【No.156】
一般のコンクリートと比較した,高流動コンクリートの特徴に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)一般のコンクリートと比較した,高流動コンクリートの特徴として,単位粗骨材量は少ない。
(2)一般のコンクリートと比較した,高流動コンクリートの特徴として,圧送時の圧力損失は小さい。
(3)一般のコンクリートと比較した,高流動コンクリートの特徴として,ブリーディング量は多い。
(4)一般のコンクリートと比較した,高流動コンクリートの特徴として,凝結時間は短い。
クリックで【No.156】の解答と解説をみる
正解は(1)
【解説】
(1)○正しい。高流動コンクリートの配合設計では,構造物の形状,寸法,配筋状態を考慮して自己充てんレベルを設定し,「充てん装置を用いた間げき通過性試験」により適切な範囲の単位粗骨材量を設定します。通常は,所定の間げき通過性を確保するために,一般のコンクリートより単位覯骨材量を小さくします。
(2)×誤り。高流動コンクリートは塑性粘度が大きいため,コンクリートポンプ圧送時の負荷は,一般のコンクリートに比べて大きくなります。とくに,粉体系は単位結合材量が多くなるほど,圧送負荷が増加します。
(3)×誤り。高流動コンクリートは材料分離抵抗性を損なうことなく流動性を著しく高めたコンクリートであり,通常のコンクリートよりも粉体量が大きくなることから,フリーディング量は小さくなります。
(4)×誤り。高流動コンクリートは,単位水量を過大にせずに流動性を向上させるために,高性能AE減水剤等を使用します。高性能AE減水剤はコンクリートの凝結を遅延させる効果があるため,凝結時間は長くなります。
【No.157】
水中コンクリートに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)一般の水中コンクリートの水中落下高さを,1m以下として打ち込んだ。
(2)地下連続壁(地中壁)に用いる水中コンクリートの水セメント比を,60%とした。
(3)地下連続壁(地中壁)に用いる水中コンクリートのスランプを,21cmとした。
(4)水中不分離性コンクリートの圧送負荷を,一般のコンクリートの1/2~1/3として計画した。
クリックで【No.157】の解答と解説をみる
正解は(3)
【解説】
(1)×誤り。一般の水中コンクリートでは,コンクリートを水中で落下させないように先に打ち込んだコンクリート中にトレミーもしくはポンプの配管の筒先を30~50cm程度挿入して打ち込むのが原則です。
(2)×誤り。地下連続壁(地中壁)に用いる水中コンクリートの強度は,水中打設に伴うセメントの流失や安定液の混入等により,同じ配(調)合で気中施工しか場合よりも低下します。そのため,土木学会示方書ならびにJASS5では水セメント比は55%以下にすることを規定しています。
(3)○正しい。水中コンクリートは締め固めが困難であるため,一般のコンクリートよりもスランプを大きくする必要があります。地中連続壁(地中壁)に用いる水中コンクリートに対しては,土木学会示方書では18~21cmの範囲を標準,JASS5では調合管理強度が33N/mm2未満の場合は21cm以下,33N/mm2以上の場合は23cm以下としています。
(4)×誤り。水中不分離性コンクリートは,流動性は大きいですが,粘性を著しく高めたコンクリートであるため,コンクリートポンプによる圧送負荷は,通常のコンクリートの2~3倍程度となります。
【No.158】
地下連続壁(地中壁)の施工において,ベントナイト安定液中に打ち込む水中コンクリートの配(調)合と施工に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)地下連続壁(地中壁)の施工において,ベントナイト安定液中に打ち込む水中コンクリートの配(調)合と施工に関し,単位セメント暈を370kg/m3とした。
(2)地下連続壁(地中壁)の施工において,ベントナイト安定液中に打ち込む水中コンクリートの配(調)合と施工に関し,鉄筋のかぶり(厚さ)を4cmとした。
(3)地下連続壁(地中壁)の施工において,ベントナイト安定液中に打ち込む水中コンクリートの配(調)合と施工に関し,トレミー管の先端のコンクリート中への挿入深さを2.5mとした。
(4)地下連続壁(地中壁)の施工において,ベントナイト安定液中に打ち込む水中コンクリートの配(調)合と施工に関し,余盛り高さを100cmとした。
クリックで【No.158】の解答と解説をみる
正解は(2)
【解説】
