【H27_No.6~10】コンクリート主任技士 問題と解説
【(H27)-No.6】
コンクリートの配(調)合の補正に関する次の記述のうち不適当なものはどれか。
(1)単位水量を一定としてスランプを18cmから21cmにするため、AE減水剤を高性能AE減水剤に変更するとともに、細骨材率を大きくした。
(2)同一スランプが得られる範囲で空気量を小さくするため、AE剤の使用量を減らし、さらに、単位水量および細骨材率を小さくした。
(3)夏期において練上がり温度が高くなることが予想されたので、所定のスランプおよび空気量を得るために、AE剤の使用量を増加した。
(4)細骨材を粗粒率が大きいものに変更したので、同一のスランプとなるように、単位水量を変えずに細骨材率を大きくした。
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正解(2)
(1)〇:問題のとおりです。AE減水剤を高性能AE減水剤にすると、スランプが大きくなります。さらに、細骨材率を大きくするとスランプが大きくなります。
(2)×:誤りです。空気量を減らすために、AE剤の使用量を減らすこと、および細骨材率を小さくすることは有効です。しかし、単位水量を減らすと空気量は大きくなります。
(3)〇:問題のとおりです。練上がり温度が高くなることが予想される場合、所定のスランプおよび空気量を得るためには、AE剤の使用量を増加させることは効果的です。
(4)〇:問題のとおりです。細骨材を粗粒率の大きいものに変更した場合、同一のスランプとなるように、単位水量を変えずに細骨材率を大きくすることは効果的です。
【(H27)-No.7】
コンクリートの配(調)合の補正に関する次の記述のうち不適当なものはどれか。
(1)マスコンクリート部材である橋脚の施工において、セメントの水和熱を低減させるため、低熱ポルトランドセメントを用いるとともに、呼び強度を保証する材齢を28日から91日に変更した。
(2)建築物のバルコニーの施工において、コンクリートの凍結融解作用に対する抵抗性を高めるため、排水勾配と水切りを設けたうえで、空気量の目標値を4.5%から5.5%に変更した。
(3)厚さが200mmの壁の施工において、コンクリートの充填性を高めるため、スランプを15cmから18cmに、単位粗骨材かさ容積を0.650m3/m3から0.700m3/m3に変更した。
(4)高密度に配筋された部材の施工において、高流動コンクリートの材料抵抗性を高めるため、水粉体比を40%から35%に変更するとともに、増粘剤の使用量を増加し、そのうえで、所定のスランプフローが得られるように高性能AE減水剤の使用量を増やした。
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正解(3)
(1)〇:問題のとおりです。マスコンクリート部材である橋脚の施工において、セメントの水和熱を低減させるため、低熱ポルトランドセメントを用いるとともに、呼び強度を保証する材齢を28日から91日に変更するのは効果的です。
(2)〇:問題のとおりです。建築物のバルコニーの施工において、コンクリートの凍結融解作用に対する抵抗性を高めるため、排水勾配と水切りを設けたうえで、空気量の目標値を4.5%から5.5%に変更するのは効果的です。
(3)×:誤りです。単位粗骨材かさ容積を増大させると、細骨材率が小さくなり、充填性が低下します。
(4)〇:問題のとおりです。高密度に配筋された部材の施工において、高流動コンクリートの材料抵抗性を高めるため、水粉体比を40%から35%に変更するとともに、増粘剤の使用量を増加し、そのうえで、所定のスランプフローが得られるように高性能AE減水剤の使用量を増やすことは効果的です。
【(H27)-No.8】
マスコンクリートの温度ひび割れを抑制するため、下表に示すように単位結合材量を300kg/m3とし、その質量の20%をフライアッシュで置換した。コンクリートを1m3製造する際の水と粗骨材の計量値の組合せのうち、正しいものはどれか。
ただし、セメントおよびフライアッシュの密度はそれぞれ3.16g/cm3および2.30g/cm3、細骨材および粗骨材の表乾密度はそれぞれ2.55g/cm3および2.63g/cm3とする、また、コンクリート製造時の細骨材の表面水率は2.8%で、細骨材は表乾状態のものを用いることとする。
ただし、セメントおよびフライアッシュの密度はそれぞれ3.16g/cm3および2.30g/cm3、細骨材および粗骨材の表乾密度はそれぞれ2.55g/cm3および2.63g/cm3とする、また、コンクリート製造時の細骨材の表面水率は2.8%で、細骨材は表乾状態のものを用いることとする。
