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【過去問演習(2)No.51-55_性質】コンクリート技士 問題と解説

【No2-11】聞き流し_コンクリート技士_一問一答

【No.51】

一般の鉄筋コンクリートの各種部材に発生するひび割れに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)床スラブにおいて,コンクリート打ち込み後の沈下によるひび割れは,鉄筋の上部に生じやすい。
(2)開口部を有する壁において,乾燥収縮によるひび割れは,開口部の隅角部から斜めに生じやすい。
(3)部材によらず,鉄筋腐食によるひび割れは,鉄筋に沿って生じやすい。
(4)両端が強く拘束されている部材において,アルカリシリカ反応によるひび割れは,亀甲状に生じやすい。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。単位水量が多いコンクリートや,打ち込み後の締め固めが不十分だった場合,コンクリートが硬化する前の打ち込み後1時間~2時間程度の間に,ブリーディングによるコンクリート表層部が下がる現象が生じます。さらに床スラブ等に配置された鉄筋がコンクリート表層部の沈下を抑えようとすると,鉄筋の上部のコンクリートを押し広げる力が作用し,鉄筋に沿ってひび割れが生じることがあります。
(2)○正しい。開口部がある建物では,乾燥収縮によって開口部の隅角部からひび割れが発生し,斜め方向に伸びます。
(3)○正しい。鉄筋が腐食し錆が発生して鉄筋の体積が膨脹することによって発生するひび割れは鉄筋に沿って生じやすいです。
(4)×誤り。アルカリシリカ反応によるひび割れは,鉄筋量が比較的少ない壁では膨脹を拘束する力が小さいため亀甲状のひび割れが生じます。一方,鉄筋量の多い部材では主鉄筋に沿ってひび割れが生じ,さらに部材両端が強く拘束される部材では拘束されている面に直角にひび割れが生じます。

【No.52】

コンクリートの圧縮強度に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)空気量が少ないと,コンクリートの圧縮強度は高くなる。
(2)練り混ぜ時間が長いと,コンクリートの圧縮強度は高くなる。
(3)供試体が乾燥していると,コンクリートの圧縮強度は濡れている場合より高くなる。
(4)円柱供試体の直径に対する高さの比が大きいと,コンクリートの圧縮強度は高くなる。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。一般に水セメント比等が一定の場合,空気量が1%増加すると硬化後の圧縮強度は4~6%低下します。
(2)○正しい。ミキサーの構造や性能が同等の場合,一般に練り混ぜ時間が短いとセメント,骨材,水が十分に混合されないため,コンクリートの組織が均質になりにくいです。そのため,練り混ぜ時間を十分に取って均質に練り混ぜられたコンクリートに比べ,硬化後の圧縮強度は小さくなります。
(3)○正しい。圧縮強度試験時に供試体を乾かすと,濡れたままの状態で試験をした場合よりも見掛けの圧縮強度は大きくなります。
(4)×誤り。供試体の形状や寸法による圧縮強度の比率は,一般に,円柱供試体の場合は,載荷面の直径に対する高さの比率が大きくなると,圧縮強度は小さくなります。

【No.53】

温度20℃,相対湿度60%の恒温恒湿環境下でコンクリートのクリープ試験を行った場合のクリープひずみに関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)同一水セメント比でセメントペースト量が多いほど,クリープひずみは小さくなる。
(2)載荷開始時の材齢が若いほど,クリープひずみは大きくなる。
(3)載荷応力度が小さいほど,クリープひずみは小さくなる。
(4)部材の断面寸法が小さいほど,クリープひずみは大きくなる。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。セメントペースト量が多いほどクリープ歪みは大きくなります。これは,一般にコンクリートが骨材とセメントペーストによって構成されており,骨材と比較してセメントペーストはクリープが大きいため,セメントペースト量が多いとよりクリープが大きくなるためです。
(2)○正しい。載荷時の材齢が若いほど,クリープは大きくなります。
(3)○正しい。載荷荷重が小さいほどクリープ歪みは小さくなります。
(4)○正しい。部材や供試体の寸法が小さいほど,測定されるクリープは大きくなります。

【No.54】

コンクリートの耐火性に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートの含水率が低いと,爆裂を生じにくい。
(2)骨材に石灰質の骨材を用いると,耐火性が低下することがある。
(3)500℃程度の高温加熱を受けると,コンクリートの圧縮強度は50~60%程度まで低下する。
(4)500℃程度の高温加熱を受けたコンクリートの弾性係数の低下率は,圧縮強度の低下率とほぼ同じである。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。コンクリートの組織が微密で水蒸気の移動や蒸発が起りにくい水セメント比の小さい高強度コンクリートなどは,火災時など急激な加熱を受けると,コンクリート中の水分の膨張圧によって爆裂を生じる可能性があります。含水率が低いと,この膨張圧が小さいため爆裂が生じにくくなります。
(2)○正しい。耐火性を向上させるためには高温特性に優れた安山岩などの火山岩系骨材や高炉スラグ骨材の使用が有効です。一方,石英を含む花崗岩や砂岩系の骨材は575℃で膨張が急増して組織が崩壊し,次いで石灰石系の骨材は750℃以上で分解が始まるため,これらの骨材を使用したコンクリートの耐火性は安山岩等を使用したコンクリートよりも小さいです。
(3)○正しい。普通コンクリートの場合,加熱温度が500℃に達すると圧縮強度は常温時の60%以下に低下します。
(4)×誤り。温度上昇に伴う弾性係数の低下の割合は,圧縮強度の低下の割合より大きいです。普通コンクリートの場合,加熱温度が500℃に達すると弾性係数は常温時の10~20%にまで低下します。

【No.55】

コンクリートの力学特性に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)圧縮強度が高くなると,圧縮強度に対する引張強度の比は大きくなる。
(2)圧縮強度が高くなると,同一応力におけるクリープひずみは小さくなる。
(3)圧縮強度が高くなると,鉄筋との付着強度は高くなる。
(4)圧縮強度が高くなると,静弾性係数は大きくなる。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。引張強度と圧縮強度の比率(引張強度/圧縮強度)は一般に1/10~1/13ですが,圧縮強度が高くなるとその比率は小さくなります。
(2)○正しい。圧縮強度が高くなるほどコンクリートの組織は密な状態となり,持続荷重が作用した場合の変形量(クリープひずみ)は小さくなります。
(3)○正しい。建設工事で一般に使用されている鉄筋のほとんどは,表面にリブをもつ異形鉄筋であり,鉄筋とコンクリートとの付着強度はこのリブ面のコンクリートの局部圧縮力の大小におおむね比例します。
(4)○正しい。コンクリートの静弾性係数(ヤング係数)と圧縮強度との関係は,圧縮強度の増大に伴って静弾性係数も緩やかに増大します。ただし,圧縮強度の増加に伴う静弾性係数の増加の割合は圧縮強度の増加に伴って小さくなります。
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