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【過去問演習(2)No.71-75_耐久性】コンクリート技士 問題と解説

【No2-15】聞き流し_コンクリート技士_一問一答

【No.71】

コンクリートの耐久性の向上を目的とした混合セメントの使用に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)アルカリシリカ反応を抑制するため,高炉セメントB種を用いた。
(2)中性化速度を遅くするため,高炉セメントC種を用いた。
(3)海水に対する化学的抵抗性を向上させるため,フライアッシュセメントB種を用いた。
(4)温度ひび割れを抑制するため,フライアッシュセメントC種を用いた。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。高炉スラグは,セメントの水和過程で生成するCa(OH)2と反応してOH濃度を減少させるとともに潜在水硬性の発現により細孔構造を密にします(水やアルカリイオンが移動しにくくなる)ことで,アルカリシリカ反応を抑制する効果を発揮します。ただし,その効果を得るには,高炉スラグの質量分率40%以上(高炉セメントB種またはC種相当)でなければなりません。
(2)×誤り。高炉セメントに含まれる高炉スラグ微粉末は,セメントの水和過程で生成する水酸化カルシウムと反応してコンクリート中のOH濃度を減少させます。そのため,高炉スラグの質量分率が大きいセメントほどコンクリート中のpHは低くなり中性化速度は大きくなります。
(3)○正しい。フライアッシュセメントを用いたコンクリートは十分に湿潤養生を行うと,フライアッシュ周辺部がポゾラン反応生成物で満たされ水密性が大幅に向上します。また,セメントの水和反応に際して遊離石灰の生成も少なくなるため,海水に対する化学的抵抗性も大きくなります。
(4)○正しい。フライアッシュをセメントの一部と代替して使用した場合,セメントの水和熱の発生が緩和されるため,温度ひび割れの抑制に有効です。とくに,フライアッシュの質量分率の大きいフライアッシュセメントC種ほどその効果は高いです。

【No.72】

コンクリートの水セメント比を60%から40%にした場合の耐久性に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートの水セメント比を60%から40%にした場合,中性化速度は,速くなる。
(2)コンクリートの水セメント比を60%から40%にした場合,耐凍害性は,低下する。
(3)コンクリートの水セメント比を60%から40%にした場合,塩化物イオンの拡散係数は,小さくなる。
(4)コンクリートの水セメント比を60%から40%にした場合,アルカリシリカ反応の抑制効果は,向上する。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。中性化とは,大気中の二酸化炭素がコンクリート内に侵入し,コンクリート中の水酸化カルシウムと反応して炭酸カルシウムに変化し,コンクリートのpHを低下させる現象です。水セメント比が小さいほど,コンクリートの細孔構造は緻密になり二酸化炭素の侵入が抑制されるため,中性化速度は小さくなります。
(2)×誤り。凍害は,コンクリートに含まれる水分が凍結し,水の凍結膨張に見合う水分がコンクリート中を移動する際に生じる水圧がコンクリート組織を破壊させる現象です。水セメント比を小さくして密実な組織のコンクリートにすることは耐凍害性の向上に有効です。
(3)○正しい。塩化物イオンの拡散係数とは,コンクリート中における塩化物イオンの移動・拡散のしやすさを示す指標であり,この値が大きいほど塩化物イオンが移動・拡散しやすいことを表す。水セメント比を小さくしてコンクリートの組織が密実になるほど,塩化物イオンの拡散係数は小さくなります。
(4)×誤り。アルカリシリカ反応は,セメントから供給されるコンクリート中の水酸化アルカリが少ないほど抑制できます。すなわち,セメント量が大きい(水セメント比の小さい)ほど,アルカリシリカ反応は促進されやすくなります。

