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【過去問演習(2)No.61-65_性質】コンクリート技士 問題と解説

【No2-13】聞き流し_コンクリート技士_一問一答

【No.61】

硬化コンクリートの性質に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)粗骨材の最大寸法が大きいコンクリートは,透水係数が大きくなる。
(2)緻密なコンクリートは,急激な加熱による爆裂が生じにくくなる。
(3)吸水性が高いコンクリートは,表面が汚れやすくなる。
(4)多量の気泡を導入したコンクリートは,熱伝導率が小さくなる。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。粗骨材の最大寸法が大きくなると粗骨材の下面の水隙が大きくなり,水の通り道ができやすくなります。このようなコンクリートは水密性が低く,透水係数が大きいです。
(2)×誤り。コンクリートの組織が緻密で水蒸気の移動や蒸発が起りにくい水セメント比の小さい高強度コンクリートなどは,火災時など急激な加熱を受けると水分の膨張圧によって爆裂を生じる可能性が高くなります。
(3)○正しい。水セメント比の大きいコンクリートは,セメントペーストの毛細管が大きくなり水の通路ができやすくなります。そのため,吸水性の高いコンクリートになります。このようなコンクリートの表面は凹凸が多く雨水などを吸水しやすく,乾燥後に雨水に溶け込んでいた大気中の粉じん等が固着し表面が汚れやすくなります。また,セメントの水和生成物である水酸化カルシウムが浸人した雨水に溶け,コンクリート表面に溶出しさらに炭酸ガスと化合して炭酸ナトリウムや炭酸カルシウムとなりエフロレッセンス(白華)がコンクリート表面に生成されます。
(4)○正しい。石灰質原料(CaO)と珪酸質原料(SIO2)を主原料にして発泡剤(アルミニウム粉末)を加えて大量の気泡を導入した気泡コンクリート,および軽量コンクリートなどは,内部に空気の断熱層を有するため,普通コンクリートよりも熱伝導率が小さいです。

【No.62】

硬化コンクリートの性質に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリート円柱供試体の圧縮強度は,キャッピング面の凹凸の影響を受け,凸の場合は見かけの圧縮強度が上昇する。
(2)コンクリートの動弾性係数は,静弾性係数よりも一般に10~40%程度小さい値を示す。
(3)石灰岩を骨材に用いたコンクリートの熱膨張係数は,硬質砂岩を骨材に用いたコンクリートの熱膨張係数よりも一般的に小さい。
(4)同一水セメント比の場合,粗骨材の最大寸法が大きいほどコンクリートの透水係数は大きくなる。
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正解は(1)(2)

【解説】
(1)×誤り。コンクリートの圧縮強度試験に使用する供試体の作り方はJISA1132ー2014(コンクリートの強度試験用供試体の作り方)に規定されており,供試体載荷面の平面度は直径の0.05%以内とされています。圧縮強度に及ぼすキャッピング面の凹凸の影響は,凸の場合に大きく,平滑であった場合と比較して30%程度低下する場合もあります。
(2)×誤り。コンクリートの動弾性係数は,コンクリートを弾性体と仮定し,その縦共振振動数や伝搬速度を測定して理論的に求めた弾性係数です。一方,コンクリートの静弾性係数は,圧縮強度試験から得られた応力度をひずみ度で除して求めた弾性係数です。通常,試験開始点とコンクリートの破壊荷重の1/3の点を結んだ割線弾性係数を静弾性係数と評しています。動弾性係数と静弾性係数を比較した場合,動弾性係数は静弾性係数よりも一般に10~40%程度大きい値を示します。
(3)○正しい。コンクリートの熱膨張係数は,通常の温度範囲では7~13×10-6程度で,水セメント比や材齢による影響は小さいが,骨材の岩質による影響は大きいです。石灰岩を用いたコンクリートがもっとも小さく,玄武岩,花崗岩,硬質砂岩,石英岩の順で熱膨張係数が大きくなります。
(4)○正しい。一般に粗骨材の最大寸法が大きくなると骨材下面の水隙が大きくなり(水の通り道が大きくなり),同一の水セメント比のコンクリートでも透水係数が大きくなり水密性が低下します。

【No.63】

硬化コンクリートの性質に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)骨材はセメントペースト,モルタル,コンクリート,骨材の中でもっとも組織が均一で,弾性体に近い挙動を示し弾性係数も高い。
(2)コンクリートは骨材(細骨材および粗骨材)とセメントペーストから構成される複合体で,完全な弾性体ではなく,セメントペーストや骨材自体の強度よりも,これら相互の界面部分がもっとも脆弱で,外力を受けるとこの界面に微細なひび割れが発生し,応力-ひずみ曲線は載荷のごく初期には直線的であるが,応力の増加とともにひび割れが発生し,曲線的な挙動を示す。
(3)モルタルは細骨材とセメントペーストから構成される複合体で,組織の均一性はコンクリートとセメントペーストの中間にあり,その結果,弾性係数はコンクリートよりも低いがセメントペーストよりも高く,ひび割れが発生する応力はコンクリートよりも高い。
(4)セメントペーストはセメントと水の水和反応によって構成され,弾性係数はセメントペースト,モルタル,コンクリート,骨材の4種類の中でもっとも低い。ただし,コンクリートやモルタルのように骨材との界面がないため組織はこれらより均一で,骨材に似た弾性挙動を示す。
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正解は全て

