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【宅建過去問】権利関係ー意思表示、代理、民法、時効No.156-160

https://youtu.be/EMcvoOQf3qI

【No.156】

AがBに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)AがBに甲土地を売却した場合に関し,甲土地につき売買代金の支払いと登記の移転がなされた後,第三者の詐欺を理由に売買契約が取り消された場合,原状回復のため,BはAに登記を移転する義務を,AはBに代金を返還する義務を負い,各義務は同時履行の関係となる。
(2)AがBに甲土地を売却した場合に関し,Aが甲土地を売却した意思表示に錯誤があったとしても,Aに重大な過失があって無効を主張することができない場合は,BもAの錯誤を理由として無効を主張することはできない。
(3)AがBに甲土地を売却した場合に関し,AB間の売買契約が仮装譲渡であり,その後BがCに甲土地を転売した場合,Cが仮装譲渡の事実を知らなければ,Aは,Cに虚偽表示による無効を対抗することができない。
(4)AがBに甲土地を売却した場合に関し,Aが第三者の詐欺によってBに甲土地を売却し,その後BがDに甲土地を転売した場合,Bが第三者の詐欺の事実を知らなかったとしても,Dが第三者の詐欺の事実を知っていれば,Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。詐欺に基づく取り消しがあった場合,当事者の原状回復義務は同時履行になります。第三者の詐欺による場合も同様です。
(2)○正しい。無効の主張は,原則として表意者のみがすることができます。したがって,表意者が錯誤に基づく無効の主張をできない場合,相手方も当該無効の主張をすることはできません。
(3)○正しい。虚偽表示による意思表示の無効は,善意の第三者に対抗することができません。
(4)×誤り。相手方が善意なので取り消すことができません。第三者が詐欺を行った場合,相手方がその事実について悪意のとき,その意思表示を取り消すことができます。相手方Bが善意であるのでAは売買契約を取り消すことはできません。この場合,新たな買受人であるDの主観は影響しません。

【No.157】

Aが,所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し,BがCとの間で,Aを売主,Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合における次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
(1)Aが,所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し,BがCとの間で,Aを売主,Cを買主とする甲土地の売買契約を締結した場合,Aが売買代金を着服する意図マ本件契約を締結し,cが本件契約の締結時点でこのことを知っていた場合であっても,本件契約の効果はAに帰属する。
(2)Aが,所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し,BがCとの間で,Aを売主,Cを買主とする甲土地の売買契約を締結した場合,AがBに代理権を授与するより前にBが補助開始の審判を受けていた場合,Bは有効に代理権を取得することができない。
(3)Aが,所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し,BがCとの間で,Aを売主,Cを買主とする甲土地の売買契約を締結した場合,BがCの代理人にもなって本件契約を成立させた場合,Aの許諾の有無にかかわらず,本件契約は無効となる。
(4)Aが,所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し,BがCとの間で,Aを売主,Cを買主とする甲土地の売買契約を締結した場合,AがBに代理権を授与した後にBが後見開始の審判を受け,その後に本件契約が締結された場合,Bによる本件契約の締結は無権代理行為となる。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。相手方が代理人の意図を知っていたので効果は生じません。代理人が自己又は第三者の利益を図るため権限内の行為をしたときは,相手方が代理人の意図を知り又は知ることができる場合に限り,民法93条但書の規定を類推して,その行為について本人に効力を生じません。,相手方Cが代理人Bの意図を知っていたため,本件契約の効果はAに帰属しません。
(2)×誤り。代理人は制限行為能力者でもよいです。代理人は,行為能力者であることを要しません。したがって,Bが代理権を授与される前に補助開始の審判を受けていたことを理由として,Bの代理権取得が否定されるものではありません。
(3)×誤り。本人の許諾があれば双方代理は有効となります。同一の法律行為については,当事者双方の代理人となることはできませんが,本人があらかじめ許諾した行為については,代理人は有効に代理行為をすることができます。本肢の場合,AとCの両者の許諾があれば本件契約は有効となります。
(4)○正しい。代理人が後見開始の審判を受けた場合,代理権は消滅します。したがって,代理権消滅後の代理行為は,無権代理行為となります。

