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【宅建過去問】権利関係ー賃貸借、借地借家法No.106-110

【No2-22】聞き流し_宅建過去問_一問一答_権利関係

【No.106】

借主Aは,B所有の建物について貸主Bとの間で賃貸借契約を締結し,敷金として賃料2ヵ月分に相当する金額をBに対して支払ったが,当該敷金についてBによる賃料債権への充当はされていない。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
(1)借主Aは,B所有の建物について貸主Bとの間で賃貸借契約を締結し,敷金として賃料2ヵ月分に相当する金額をBに対して支払ったが,当該敷金についてBによる賃料債権への充当はされていない。賃貸借契約が終了した場合,建物明け渡しと敷金返還とは同時履行の関係に立たず,Aの建物明け渡しはBから敷金の返還された後に行えばよい。
(2)借主Aは,B所有の建物について貸主Bとの間で賃貸借契約を締結し,敷金として賃料2ヵ月分に相当する金額をBに対して支払ったが,当該敷金についてBによる賃料債権への充当はされていない。賃貸借契約期間中にBが建物をCに譲渡した場合で,Cが賃貸人の地位を承継したとき,敷金に関する権利義務は当然にCに承継される。
(3)借主Aは,B所有の建物について貸主Bとの間で賃貸借契約を締結し,敷金として賃料2ヵ月分に相当する金額をBに対して支払ったが,当該敷金についてBによる賃料債権への充当はされていない。賃貸借契約期間中にAがDに対して賃借権を譲渡した場合で,Bがこの賃借権譲渡を承諾したとき,敷金に関する権利義務は当然にDに承継される。
(4)借主Aは,B所有の建物について貸主Bとの間で賃貸借契約を締結し,敷金として賃料2ヵ月分に相当する金額をBに対して支払ったが,当該敷金についてBによる賃料債権への充当はされていない。賃貸借契約が終了した後,Aが建物を明け渡す前に,Bが建物をEに譲渡した場合で,BE間でEに敷金を承継させる旨を合意したとき,敷金に関する権利義務は当然にEに承継される。
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正解は(2)

【解説】
(1)×誤り。建物賃貸借契約における敷金は,賃貸借契約終了後建物の明け渡しの時までに,賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得する一切の債権を担保するものです。したがって,Bの敷金返還偵務は,Aが建物を明け渡した後に発生します。
(2)○正しい。建物賃貸借契約期間中に,建物の譲渡に伴って賃貸人の地位の承継があった場合,敷金に関する権利義務は,当然に新賃貸人に承継されます。
(3)×誤り。敷金に関する権利義務は,当然には承継されません。建物賃貸借契約期間中に,賃借権が譲渡され,賃貸人が賃借権の譲渡を承諾した場合でも,特段の事情のない限り,敷金に関する権利義務は,旧賃借人から新賃借人に承継されません。
(4)×誤り。敷金に関する権利義務は,当然には承継されません。建物賃貸借契約が終了した後,建物の明け渡し前に,建物の所有権が移転した場合,敷金に関する権利義務は,旧所有者と新所有者の合意のみによっては,新所有者に承継されません。

