【液状化のメカニズム】液状化する5条件まとめ
液状化とは?
液状化は、固体であるはずの地盤が、地震によって液体のような振る舞いをする現象です。
引用元:国交省:液状化の基礎知識
(https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_fr1_000011.html)
液状化のメカニズム
①地震によって、地盤にせん断力(水平方向の力)が繰返し作用し、砂の粒子がかみ合うことで、砂質土の体積が減少する
②砂の粒子に囲まれた水の水圧(間隙水圧)が上昇する
③水圧により、砂の粒子が押し返され浮遊状態となり、粒子同士のかみ合いによる摩擦力(有効応力)が0となる
④砂の粒子が密に詰まる
上記が液状化のメカニズムです。③のときに地盤が液体のようにふるまい、地上の隙間から噴砂となって噴き出す場合があります。
そして、このメカニズムが生じるためには、5つの条件がすべてそろう必要があります。
(https://www.jishin.go.jp/main/pamphlet/wakaru_qa/wakaru_qa.pdf)
液状化の5条件
<条件1> 砂地盤であること
<条件2> 水が存在すること
<条件3> 締め固まっていないこと
<条件4> 粒径がそろっていること
<条件5> 繰り返しの地震(せん断力)を受けること
条件1~5、すべてが満たされたとき、液状化を起こす危険性があります。
続いて、それぞれの条件について少し詳しくまとめます。
条件1 砂地盤であること
液状化は、砂質土で生じます。シルトや粘性土では生じません。砂質土の工学的な判別は、細粒分の量によって判断されます。
細粒分とは、JISによると粒径が0.075mm未満の土粒子をいいます。
砂質土:細粒分が15%以上50%未満
シルト、粘性土:細粒分が50%以上
<参考>JISによる粒径区分
<tr<粘土シルト砂れき石
JIS A 1204 | 細粒分 | 粗粒分 | 石分 | ||
粒径(mm) | 0.005 | 0.075 | 2.0 | 75.0 |
条件2 水が存在すること
液状化は、水が存在する砂質土(飽和砂質土)で生じます。飽和砂質土が地震時にせん断力を繰返し受けることで、間隙水圧が上昇します。
その結果、砂の粒子が水圧により押し戻され、粒子がバラバラになることで粒子同士のかみ合いの力(せん断強さ)が消失します。この状態のときに、本来個体である砂が液体のような振る舞い(液状化)をします。
その後、砂は密に詰まります。
条件3 締め固まっていないこと
”ゆるい砂”と”密な砂”は地震時に受けるせん断力によって、それぞれ別の減少が生じます。つまり、 ゆるい砂 と 密な砂 は特性が異なります。
ゆるい砂
締め固まっていない、ゆるい砂はせん断力を受けると締め固まります。
その結果、砂の粒子同士の空隙(間隙比)が減少することで、体積が減少します。
そして、体積減少した部分の間隙水圧が上昇します。
密な砂
せん断力を受けると、砂が緩みます。
その結果、砂粒子同士の空隙(間隙比)が増加することで、体積が膨張します。
そして、体積膨張した部分の間隙水圧が減少します。
条件4 粒径がそろっていること
粒径がそろっていると、空隙が大きく液状化しやすくなります。
粒径がそれっていないと、空隙が小さく、液状化しにくくなります。
条件5 繰り返しの地震(せん断力)を受けること
液状化は、地震による繰り返しのせん断力を受けることにより生じます。地震の揺れの大きさ(震度)が大きければ液状化が起きるというわけではありません。東日本大震災では、震源から遠く離れた千葉の浦安などでも液状化が生じました。これは、地震によって、地盤が何度も揺さぶれれることにより生じたものです。
液状化現象の動画
引用元:香取市公式動画チャンネル「カトリミンナ」(youtube)
液状化対策
液状化対策工は、液状化は5条件がすべてそろわないと生じないことから、それぞれの条件に対して、対策が行われます。
<条件1> 砂地盤であること
・・・地盤改良
<条件2> 水が存在すること
・・・グラベルドレン工法
<条件3> 締め固まっていないこと
・・・バイブロフーテーション工法、サンドコンパクション工法
ここでは詳しくは解説しませんが、条件3の締め固まっていないことに対する対策工法が一般的に用いられます。
以上、液状化のメカニズムについてまとめました。参考になりましたら幸いです。