水結合材比 (%) |
空気量 (%) |
細骨材率 (%) |
単位結合材量 (kg/m3) |
55.0 | 4.5 | 46.5 | 300 |
計量値(kg) | ||
水 | 粗骨材 | |
(1) | 140~144 | 960~970 |
(1) | 140~144 | 990~1000 |
(1) | 135~139 | 960~970 |
(1) | 135~139 | 990~1000 |
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正解(1)
重さと体積、密度の表を作成します。
水結合材比=重量比
細骨材率=容積比
表面水率=重量比
であることに注意して、表を完成させていきます。
水結合材比=重量比
細骨材率=容積比
表面水率=重量比
であることに注意して、表を完成させていきます。
【(H27)-No.9】
コンクリートの凝結に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか。
(1)骨材や練混ぜ水に含まれる成分のうち、海砂や海水中に含まれる塩分、また、糖類、腐植土などの有機物は凝結を早める。
(2)超遅延剤は、オキシカルボン酸などを主成分とし、セメント粒子の表面に吸着して、水とセメントの接触を一定時間遮断することによってコンクリートの凝結を遅延させる効果がある。
(3)JIS A 1147(コンクリートの凝結時間試験方法)によって測定したコンクリートの始発時間は、JIS R 5201(セメントの物理試験方法)によって測定した、そのコンクリートに用いたセメントの始発時間と等しい。
(4)JIS A 1147(コンクリートの凝結時間試験方法)に規定するコンクリートの始発時間は、練混ぜが終了した時点から、貫入抵抗値が28.0N/mm2に達するまでの経過時間のことである。
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正解(2)
(1)×:誤りです。海水中に含まれる塩分は、セメントの凝結を早めます。一方、糖類や腐植土などの有機不純物は凝結を遅延させます。
(2)〇:問題のとおりです。超遅延剤は、オキシカルボン酸などを主成分とし、セメント粒子の表面に吸着して、水とセメントの接触を一定時間遮断することによってコンクリートの凝結を遅延させる効果があります。
(3)×:誤りです。練混ぜられたコンクリートの配合条件における凝結時間と、セメントペーストのみの凝結時間は異なります。
(4)×:誤りです。コンクリートの凝結時間試験方法に規定するコンクリートの始発時間は、練混ぜが終了した時点から、貫入抵抗値が3.5N/mm2に達するまでの経過時間のことです。終結時間は貫入抵抗値が28.0N/mm2に達するまでの経過時間のことです。
【(H27)-No.10】
コンクリートの空気量に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか。
(1)比表面積の大きなセメントを用いると、コンクリートの粘性が増大し、AE剤により連行される空気量は増加する。
(2)細骨材のうち0.15mm以下の粒子が増加すると空気は連行されにくく、また、0.3~0.6mmの粒子が増加すると空気は連行されやすい。
(3)回収水を用いると、回収水中のスラッジ固形分の影響により、固形分率が3%未満であっても空気量は増加する。
(4)流動化剤は空気連行性を有するため、流動化コンクリートに用いるベースコンクリートの空気量は所要の空気量より小さくしておくのがよい。
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正解(2)
(1)×:誤りです。比表面積の大きなセメントを用いると、コンクリートの粘性が増大し、AE剤による空気連行性が小さくなるため、連行される空気量は減少します。
(2)〇:問題のとおりです。細骨材のうち0.15mm以下の粒子が増加すると空気は連行されにくく、また、0.3~0.6mmの粒子が増加すると空気は連行されやすくなります。
(3)×:誤りです。回収水を用いると、回収水中のスラッジ固形分の影響により、固形分率が3%未満であっても空気量は減少します。スラッジ固形分は微粒であるため、粘性が増し、空気連行性が小さくなるため、連行される空気量が減少します。
(4)×:誤りです。流動化剤は空気連行性を有していません。そのため、流動化コンクリートに用いるベースコンクリートの空気量は所要の空気量より小さくしておく必要はありません。