【No.146】
海水の作用を受けるコンクリートに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)海水の作用を受けるコンクリートについて、海水に対する化学的抵抗性の向上を期待して,フライアッシュセメントを使用した。
(2)海水の作用を受けるコンクリートについて、飛沫帯に用いることを考慮して,水セメント比を55%とした。
(3)海水の作用を受けるコンクリートについて、打ち継ぎ目は弱点となりやすいことを考慮して,水平打ち継ぎ目は干満部を避けて計画した。
(4)海水の作用を受けるコンクリートについて、鉄筋と型枠との間のスペーサに,本体コンクリートと同等以上の品質を有するコンクリート製のものを用いた。
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正解は(2)
【解説】
(1)○正しい。コンクリートの海水に対する化学的抵抗性の観点からは,アルミン酸三カルシウムの少ない中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメント,水酸化カルシウムの生成量の少ない高炉セメントやフライアッシュセメントを使用するのがよいです。
(2)×誤り。JASS5ではセメント種類・塩害環境の区分に応じて,土木学会示方書では現場施工か工場製品か等の施工条件、環境区分に応じて,水セメント比の最大値を定めています。この規定によれば,塩害環境下である飛沫帯では45%以下とする必要があります。
(3)○正しい。打ち継ぎ目は弱点となりやすいので,干満部に打ち継ぎ目を設けるのをできるだけ避け,とくに最高潮位から上60cmと最低潮位から下60cmとの間の干満部には打ち継ぎ目を設けないように連続作業でコンクリートを打ち込むのがよいです。
(4)○正しい。海水の作用を受けるコンクリートの場合は,スペーサが劣化して構造物の耐久性低下の原因となることがあるので,鉄筋と型枠の間に用いるスペーサはコンクリート製またはモルタル製のものを用い,本体コンクリートと同等以上の品質を有するものを使用します。
【No.147】
海水の作用を受ける鉄筋コンクリート構造物の耐久性に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)海水の作用を受けるコンクリートについて、中庸熱ポルトランドセメントを用いると,海水に対するコンクリートの化学的抵抗性は低下する。
(2)海水の作用を受けるコンクリートについて、海水中の硫酸マグネシウムは,セメントの水和生成物と反応して体積膨張を生じさせる。
(3)海水の作用を受けるコンクリートについて、海水中に位置する鉄筋コンクリートでは,飛沫帯に比べて鉄筋の腐食速度は大きい。
(4)海水の作用を受けるコンクリートについて、海水中に位置するコンクリートでは,海上大気中に比べて中性化速度は大きい。
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正解は(2)
【解説】
(1)×誤り。コンクリートの海水に対する化学的抵抗性の観点からは,アルミン酸三カルシウムの少ない中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメント水酸化カルシウムの生成量の少ない高炉セメントやフライアッシュセメントを使用するのがよいです。
(2)○正しい。海水中の硫酸マグネシウム(MgSO4)は,セメントの水和生成物である水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と反応して,膨張性の石こうの結晶と水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を生成します。さらに,石こうの一部はセメント中のアルミン酸三カルシウムと反応してエトリンガイトを生成し,そのエトリンガイトが体積膨張を起すことで,コンクリートにひび割れを発生させます。
(3)×誤り。コンクリート中の鉄筋が腐食するには酸素と水が必要です。海水中では,塩化物イオンの供給量は多いですが,酸素の供給がほとんどないため,鉄筋はほとんど腐食しません。一方,飛沫帯では塩化物イオンの供給があるだけでなく酸素も供給されるため,鉄筋の腐食が速くなります。
(4)×誤り。中性化は,大気中の二酸化炭素がコンクリート内に侵入することで生じる劣化現象です。海水中よりも二酸化炭素の供給が多い海上大気中において中性化は進行し,中性化速度も大きくなります。
【No.148】
海水の作用を受けるコンクリート(海洋コンクリート)に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)海水の作用を受けるコンクリートについて、飛沫帯では,海水による化学的作用に加え,波による,すりへり作用を受ける。
(2)海水の作用を受けるコンクリートについて、海水に含まれる硫酸マグネシウムは,セメントの水和生成物と反応しコンクリートを劣化させる。