【No.158】

AとBとの間で,5か月後に実施される試験(以下この問において「本件試験」という。)にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した(以下この問において「本件約定」という。)。この場合における次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)AとBとの間で,5か月後に実施される試験にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。本件約定は,停止条件付贈与契約である。
(2)AとBとの間で,5か月後に実施される試験にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。本件約定の後,Aの放火により甲建物が滅失し,その後にBが本件試験に合格した場合,AはBに対して損害賠償責任を負う。
(3)AとBとの間で,5か月後に実施される試験にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。Bは,本件試験に合格したときは,本件約定の時点にさかのぼって甲建物の所有権を取得する。
(4)AとBとの間で,5か月後に実施される試験にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。本件約定の時点でAに意思能力がなかった場合,Bは,本件試験に合格しても,本件約定に基づき甲建物の所有権を取得することはできない。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。停止条件とは,法律行為の効力の発生が将来発生するか否か不確実な事実にかかっている条件のことをいいます。「合格したときには贈与する」の「合格したときには」という条件が停止条件です。したがって,停止条件付贈与契約です。
(2)○正しい。条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは,相手方は,その条件が成就したものとみなすことができます。贈与すべきAの放火によって甲建物が滅失したのであるため,これに該当します。したがって,AはBに生じた損害を賠償する責任を負います。
(3)×誤り。効果が生じるのは条件成就の時からです。停止条件付法律行為は,停止条件が成就した時からその効力を生じます。契約の時点にさかのぼるものではありません。
(4)○正しい。意思能力を欠いている者の意思表示は,無効です。したがって,本問の停止条件付贈与契約はそもそも無効であることから,条件を満たしたとしても甲建物の所有権を取得することはできません。

【No.159】

時効の援用に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)消滅時効完成後に主たる債務者が時効の利益を放棄した場合であっても,保証人は時効を援用することができる。
(2)後順位抵当権者は,先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
(3)詐害行為の受益者は,債権者から詐害行為取り消し権を行使されている場合,当該債権者の有する被保全債権について,消滅時効を援用することができる。
(4)債務者が時効の完成の事実を知らずに債務の承認をした場合,その後,債務者はその完成した消滅時効を援用することはできない。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。時効の利益の放棄の効力は相対的です。したがって,主たる債務者が時効の利益を放棄した場合であっても,保証人は時効を援用することができます。
(2)×誤り。後順位抵当権者は時効の援用はできません。時効の援用ができる者は,「時効によって直接利益を受ける者」です。後順位抵当権者は,先順位抵当権の被担保債権が消滅することにより,抵当権の順位が上昇しますが,これは「直接」ではなく「反射的」に利益を受けるだけです。後順位抵当権者は消滅時効を援用できません。
(3)○正しい。詐害行為の受益者は,債権者の有する被保全債権が消滅することにより,詐害行為取り消し権の行使を免れるため,「直接利益を受ける者」といえます。
(4)○正しい。消滅時効が完成した後に債務を承認した債務者は,承認した時点において時効完成の事実を知らなくても,信義則上消滅時効を援用することができません。

【No.160】

Aは,隣人Bの留守中に台風が接近して,屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため,Bからの依頼なくB宅の屋根を修理した。この場合における次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
(1)Aは,隣人Bの留守中に台風が接近して,屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため,Bからの依頼なくB宅の屋根を修理した。Aは,Bに対して,特段の事情がない限り,B宅の屋根を修理したことについて報酬を請求することができない。
(2)Aは,隣人Bの留守中に台風が接近して,屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため,Bからの依頼なくB宅の屋根を修理した。Aは,Bからの請求があったときには,いつでも,本件事務処理の状況をBに報告しなければならない。
(3)Aは,隣人Bの留守中に台風が接近して,屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため,Bからの依頼なくB宅の屋根を修理した。Aは,B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理しなければならない。
(4)Aは,隣人Bの留守中に台風が接近して,屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため,Bからの依頼なくB宅の屋根を修理した。AによるB宅の屋根の修理が,Bの意思に反することなく行われた場合,AはBに対し,Aが支出した有益な費用全額の償還を請求することができる。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。事務管理を行った者は,本人のために有益な費用を支出したときは,本人に対し,その償還を請求することができます。しかし,報酬を請求できる旨の規定は存在しません。
(2)○正しい。事務管理を行った者は,本人からの請求があるときは,いつでも,事務管理の処理の状況を本人に報告しなければなりません。
(3)×誤り。急迫の場合,善良な管理者の注意義務は負いません。事務管理を行う者は,原則として善良な管理者の注意義務をもって事務を行います。しかし,本人の財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは,悪意又は重大な過失がなければ,損害賠償責任を負いません。このような場合は善良な管理者の注意義務を負わないということです。台風の接近は「甚大な被害が生じる差し迫ったおそれ」という場合に該当し,善良な管理者の注意義務を負いません。
(4)○正しい。事務管理を行った者は,本人のために有益な費用を支出したときは,本人に対し,そ全額の償還を請求することができます。なお,管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは,本人が現に利益を受けている限度においてのみ費用の償還を請求することができます。
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