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【過去問演習(3)No.1-5_材料】コンクリート技士 問題と解説

【No3-1】聞き流し_コンクリート技士_一問一答

【No.1】

普通,早強,中庸熱,低熱ポルトランドセメントに関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1)普通ポルトランドセメントは,工事用または製品用としてもっとも多く使用される一般的なセメントである。
(2)早強ポルトランドセメントは,普通ポルトランドセメントに比べ,早強ポルトランドセメントの3日,7日材齢の圧縮強さは大きい。
(3)中庸熱ポルトランドセメントの3日,7日材齢の圧縮強さは普通ポルトランドセメントより小さく,低熱ポルトランドセメントより大きい。
(4)低熱ポルトランドセメントは,中庸熱ポルトランドセメントに比べ,3日,7日材齢の圧縮強さは,小さい。
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正解は全て

【解説】
(1)○正しい。普通ポルトランドセメントは,工事用または製品用としてもっとも多く使用される一般的なセメントです。
(2)○正しい。早強ポルトランドセメントは,早期強度発現性を得るためにけい酸三カルシウムの含有量を多くし,けい酸二カルシウムの含有量を少なくしているので,普通ポルトランドセメントに比べ,早強ポルトランドセメントの3日,7日材齢の圧縮強さは大きく,3日で普通ポルトランドセメントの7日強度に相当します。また,水和反応を高めるために,普通ポルトランドセメントに比べ比表面積を大きくしています。
(3)○正しい。中庸熱ポルトランドセメントは,水和熱を下げるためにけい酸二カルシウムの含有量を多くしているので,中庸熱ポルトランドセメントの3日,7日材齢の圧縮強さは普通ポルトランドセメントより小さく,低熱ポルトランドセメントより大きいです。
(4)○正しい。低熱ポルトランドセメントは,水和熱を下げるために中庸熱ポルトランドセメントよりけい酸二カルシウムの含有量を多くしているので,中庸熱ポルトランドセメントに比べ,低熱ポルトランドセメントの3日,7日材齢の圧縮強さは,小さいです。

【No.2】

JISR5210(ポルトランドセメント)の規定に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1)早強ポルトランドセメントは,普通ポルトランドセメントよりも比表面積の下限値が小さく規定されている。
(2)中庸熱ポルトランドセメントは,けい酸三カルシウム(C3S)の下限値が規定されている。
(3)低熱ポルトランドセメントは,材齢91日の圧縮強さの下限値が規定されている。
(4)耐硫酸塩ポルトランドセメントは,けい酸二カルシウム(C2S)の上限値が規定されている。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。早強ポルトランドセメントは,早期強度の発現性を高めるためにけい酸三カルシウム(C3S)の含有量を多くし,比表面積を大きくしています。JISR5210では,普通ポルトランドセメントの比表面積を2500cm2以上,早強ポルトランドセメントの比表面積を3300cm2以上と規定しています。
(2)×誤り。中庸熱ポルトランドセメントは,水和熱を下げるために水和熱の大きいけい酸三カルシウムおよびアルミン酸三カルシウムの含有量を少なくし,水和熱の小さいけい酸二カルシウムの含有量を多くしています。JISR5210では,中庸熱ポルトランドセメントのけい酸三カルシウムの含有量を50%以下,アルミン酸三カルシウムの含有量を8%以下と規定しています。
(3)○正しい。低熱ポルトランドセメントは,水和熱を下げるために,中庸熱ポルトランドセメントよりけい酸二カルシウムの含有量を多くしているので,中庸熱ポルトランドセメントと比較して水和熱が小さく,初期強度は小さいですが,長期強度は大きいです。JISR5210では,91日の圧縮強さを42.5N/mm2以上と規定しています。
(4)×誤り。アルミン酸三カルシウム(C3A)は,組成化合物の中では,水和熱がもっとも大きく,硫酸塩等に対する化学抵抗性がもっとも小さいです。硫酸塩は,水酸化カルシウムおよびセメント中のアルミン酸三カルシウムと反応してエトリンガイトを生成し,著しく膨張し,コンクリートを破壊させます。JISR5210では,耐硫酸塩ポルトランドセメントのアルミン酸三カルシウムの含有量を4%以下と規定しています。けい酸二カルシウムの上限値は規定していません。

【No.3】

各種セメントの圧縮強度に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)普通ポルトランドセメントに比べ,早強ポルトランドセメントの3日,7日材齢の圧縮強さは大きく,密度は小さい。
(2)普通ポルトランドセメントに比べ,中庸熱ポルトランドセメントの3日,7日材齢の圧縮強さは小さく,密度は大きい。
(3)中庸熱ポルトランドセメントに比べ,低熱ポルトランドセメントの7日材齢の圧縮強さは,小さい。またJISR5210では,低熱ポルトランドセメントの圧縮強さは,7日,28日および91日で規定している。
(4)高炉セメントB種の圧縮強さは,材齢3日,7日では普通ポルトランドセメントより小さいが,材齢28日では,高炉スラグの潜在水硬性により,普通ポルトランドセメントと同程度である。
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正解は全て