(3)海水の作用を受けるコンクリートについて、海水に対する化学的抵抗性は,高炉セメントB種よりも普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの方が高い。
(4)海水の作用を受けるコンクリートについて、耐久性から定まる水セメント比の最大値は,一般環境で用いられるコンクリートよりも小さく定められている。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。飛沫帯は,波しぶきの作用を受ける範囲であるため,海水による化学的作用とともに,波によるすりへり作用も受けやすいです。
(2)○正しい。海水に含まれる硫酸マグネシウム(MgSO4)は,セメントの水和生成物である水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と反応して,膨張性の石こうの結晶と水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を生成します。さらに,石こうの一部はセメント中のアルミン酸三カルシウム(C3A)と反応してエトリンガイトを生成し,そのエトリンガイトが体積膨張を起すことで,コンクリートにひび割れが生じます。
(3)×誤り。コンクリートの海水に対する化学的抵抗性を向上させるにはアルミン酸三カルシウムの少ないセメントの使用や水酸化カルシウムの生成量の少ない高炉セメントおよびフライアッシュセメントの使用が有効です。
(4)○正しい。海水の作用を受けるコンクリートの水セメント比の最大値は,塩化物イオンの侵入に伴う鋼材の腐食,海水の化学作用,波浪,凍結融解など物理的作用に対する抵抗性を高めるために,一般環境で用いるコンクリートよりも小さく定められています。
【No.149】
舗装コンクリートに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)舗装コンクリートについて,材齢28日における曲げ強度を設計の基準とした。
(2)舗装コンクリートについて,粗骨材の最大寸法が40mmのコンクリートを用いた。
(3)舗装コンクリートについて,スランプ2.5cmのコンクリートをダンプトラックで運搬した。
(4)舗装コンクリートについて,転圧コンクリート舗装(RCCP)の施工において,単位水量を通常の舗装コンクリートよりも大きくした。
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正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。舗装では,交通荷重による曲げ作用やひび割れ抵抗性に対し,圧縮強度より曲げ強度が重要な強度特性であり,コンクリート版は,一般に材齢28日における曲げ強度を設計の基準としています。
(2)○正しい。一般の舗装用コンクリートの粗骨材最大寸法は,40mm以下とするのが標準です。RCCP用では20mmとすることが多いです。
(3)○正しい。土木学会舗装標準示方書では,スランプが5cm未満の場合にはダンプトラックを用い,5cm以上の場合には,かくはん設備をつけたトラックミキサやトラックアジデータ車を用いるのがよいとしています。
(4)×誤り。RCCP用舗装コンクリートは,一般の舗装コンクリートに比べさらに硬練りであり,コンクリートの単位水量も小さいです。土木学会舗装標準示方書によれば,単位水量の標準・参考値として,RCCP用コンクリートでは95~115kg/m標準的な舗装コンクリートでは,使用する骨材の種類,最大寸法に応じ,115~140kg/m3を与えています。
【No.150】
舗装コンクリートに関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)材齢28日における曲げ強度を,設計の基準とした。
(2)粗骨材のすりへり減量の限度を,ダムコンクリートと同じ40%とした。
(3)スランプ6.5cmのコンクリートを,トラックアジテータを用いて運搬した。
(4)コンクリートの表面仕上げを,荒仕上げ,平坦仕上げ,粗面仕上げの順で行った。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。舗装では,コンクリート版の荷重支持性能やひび割れ抵抗性に対し,圧縮強度より曲げ強度が重要な強度特性であり,設計では圧縮強度ではなく曲げ強度が設定されます。
(2)×誤り。土木学会舗装示方書では,すりへり減量の限度は35%を標準とし,タイヤチェーンなどによる大きなすりへり作用を受ける積雪寒冷地の道路では,限度を25%以下とすることが望ましいとされています。
(3)○正しい。土木学会舗装示方書では,スランプが5cm未満の場合にはダンプトラックを用い,5cm以上の場合には,かくはん設備をつけたトラックミキサやトラックアジテータ車を用いるのがよいとしています。
(4)○正しい。表面仕上げは,まず機械や手仕上げで表面の荒仕上げを行い,続いて,表面仕上げ機やフロートによる手仕上げにより,平坦仕上げを行います。表面の水光りが消えた後,ほうき等を用いて粗面仕上げを行います。