【No.176】
水中不分離性コンクリートの施工計画に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートのスランプを8cmとした。
(2)流速が50cm/sの流水中に打ち込むこととした。
(3)コンクリートポンプにかかる圧送負荷を,一般のコンクリートと同程度とみなした。
(4)打ち込み時の水中流動距離が,5m以下になるようにした。
クリックで【No.176】の解答と解説をみる
正解は(4)
【解説】
(1)×誤り。水中不分離性コンクリートは,水中不分離性混和剤と高性能減水剤の混和により,材料分離抵抗性と流動性を高めた水中コンクリートです。水中不分離性コンクリートは高いレベリング性を有するため,流動性はスランプフローで表示します。
(2)×誤り。水中不分離性コンクリートは高い材料分離抵抗性を有していますが,流速の大きい水中に打ち込んだ場合は,材料分離を生じることがあります。そのため,水中不分離性コックリードの打ち込みは,静水中(流速5cm/s程度以下)で行うことを原則としています。
(3)×誤り。一般に,水中不分離性コンクリートをコンクリートポンプで圧送する場合の圧送負荷は通常のコンクリートの2~3倍,打ち込み速度は1/2~1/3程度となります。
(4)○正しい。水中不分離性コンクリートは流動性が大きく粘性も高いため,水中で高い充填性やレベリング性を発揮します。しかし,水中で過度に流動させると,品質低下や不均質性を生じることがあるため,水中流動距離は5m以下とすることを原則としています。
【No.177】
その他コンクリートに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)一般に,湿式吹付けは,乾式吹付けと比較して粉じんやリバウンドが少なく,吹き付けられたコンクリートの品質も安定している。
(2)カンマ線およびχ線に対するコンクリート壁体の遮へい効果は,コンクリートの密度と壁体の厚さとの積が大きいほど,大きい。
(3)吹付けコンクリートの施工方法には湿式と乾式があり,湿式では粉じんやリバウンドが少なく,乾式では圧送距離や吹き付けるまでの時間を長くとれる。
(4)高強度コンクリートは,火災時のような急激な加熱を受けると爆裂しやすい。
クリックで【No.177】の解答と解説をみる
正解は全て
【解説】
(1)○正しい。吹き付けコンクリートは,圧縮空気によって打ち込み箇所に吹き付けて施工するコンクリートで,型枠を使用することなく広い面積に比較的薄いコンクリート層を施工する方法です。吹付け方式には湿式と乾式があります。湿式は,プラントであらかじめ製造したフレッシュコンクリートを吹付け機に投入し,圧縮空気やポンプにて搬送して,ノズルから吹き付ける方式です。乾式と比較して,一般に粉じんやリバウンドが少なく,吹き付けられたコンクリートの品質も安定していますが,吹付け機からノズルまで圧送できる距離が短く,機械設備の規模も大きくなります。一方,乾式は,水を含まないドライミックスのコンクリート材料を吹き付け機に投入し,圧縮空気によってノズルまで搬送して,ノズル近傍で水を加えて吹き付ける方式です。吹付け機からノズルまでの搬送距離を長くとれる,施工可能な配合に制約がない,コンクリートを練り混ぜてから吹き付けるまでの時間が長く取れるなどの長所があるのに対し,施工能力が小さい,粉じんやリバウンドが多いなどの短所もあります。
(2)○正しい。遮へい用コンクリートとは,大規模な核燃料再処理施設,原子力発電所,アイットープ貯蔵庫,医療用照射室などから逸散する放射線(カンマ線,X線,中性子線)を遮へいする目的で施工されるコンクリートです。カンマ線,X線の遮へい効果は,コンクリートの密度,さらに壁体の厚さに比例して大きくなります。つまり,コンクリートの密度と壁体の厚さとの積が大きいほど,遮へい効果は大きくなります。
(3)○正しい。吹付けコンクリートの吹付け方式の特徴を問う基本的な設問です。吹付けコンクリートは,圧縮空気によって打ち込み箇所に吹き付けて施工するコンクリートで,型枠を使用することなく広い面積に比較的薄いコンクリート層を施工することができ,吹き付け方式には湿式と乾式があります。湿式は,プラントであらかじめ製造したフレッシュコンクリートを吹き付け機に投入し,圧縮空気やポンプにて搬送して,ノズルから吹き付ける方式です。乾式と比較して,一般に粉じんやリバウンドが少なく,吹付けられたコンクリートの品質も安定していますが,吹付け機からノズルまでの圧送距離が短く,機械設備の規模も大きくなります。一方,乾式は,水を含まないドライミックスのコンクリート材料を吹き付け機に投入し,圧縮空気によってノズルまで搬送して,ノズル近傍で水を加えて吹付ける方式です。吹き付け機からノズルまでの搬送距離を長くとれる,施工可能な配合に制約がない,コンクリートを練り混ぜてから吹付けるまでの時間が長くとれるなどの長所に対し,施工能力が小さい,粉じんやリバウンドが多いなどの短所があります。
