる運輸+建設工事)で排出されるCO2と施設運用段階(業務用施設運用+家庭用施設運用)で排出されるCO2の量は同じくらいであることがわかります。

建設関連のCO2排出割合

(参考:建設施工段階における二酸化炭素
(CO2)排出量原単位の一例=https://www.jstage.jst.go.jp/article/proge1998/10/0/10_0_13/_pdf

上のグラフは1995年のものですが、割合に関しては、現状でもほぼ変わらないと推測します。

施工段階で排出されるCO2

このページでは、施工段階に排出されるCO2について扱います。

施工段階で排出されるCO2は、主に次の2つです。

①建設資材の生産
②運輸、工事(重機使用)による電力や化石燃料の使用

建設資材の生産で排出されるCO2

建設資材の生産で排出されるCO2のなかでも、コンクリート製造時に使われる”セメント”の生産で排出されるCO2は大量で、それだけでも日本全体のCO2排出量の約3%にも達します。

セメントの製造には、原料を焼く「焼成」という工程があります。その温度は最高で1450℃に達するため、CO2が大量に排出されます。

この、セメントの生産で排出されるCO2を削減するための技術として、代表的な例を2つ挙げます。

①セメントの代わりに別の材料を使用する
②コンクリート材料に二酸化炭素を吸収させる

高炉スラグを使用するコンクリート

セメントの代わりに、銑鉄製造で発生する高炉スラグを混合することで、CO2の排出を減らすことができる点に着目したコンクリートの開発がなされています。

産業副産物である高炉スラグを混合するため、省資源化にも役立ちます。

課題としては、高炉スラグを用いたセメントは、中性化を早め、鉄筋などコンクリート内部の鋼材の腐食を引き起こしやすくなります。

二酸化炭素を吸収させるコンクリート

製造過程で多くの二酸化炭素が出るセメントの代わりに、炭酸カルシウムを使ってコンクリートを製造する技術の開発もなされています。

炭酸カルシウムは、工場の排気ガスなどに含まれる二酸化炭素をカルシウムが溶けた水溶液に吹き込んで作ります。

この方法で、コンクリート1m3当たりで、最大170kgの二酸化炭素を中に封じ込めることができるということです。

二酸化炭素を直接吸収させると内部の鉄筋が腐食しやすくなりますが、今回の技術では二酸化炭素を炭酸カルシウムに変えることなどで、この課題を解決したということです。

課題としては、既存のセメント製造設備のままでは使用ができないため、製造工程の確立が必要であることです。

運輸、工事(重機使用)による電力や化石燃料の使用

運輸、工事(重機使用)によるCO2排出割合

工事中に発生するCO2は、軽油使用によるCO2排出量の割合が75%と圧倒的に高いです。工事現場で使用する重機・建設機械の燃料は軽油です。

工事現場のCO2排出量の削減は、燃料の使用を抑えるかがカギになります。

バイオディーゼル

バイオディーゼル燃料は、植物性の食用油を精製した再生燃料です。

バイオディーゼル燃料は、カーボンニュートラル燃料(CO2排出量をカウントしない燃料)として工事現場での利用が期待されていますが、その利用にあたっては、次のような課題があります。

①バイオディーゼル燃料の品質にばらつきがあり、機械や車両にダメージを与えたとさ
れる事例がある
②供給量が不安定で、必要な時に必要な量の燃料が確保できない
③法規制、届出、税法等への標準的な対応が整備されておらず、入口のハードルが高い

まとめ

カーボンニュートラルとは、人間活動による、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いた、実質ゼロを意味しています。

建設現場でカーボンニュートラルを実現するためには、つぎのような対策方法があります。

①セメントなどの建設資材の生産で排出されるCO2を削減すること
②CO2を排出する重機、建設機械の燃料をバイオディーゼルにすること

カこれらの対策方法が、一般に浸透していくためには①品質確保②コスト低減③法規制の整備などが必要です。

以上、建設業とカーボンニュートラルについて学んだことをまとめました。

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