中性化フロントとは?
中性化フロントとは、コンクリートの中性化領域で、フリーデル氏塩として固化されていた塩化物イオンが分解され、塩化物濃度が大きくなる現象です。
塩化物濃度が高くなると、濃度拡散により、中性化部の細孔溶液中の塩化物イオンが内部へ移動します。
その結果、鉄筋の不導体皮膜を破壊し、塩害を起こすことになります。
コンクリート中に存在する塩化物は2つ
①コンクリートの細孔溶液中に溶解しているもの
②フリーデル氏塩として固化されているもの
フリーデル氏塩として固化されている塩化物量は、セメント量の0.4%程度であると言われています。
フリーデル氏塩の分解
3CaO・Al2O3・CaCl2・10H2O+3CO2
→3CaCO3+2Al(OH)3+Ca2++2Cl–+7H2O
フリーデル氏塩+炭酸ガス
→炭酸カルシウム+水酸化アルミニウム+カルシウムイオン+塩化物イオン+水
中性化フロントが起きると、塩害が生じます。例えば、内部鉄筋の不働態被膜が破壊され、鉄筋の腐食が進行することで、コンクリート構造物の劣化が起きるといった現象が生じます。
中性化フロントのメカニズム
ステップ1
中性化の進行までは、細孔溶液中のCl–は一様に分布しています。
ステップ2
中性化により、中性化部のフリーデル氏塩が分解し、Cl–が細孔溶液中に溶出します。
ステップ3
濃度拡散により、中性化部の細孔溶液中のCl–が内部へ移動します。
ステップ4
内部の非中性化域まで達すると、再びフリーデル氏塩が生成されます。
ステップ5
濃度拡散がなくなるまで反応が続きます。
中性化フロントが生じやすい条件
コンクリート中の塩化物イオンは濃度勾配による拡散で移動するため、次の条件で中性化フロントが生じやすいことが言えます。
①塩化物イオンの供給が多い環境
・・・飛沫帯など
②コンクリート組織が緻密でなく、塩化物イオンの拡散移動が生じやすい配合
・・・水セメント比が大きい配合
以上、中性化フロントについて、診断士試験対策を念頭にまとめました。