【解説】
(1)○正しい。骨材はセメントペースト,モルタル,コンクリート,骨材の中でもっとも組織が均一で,弾性体に近い挙動を示し弾性係数も高いです。
(2)○正しい。コンクリートは骨材(細骨材および粗骨材)とセメントペーストから構成される複合体で,完全な弾性体ではありません。セメントペーストや骨材自体の強度よりも,これら相互の界面部分がもっとも脆弱で,外力を受けるとこの界面に微細なひび割れが発生し,応力-ひずみ曲線は載荷のごく初期には直線的ですが,応力の増加とともにひび割れが発生し,曲線的な挙動を示します。
(3)○正しい。モルタルは細骨材とセメントペーストから構成される複合体で,組織の均一性はコンクリートとセメントペーストの中間にあります。その結果,弾性係数はコンクリートよりも低いがセメントペーストよりも高く,ひび割れが発生する応力はコンクリートよりも高いです。
(4)○正しい。セメントペーストはセメントと水の水和反応によって構成され,弾性係数はセメントペースト,モルタル,コンクリート,骨材の4種類の中でもっとも低いです。ただし,コンクリートやモルタルのように骨材との界面がないため組織はこれらより均一で,骨材に似た弾性挙動を示します。

【No.64】

硬化コンクリートの性質に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートのクリープひずみは,水セメント比が同じ場合,セメントペーストの量が多いほど大きい。
(2)コンクリートの透水係数は,一般に粗骨材の最大寸法が大きいほど大きい。
(3)コンクリートの圧縮強度が高くなるほど,引張強度の圧縮強度に対する比(引張強度/圧縮強度)は小さくなる。
(4)骨材の弾性係数が小さいほど,コンクリートの乾燥収縮ひずみが小さくなる。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。クリープとは,コンクリートに荷重が持続的に作用した場合に時間の経過とともにひずみが増大する現象をいいます。ひずみは弾性ひずみとクリープひずみに大別され,弾性ひずみに対するクリープひずみの比率をクリープ係数といいます。コンクリートは骨材(細骨材および粗骨材)とセメントペーストによって構成されています。骨材と比較してセメントペーストはクリープが大きいため,セメントペースト量が多くなるほどコンクリートのクリープは大きくなります。
(2)○正しい。コンクリートの水密性に影響を及ぼす要因としては,施工による要因とコンクリートの物性による要因の2種類があります。施工による要因としては,材料分離やひび割れなど施工欠陥によるものがあります。その他,使用材料の種類,水セメント比,粗骨材の最大寸法,養生方法などがあります。水密性を評価する指標としては次の透水係数があり,この数値が大きくなると水密性が低下します。一般に粗骨材の最大寸法が大きくなると骨材下面の水隙が大きくなり(水の通り道が大きくなり),同一の水セメント比のコンクリートでも透水係数が大きくなり水密性が低下します。
(3)○正しい。一般的な圧縮強度の範囲では,コンクリートの引張強度は圧縮強度のほぼ1/10~1/13です。しかし,高強度になるとその比率(引張強度/圧縮強度)は小さくなります。
(4)×誤り。コンクリートの乾燥収縮に影響を及ぼす要因には単位水量,セメント量,セメントの種類,骨材の品質,空気量,養生方法等があげられます。骨材については,その弾性係数が大きいほど,コンクリート内部の拘束力が高まり乾燥収縮ひずみは小さくなります。

【No.65】

硬化コンクリートの性質に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)直径が等しいコンクリート供試体の圧縮強度の試験結果は,直径に対する高さの比が小さくなるほど低くなる。
(2)硬化コンクリートのクリープひずみは,載荷開始時の材齢が若いほど大きくなる。
(3)コンクリートの弾性係数(ヤング係数)は,圧縮強度に比例する。
(4)コンクリートのクリープひずみは,セメントペースト量が多いほど大きい。
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正解は(2)(4)

【解説】
(1)×誤り。コンクリート供試体の形状や寸法はコンクリートの破壊性状に大きな影響を及ぼします。一般的には,供試体の直径に対する高さの比が小さいほど見かけの圧縮強度は大きくなります。
(2)○正しい。コンクリート中でクリープに関与するのは,主にセメントペーストの部分です。載荷開始時の材齢が若いコンクリートほど,セメントペースト部分の組織が載荷荷重によって弛緩しやすくなり,クリープひずみが大きくなります。
(3)×誤り。コンクリートの弾性係数(ヤング係数)と圧縮強度の関係は,一般的な強度の範囲では,その比率は圧縮強度が大きくなると小さくなります。さらに高強度・超高強度コンクリートの範囲では,その比率が小さくなります。
(4)○正しい。クリープとは,荷重が持続的に続いた場合の時間の経過とともに初期のひずみが増大する現象をいいます。弾性ひずみに対するクリープひずみの比率をクリープ係数と呼びます。クリープに影響する要因としては,コンクリートの配・調合,材齢,載荷荷重,養生方法,使用材料の品質などがあり,たとえばセメントペーストが多いほど,骨材容積が小さいほどクリープは大きくなります。
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