【No.73】

コンクリートの耐久性に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)海水に含まれる硫酸マグネシウム(MgSO4)は,コンクリート中の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と反応して膨張性の物質を生成し,コンクリートの劣化を促進させる。
(2)帯(鉄)筋の腐食に伴う体積膨張が原因となり,鉄筋コンクリート柱部材のかぶり部分に帯(鉄)筋に直角方向のひび割れが発生することがある。
(3)コンクリートの中性化範囲は,フェノールフタレインの1%エタノール溶液をコンクリートのはつり部分などに噴霧し,赤紫色に着色しない範囲として判定する。
(4)化学法で“無害でない”と判定された骨材をモルタルバー法で試験したところ“無害”と判定されたのでJISA5308附属書A(レディーミクストコンクリート用骨材)の規定に照らして,「区分A」と判定した。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。海水にはさまざまな塩類が含まれていますが,コンクリートに有害な劣化を引き起す塩類に硫酸マグネシウム(MgSO4)と塩化マグネシウム(MgCl)があります。このうち,硫酸マグネシウムはもっとも深刻な劣化を引き起すものであり,セメントの水和生成物である水酸化カルシウムと反応して石こうの結晶と水酸化マグネシウムを生成します。両者とも体積膨張を伴う物質ですが,石こうの一部はセメント中のアルミン酸三カルシウムと反応してエトリンガイトを生成し,エトリンガイトが吸水膨張することでコンクリートの組織を著しく破壊させます。設問の膨張性の物質とはエトリンガイトを指しています。
(2)×誤り。鋼材腐食に伴う体積膨張が原因となってコンクリート表面に現れる変状は,一般には鋼材軸に沿った方向の線状のひび割れの形態を示すことが多いです。しかし,かぶりが小さい場合などは,ひび割れではなく,鋼材の露出を伴うようにかぶりコンクリートが面的に剥離・剥落する形態となることもあります。本問の鉄筋コンクリート柱部材の場合は,帯(鉄)筋のかぶりが主鉄筋よりも小さいため,帯(鉄)筋の腐食が先行することで,帯(鉄)筋に沿う方向のひび割れや,帯(鉄)筋が露出するような剥離・剥落等の変状がみられることが多いです。
(3)○正しい。コンクリートの中性化範囲は,一般にフェノールフタレインの1%エタノール溶液をコンクリートのはつり面や採取したコアの割裂面に噴霧して調べる方法(JISA1152ー2011(コンクリートの中性化深さの測定方法))で調査し,中性化していない範囲は赤紫色に着色した範囲,中性化した範囲は着色しない範囲として判定します。
(4)○正しい。骨材のアルカリシリカ反応性試験方法には,一般に,JISA1145ー2007(骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(化学法))およびJISA1146ー2007(骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(モルタルバー法))が用いられ,両試験結果とも区分A(無害)と区分B(無害でない)に区分して判定します。両試験の結果が区分Aの場合,もしくは,化学法で区分Bかつモルタルバー法で区分Aの場合はその骨材を「区分A」,化学法で区分Aかつモルタルバー法で区分Bの場合,もしくは,両試験の結果が区分Bの場合はその骨材を「区分B」と判定します。

【No.74】

コンクリートの配(調)合において,水セメント比を小さくした場合の効果に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートの配(調)合において,水セメント比を小さくした場合,中性化に対する抵抗性を向上させる効果がある。
(2)コンクリートの配(調)合において,水セメント比を小さくした場合,アルカリシリカ反応による膨張を抑制する効果がある。
(3)コンクリートの配(調)合において,水セメント比を小さくした場合,水和熱による温度応力を低減する効果がある。
(4)コンクリートの配(調)合において,水セメント比を小さくした場合,火災による爆裂を防止する効果がある。
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正解は(1)

【解説】
(1)○正しい。水セメント比が小さくなると,密実なコンクリートが得られ,空気中の二酸化炭素の作用を受け難く中性化に対する抵抗性が向上します。
(2)×誤り。水セメント比が小さくなると,細孔溶液中により多くの水酸化アルカリが存在することになり,反応性鉱物を含む骨材があると膨張します。
(3)×誤り。水セメント比が小さくなると,水和反応による発熱は大きくなり,温度応力による影響は増大します。
(4)×誤り。水セメント比が小さくなると,緻密なコンクリートが得られますが,火災による急激な加熱によって爆裂を起こすことがあります。

【No.75】

同一のスランプを得るためのコンクリートの配(調)合修正に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)細骨材が微粒分の多いものに変わると,単位水量は大きくなる。
(2)粗骨材が実積率の大きいものに変わると,単位水量は小さくなる。
(3)粗骨材が川砂利から砕石に変わると,細骨材率は小さくなる。
(4)粗骨材が最大寸法の大きいものに変わると,単位水量は小さくなる。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。細骨材が泥分や石粉などの微粒分の多いものに変わると,同一スランプを得るための単位水量は大きくなります。
(2)○正しい。粗骨材が実積率の大きいものに変わると,同一スランプを得るための単位水量は小さくなります。
(3)×誤り。粗骨材が川砂利から砕石に変わると,同一スランプを得るための細骨材率は大きくなります。
(4)○正しい。粗骨材が最大寸法の大きいものに変わると,同じコンシステンシーのコンクリートを得るのに単位水量および単位セメント量を減らすことができます。
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