(4)○正しい。コンクリートは急激な温度上昇を受けると,セメント水和物が変質するだけでなく,セメントペースト部は収縮,骨材は膨張するという挙動を示します。加えて,コンクリート中に含まれる自由水が膨張し,内部応力を増大させることで,内部組織の破壊を引き起こす。とくに,高強度コンクリートは内部組織が通常のコンクリートより緻密であるため,急激な加熱により内部応力の増大が急激になりやすく,爆裂しやすくなります。
【No.178】
コンクリート製品の製造に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)常圧蒸気養生の前養生時間を3時間とした。
(2)常圧蒸気養生の最高温度を65℃とした。
(3)オートクレーブ養生の後に,二次養生として常圧蒸気養生を行った。
(4)常圧蒸気養生の養生温度の上昇速度を15℃/時間とした。
クリックで【No.178】の解答と解説をみる
正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。常圧蒸気養生はコンクリート打ち込み後,加熱前に常温で3時間程度の前養生が行われます。
(2)○正しい。常圧蒸気養生は前養生後,数時間最高温度(土木学会示方書では65℃)を保持します。
(3)×誤り。オートクレーブ養生はコンクリートの養生効率を上げ,大きな熱変形の繰返しや発錆による型枠の損傷を防止するため,常圧蒸気養生を行った後の二次養生として行うのが一般的です。
(4)○正しい。常圧蒸気養生はコンクリート打ち込み後,20℃/時間程度の速度で昇温させます。
【No.179】
コンクリート製品に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)常圧蒸気養生では,コンクリート打ち込み直後に加熱を開始する。
(2)加圧締め固めを行ったコンクリート製品では,脱水効果により圧縮強度が増加する。
(3)遠心力締め固めを行ったコンクリートパイルでは,脱水・脱泡効果により圧縮強度が増加する。
(4)オートクレーブ養生では,養生終了直後で材齢28日と同程度の圧縮強度が得られる。
クリックで【No.179】の解答と解説をみる
正解は(1)
【解説】
(1)×誤り。常圧蒸気養生は図1に示すような養生サイクルで行われ,コンクリート打ち込み後,加熱前に常温で2~4時間程度の前養生が行われます。
(2)○正しい。加圧締め固めを行うと,加圧によりコンクリートの脱水が行われ,水セメント比が減少し圧縮強度や耐久性の増進が図られます。
(3)○正しい。遠心力締め固めを行うと,遠心力によりコンクリートの脱水や脱泡が行われ,水セメント比が減少し圧縮強度や耐久性の増進が図られます。
(4)○正しい。オートクレーブ養生(高温高圧養生)は,180℃程度の高温高圧条件下での水熱反応によってトベルモライトのような強度の高い安定した化学反応物が生成するため,養生終了直後には普通養生した場合の材齢28日と同程度の圧縮強度が得られます。
【No.180】
コンクリート製品の一般的な養生方法に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)常圧蒸気養生を開始する前に,3時間程度の前養生を行った。
(2)常圧蒸気養生における温度上昇速度を,20℃/hに設定した。
(3)オートクレーブ養生を行った24時間後に,常圧蒸気養生を行った。
(4)オートクレーブ養生における等温等圧時の温度を180℃に設定した。
クリックで【No.180】の解答と解説をみる
正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。土木学会示方書などでは,常圧蒸気養生で温度を上げる前に2~3時間の前養生を行うことを標準としています。
(2)○正しい。土木学会示方書では,常圧蒸気養生の温度上昇速度は20℃/h以下を標準としています。
(3)×誤り。オートクレーブ養生は,図2に示すようにコンクリートの養生効率を上げたり大きな熱変形の繰返しや発錆による型枠の損傷を防止するために,常圧蒸気養生を行った後の二次養生として行うのが一般的です。
(4)○正しい。オートクレーブ養生を行うと,180℃程度の高温高圧条件下でトベルモライトと呼ばれる高強度で安定した水和物が生成されるため,養生終了直後には材齢28日と同程度の圧縮強度を得ることができます。