【解説】
(1)○正しい。早強ポルトランドセメントは,早期強度発現性を得るために,けい酸三カルシウムの含有量を多くし,けい酸二カルシウムの含有量を少なくしているので,普通ポルトランドセメントに比べ,早強ポルトランドセメントの3日,7日材齢の圧縮強さは大きく,密度は小さいです。また,水和反応を高めるために,普通ポルトランドセメントに比べ,比表面積を大きくしています。なお,JISR5210で材齢1日の圧縮強さを規定しているのは,早強ポルトランドセメントと超早強ポルトランドセメントだけです。
(2)○正しい。中庸熱ポルトランドセメントは,水和熱を下げるために,けい酸二カルシウムの含有量を多くしているので,普通ポルトランドセメントに比べ,中庸熱ポルトランドセメントの3日,7日材齢の圧縮強さは小さく,密度は大きいです。
(3)○正しい。低熱ポルトランドセメントは,水和熱を下げるために,中庸熱ポルトランドセメントよりけい酸二カルシウムの含有量を多くしているので,中庸熱ポルトランドセメントに比べ,低熱ポルトランドセメントの7日材齢の圧縮強さは,小さいです。またJISR5210では,低熱ポルトランドセメントの圧縮強さは,7日,28日および91日で規定しています。
(4)○正しい。高炉セメントは,高炉の副産物である溶融している高炉スラグを水などで急冷し粉砕した高炉スラグ(水砕スラグとも呼ばれる)粉で置換したものです。高炉スラグB種は,高炉スラグの分量(質量%)を,30を超え60以下と規定しています。高炉スラグの密度は約2.90g/cm3で,普通ポルトランドセメントより小さいので,高炉セメントB種の密度は2.04g/cm3程度になります。また,圧縮強さは,材齢3日,7日では普通ポルトランドセメントより小さいですが,材齢28日では,高炉スラグの潜在水硬性により,普通ポルトランドセメントと同程度です。

【No.4】

各種セメントの用途に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)早強ポルトランドセメントは,プレストレストコンクリートに適している。
(2)中庸熱ポルトランドセメントは,高流動コンクリートに適している。
(3)フライアッシュセメントは,寒中コンクリートに適している。
(4)高炉セメントは,海水の作用を受けるコンクリートに適している。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。早強ポルトランドセメントは,早期強度の発現性を高めるためにけい酸三カルシウム(C3S)の含有量を多くし,比表面積を大きくしています。プレストレストコンクリートには,プレストレスト導入のための強度を確保するために高強度で早強性のコンクリートが要求されるので,早期の強度発現の観点から早強ポルトランドセメントが比較的多く利用されています。
(2)○正しい。中庸熱ポルトランドセメントは,普通ポルトランドセメントと比較して,水和熱が小さく,初期強度は小さいですが,長期強度は大きいです。また,アルミン酸三カルシウム(C3A)が少なく,高性能AE減水剤が有効に作用するため,低水粉体比のコンクリートで高流動性が得やすいという特徴を有しているので,高流動コンクリートに使用されます。
(3)×誤り。フライアッシュセメントは,ポルトランドセメントをフライアッシュで置換したものです。フライアッシュはポゾラン反応性を有しフライアッシュ中の活性の二酸化けい素(SiO2),酸化アルミニウム(Al2O3)が水の存在下で,ポルトランドセメントの水和で生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と長時間かけて反応し,不溶性の物質を生成し,硬化します。初期強度は小さいですが,湿潤条件下で長期強度の伸びは大きいです。寒中コンクリートでは,初期凍害を防止するために初期強度を確保する必要があり,一般的には,早強ポルトランドセメントや普通ポルトランドセメントが使用され,フライアッシュセメントのような初期強度の小さいセメントは使用されることはきわめて少ないです。
(4)○正しい。アルミン酸三カルシウム(C3A)は,組成化合物の中では,水和熱がもっとも大きく,硫酸塩等に対する化学抵抗性がもっとも小さいです。硫酸塩は,海水中にも多く存在し,セメント中のC3Aおよびセメントの水和によって生成するCa(OH)2と反応してエトリンガイトを生成し,著しく膨張し,コンクリートを破壊させます。高炉セメントは,ポルトランドセメントを多量の高炉スラグ粉で置換することによりセメント中のC3A含有量を相対的に少なくできること,および高炉スラグの潜在水硬性により硬化した密実なコンクリートが塩化物イオンの侵入に対する抵抗性を有することにより,海水の作用を受けるコンクリートに適しています。

【No.5】

混合セメントの規定に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)JISR5211(高炉セメント)では,高炉セメントB種の高炉スラグの分量を質量で30%を超え60%以下と規定している。
(2)JISR5211(高炉セメント)では,混合材として使用する高炉スラグの塩基度の下限値を規定している。
(3)JISR5213(フライアッシュセメント)では,フライアッシュセメントB種のフライアッシュの分量を質量で10%を超え20%以下と規定している。
(4)JISR5213(フライアッシュセメント)では,全アルカリ量の上限値を規定している。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。高炉セメントはポルトランドセメントを高炉の副産物である,溶融している高炉スラグを水などで急冷し,粉砕した高炉スラグ(水砕スラグとも呼ばれる)粉で置換したものです。高炉スラグは,それ自身では水硬性を示さないですが,ポルトランドセメントの水和によって生成した水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の刺激により,しだいに硬化します(潜在水硬性という)。JISR5211-2009(高炉セメント)では,高炉セメントの種類を高炉スラグの分量(質量%)により,A種は5を超え30以下,B種は30を超え60以下,C種は60を超え70以下と規定しています。
(2)○正しい。高炉スラグの塩基度が低いと潜在水硬性も低下するので,JISA6206-2013(コンクリート用高炉スラグ微粉末)では,高炉スラグの塩基度を1.60以上と下限値を規定しています。
(3)○正しい。フライアッシュセメントは,ポルトランドセメントをJISA6201-2015(コンクリート用フライアッシュ)に適合するフライアッシュで置換したものであり,JISR5213-2009(フライアッシュセメント)では,フライアッシュの分量(質量%)により,A種は5を超え10以下,B種は10を超え20以下,C種は20を超え30以下と規定しています。
(4)×誤り。フライアッシュの混入率を15%以上にすることによりアルカリシリカ反応を抑制できること,およびポルトランドセメントで全アルカリの上限値を規定しているので,フライアッシュセメントとしては全アルカリの上限値を規定していません。
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