(1)○正しい。地下連続壁の施工に用いるコンクリートでは,水中で材料分離が生じ所定の強度が得られないことがないように,単位セメント量の下限値として,土木学会示方書では350kg/m3以上,JASS5では360kg/m3以上と規定しています。
(2)×誤り。コンクリートを打ち込むため掘削してできる土壁は凹凸が大きいため,地中連続壁の施工における鉄筋のかぷりは一般のコンクリートの場合より大きくすることが重要です。土木学会示方書では10cm以上を推奨しています。
(3)○正しい。地中連続壁の施工は,コンクリートを水中で自由落下させないようにトレミーで打ち込むことが原則であり,誤ってトレミー先端が打ち込んだコンクリート表面より上に引き上がったりしないようにトレミー先端をコンクリート内へ2m以上挿入することを規定しています。
(4)○正しい。打ち上がったコンクリートの上面には,ベントナイトなどの安定液あるいはスライムを巻き込んだ不良部分が生じるため,打止め面は計画面(設計面)より盛り上げる(余盛り)必要があります。余盛高さについて,土木学会示方書では50cm以上,JASS5では50~100cmとしています。
【No.159】
一般のコンクリートと比較した場合の水中不分離性コンクリートの特徴に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)一般のコンクリートと比較した場合の水中不分離性コンクリートの特徴として,単位水量が大きい。
(2)一般のコンクリートと比較した場合の水中不分離性コンクリートの特徴として,ブリーディング量が大きい。
(3)一般のコンクリートと比較した場合の水中不分離性コンクリートの特徴として,凝結時間が長い。
(4)一般のコンクリートと比較した場合の水中不分離性コンクリートの特徴として,ポンプ圧送負荷が大きい。
クリックで【No.159】の解答と解説をみる
正解は(2)
【解説】
(1)○正しい。水中不分離性コンクリートは,水中で高い充填性やセルフレベリング性を発揮させる必要があるため,通常のコンクリートよりも単位水量は大きくなります。一般にスランプフロー50cm前後で単位水量は210~230kg/m程度です。
(2)×誤り。水中不分離性コンクリートは,水中不分離性混和剤の混和により,ある程度の流水条件下にて水中落下させても分離しにくいなど材料分離抵抗性を著しく高めた水中コンクリートであるため,ブリーディングはほとんど生じません。
(3)○正しい。水中不分離性コンクリートは,水中不分離性混和剤の混和の影響によって,通常のコンクリートに比べて凝結が遅延する傾向を示します。
(4)○正しい。水中不分離性コンクリートは,流動性は大きいが,粘性を著しく高めたコンクリートであるため,コンクリートポンプで圧送する場合の圧送負荷は,通常のコンクリートの2~3倍程度となります。
【No.160】
一般の水中コンクリートに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)水中コンクリートに関し,打ち込みに,コンクリートポンプを使用した。
(2)水中コンクリートに関し,水面上まで,連続的に打ち込んだ。
(3)水中コンクリートに関し,気中で打ち込まれる場合の配合強度(調合強度)を割り増したコンクリートを用いた。
(4)水中コンクリートに関し,流速が20cm/sの水中で,コンクリートを打ち込んだ。
クリックで【No.160】の解答と解説をみる
正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。一般の水中コンクリートでは,コンクリートを水中で落下させないように,先に打ち込んだコンクリート中にトレミーもしくはポンプの配管の筒先を30~50cm程度挿入して打ち込むのが原則です。
(2)○正しい。一般の水中コンクリートは,水との接触をできる限り防ぐように,表面が水平になるように保ちながら,所定の高さまたは水面上まで連続して打ち込むのが原則です。
(3)○正しい。一般の水中コンクリートの強度は,水の洗い出し作用などのために,気中で打ち込まれるコンクリートに比べて低下します。そのため,土木学会示方書では,水中施工時の強度が標準供試体強度の0.6~0.8倍とみなして,配合強度(調合強度)を設定しなければならないとしています。
(4)×誤り。流速が存在する条件で打ち込むと,水中コンクリートの品質は著しく低下します。そのため,一般の水中コンクリートは静水中に打ち込むのが原則です。やむを得ない場合でも,流速は5cm/s以下の条件で施工しなければなりません。