【No.107】

AB間で,Aを貸主,Bを借主として,A所有の甲建物につき,①賃貸借契約を締結した場合と,②使用貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
(1)AB間で,Aを貸主,Bを借主として,A所有の甲建物につき,賃貸借契約を締結した場合と,使用貸借契約を締結した場合に関し,Bが死亡した場合,賃貸借契約を締結した場合では契約は終了しないが,使用貸借契約を締結した場合では契約が終了する。
(2)AB間で,Aを貸主,Bを借主として,A所有の甲建物につき,賃貸借契約を締結した場合と,使用貸借契約を締結した場合に関し,Bは,賃貸借契約を締結した場合では,甲建物のAの負担に属する必要費を支出したときは,Aに対しその償還を請求することができるが,使用貸借契約を締結した場合では,甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。
(3)AB間で,Aを貸主,Bを借主として,A所有の甲建物につき,賃貸借契約を締結した場合と,使用貸借契約を締結した場合に関し,AB間の契約は,賃貸借契約を締結した場合では諾成契約であり,使用貸借契約を締結した場合では要物契約である。
(4)AB間で,Aを貸主,Bを借主として,A所有の甲建物につき,賃貸借契約を締結した場合と,使用貸借契約を締結した場合に関し,AはBに対して,甲建物の瑕疵について,賃貸借契約を締結した場合では担保責任を負う場合があるが,使用貸借契約を締結した場合では担保責任を負わない。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。賃借人が死亡しても賃貸借契約は終了せず,賃借権は賃借人の相続人に相続されます。これに対し,使用貸借は,借主が死亡するとその効力を失って終了します。
(2)○正しい。賃借人が賃貸人の負担に属する必要費を支出したとき矚瓏は,賃貸人に対し,直ちにその償還を請求することができます。これに対し,使用貸借契約の借主は,借用物の通常の必要費を負担します。
(3)○正しい。賃貸借契約は,当事者が物の使用収益をさせることと,これに対して賃料を支払うことを約することで成立する諾成契約です。これに対し,使用貸借契約は,借主が物を受け取ることによって成立する要物契約です。
(4)×誤り。賃貸借契約では,売主と同様の瑕疵担保責任を負います。これに対し,使用貸借契約では,贈与者と同様の瑕疵担保責任を負います。したがって,使用貸借契約でも瑕疵担保責任を負う場合があります。

【No.108】

AがBとの間で,A所有の甲建物について,期間3年,賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち,民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば,正しいものはどれか。
(1)AがBとの間で,A所有の甲建物について,期間3年,賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合に関し,AがBに対し,賃貸借契約の期間満了の6か月前までに更新しない旨の通知をしなかったときは,AとBは,期間3年,賃料月額10万円の条件で賃貸借契約を更新したものとみなされる。
(2)AがBとの間で,A所有の甲建物について,期間3年,賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合に関し,賃貸借契約を期間を定めずに合意により更新した後に,AがBに書面で解約の申入れをした場合は,申入れの日から3か月後に賃貸借契約は終了する。
(3)AがBとの間で,A所有の甲建物について,期間3年,賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合に関し,Cが,AB間の賃貸借契約締結前に,Aと甲建物の賃貸借契約を締結していた場合,AがBに甲建物を引き渡しても,Cは,甲建物の賃借権をBに対抗することができる。
(4)AがBとの間で,A所有の甲建物について,期間3年,賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合に関し,AE間の賃貸借契約がEの賃料不払を理由として解除された場合,BはAに対して,Aの同意を得てBが建物に付加した造作の買取りを請求することはできない。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。建物賃貸借において,当事者が期間満了の1年前から6ヵ月前までに更新拒絶の通知をしなかった場合,従前の契約と同一の条件で更新したものとみなされます。もっとも,建物賃貸借の期間は従前の契約内容にかかわらず,期間の定めがないものとして更新されます。
(2)×誤り。AとBは合意により建物賃貸借を更新しており,その期間は期間の定めがないものとしています。期間の定めがない建物賃貸借は,賃貸人から賃借人に解約の申入れがあった場合,正当事由のある場合に限って,申入れの日から6ヵ月の経過によって終了します。解約の申入れは書面で行う必要はありません。民法では,解約申入れ期間は3ヵ月とされていますが,借地借家法では賃借人保護のため解約中入期間を延長しています。
(3)×誤り。建物賃貸借の対抗要件は,賃借権の登記又は引渡しであり,同一建物が二重に賃貸借されている場合,先に賃借権の登記又は引渡しを受けた賃借人が優先されます。したがって,Cは引渡しを受けていないため,登記がない限り,自己の賃借権をBに対抗できません。
(4)○正しい。賃借人の造作買取請求権は,期間の満了又は解約の申入れによる賃貸借の終了の場合に発生します。もっとも,賃借人の債務不履行に基づく解除の場合には造作買取請求権は生じないとされています。

【No.109】

AがBからBの所有する建物を賃借している場合に関する次の記述のうち,民法及び借地借家法の規定によれば,誤っているものはどれか。
(1)AがBからBの所有する建物を賃借している場合に関し,賃貸借契約の締結に関する費用は,ABが平分して負担する。
(2)AがBからBの所有する建物を賃借している場合に関し,Aは,Bの負担すべき必要費を支出したときは,ただちに,Bに対しその償還を請求することができる。
(3)AがBからBの所有する建物を賃借している場合に関し,Aは,有益費を支出したときは,賃貸借終了の際,その価格の増加が現存する場合に限り,自らの選択によりその費した金額又は増加額の償還を請求することができる。
(4)AがBからBの所有する建物を賃借している場合に関し,Aは,Bの同意を得て建物に造作を付加したときは,特約のない限り,賃貸借終了の際,Bに対し時価でその造作を買い取るべきことを請求することができる。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。賃貸借契約に関する費用は賃貸人,賃借人双方が平分して負担します。
(2)○正しい。必要費を出した賃借人は,契約の終了を待たずに,必要費を「ただちに」賃貸人に償還請求できます。
(3)×誤り。選択できるのは賃借人Aではなく,賃貸人Bです。賃借人が有益費を支出した場合,賃借人は賃貸借契約終了の時に,その有益費の償還を請求できます。この場合,賃借人が償還を受けられる額は,賃借人が出した有益費の額,又は,有益費の支出による目的物の価値の増加分で現存する額のうち,賃貸人が選択したほうの額です。したがって,賃借人Aが有益費を支出した場合は,賃貸人Bの選択により,その費した額又は現存する増加額の償還を請求できます。
(4)○正しい。借地借家法の適用される賃貸借において,賃借人は賃貸囲覆人の同意を得て建物に備え付けた造作(畳や建具など),あるいは賃貸人から買い受けた造作については,賃貸借契約終了時に,賃貸人に時価をもって買い取ることを請求できます。これを造作買椒請求権といいます。

【No.110】

AはBに対し甲建物を月20万円で賃貸し,Bは,Aの承諾を得たうえで,甲建物の一部をCに対し月10万円で転貸している。この場合,民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)AはBに対し甲建物を月20万円で賃貸し,Bは,Aの承諾を得たうえで,甲建物の一部をCに対し月10万円で転貸している。転借人Cは,賃貸人Aに対しても,月10万円の範囲で,賃料支払い債務を直接に負担する。
(2)AはBに対し甲建物を月20万円で賃貸し,Bは,Aの承諾を得たうえで,甲建物の一部をCに対し月10万円で転貸している。賃貸人Aは,AB間の賃貸借契約が期間の満了によって終了するときは,転借人Cに対しその旨の通知をしなければ,賃貸借契約の終了をCに対し対抗することができない。
(3)AはBに対し甲建物を月20万円で賃貸し,Bは,Aの承諾を得たうえで,甲建物の一部をCに対し月10万円で転貸している。AE間で賃貸借契約を合意解除しても,転借人Cに不信な行為があるなどの特段の事情がない限り,賃貸人Aは,転惜人Cに対し明け渡しを請求することはできない。
(4)AはBに対し甲建物を月20万円で賃貸し,Bは,Aの承諾を得たうえで,甲建物の一部をCに対し月10万円で転貸している。賃貸人AがAB間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解除する場合は,転借人Cに通知等をして賃料をBに代わって支払う機会を与えなければならない。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。有効な転貸借があった場合,転借人は賃貸人に対して直接に義務を負います。したがって,転借人Cは,賃貸人Aに対して賃料支払い債務を負います。ただし,転借人Cは,賃借人Bに対して負う10万円の範囲で債務を負担すればよいです。
(2)○正しい。建物の転貸借がされている場合において,建物の賃貸借が期間の満了によって終了するときは,建物の賃貸人は,建物の転借人にその旨の通知をしなければ,その終了を建物の転借人に対抗できません。したがって,Aは,Cに対し賃貸借契約が終了する旨の通知をしなければ,賃貸借契約の終了をCに対し対抗することができません。
(3)○正しい。有効な転貸借があった後に賃貸借が合意解除されても,建物の賃貸人は,特段の事情のない限りその解除を建物の転借人に対抗することはできません。したがって,特段の事情のない限り,AはCに対して建物の明け渡しを請求することはできません。
(4)×誤り。賃借人の賃料不払いを理由として賃貸借を解除するためには,賃貸人は賃借人に対して催告をすれば足り,転借人にその支払いの機会を与える必要はありません。したがって,Aは,Cに通知等をして賃料をBに代わって支払う機会を与える必要はありません。
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