【R1_No.1~5】コンクリート主任技士 問題と解説
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【(R1)-No.1】
下図は、JIS R 5210(ポルトランドセメント)に規定されている、超早強を除く5種類のポルトランドセメントの組成化合物の割合の例を示したものである。これらのセメントに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)Aは、耐海水性に優れており、硫酸塩を含む土壌地帯での工事に使用される。
(2)Bは、発熱量が少ないのでマスコンクリートに適するとともに、高性能AE減水剤が有効に作用するため、高強度コンクリートや高流動コンクリートに使用される。
(3)Cは、早期に高い強度が得られるため、寒中コンクリートや早期解放が求められる舗装工事に使用される。
(4)Dは、凝結時間が短いため、緊急工事やトンネルなどの吹付けコンクリートに使用される。
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正解(1)
表 セメントクリンカーの組成化合物とその特性 | |||||||
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名称 | 分子式 | 略号 | 特性 | ||||
水和 反応速度 |
強度 | 水和熱 | 収縮 | 科学 抵抗性 |
|||
けい酸三 カルシウム |
3CaO・SiO2 | C3S | 比較的速い | 28日以内の 早期 |
中 | 中 | 中 |
けい酸二 カルシウム |
2CaO・SiO2 | C2S | 速い | 28日以降の 長期 |
小 | 小 | 大 |
アルミン酸三 カルシウム |
3CaO・Al2O3 | C3A | 非常に速い | 1日以内の 早期 |
大 | 大 | 小 |
鉄アルミン酸四 カルシウム |
4CaO・Al2O3・Fe2O3 | C4AF | かなり速い | ほとんど 寄与しない |
小 | 小 | 中 |
(1)〇:問題のとおりです。Aは、C3Aが最も小さいことから、耐硫酸ポルトランドセメントか低熱ポルトランドセメントです。Dとの比較により、Aは耐硫酸ポルトランドセメントです。C3Aを少なくすることで、硫酸塩との反応性を小さくしています。硫酸塩を含む土壌地帯での工事に適し、耐海水性にも優れています。
(2)×:誤りです。Bは、C3Sが普通ポルトランドセメントよりも多いことから、早強ポルトランドセメントです。早期に高い強度が得られるため、寒中コンクリートや早期解放が求められる舗装工事に使用されます。
(3)×:誤りです。Cは、C2Sが普通ポルトランドセメントより少なく、Dより多いです。また、C3Sが普通ポルトランドセメントより少なく、Dより多いです。以上より、Cは中庸熱ポルトランドセメントです。発熱量が少ないのでマスコンクリートに適するとともに、高性能AE減水剤が有効に作用するため、高強度コンクリートや高流動コンクリートに使用されます。
(4)×:誤りです。Dは、C2Sが最も多く、C3Sが最も少ないです。また、C3AもCより少ないことから、低熱ポルトランドセメントです。発熱量が少ないのでマスコンクリートに適するとともに、高性能AE減水剤が有効に作用するため、高強度コンクリートや高流動コンクリートに使用されます。
【(R1)-No.2】
含水状態がわからない砂1000.0gを質量700.0gの容器に入れ、水を入れながら十分空気を追い出し、水を2000mLの目盛りのところまで満たした。このときの全質量は3320.0gであった。この砂の含水状態に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。ただし、砂の絶乾密度は2.50g/cm3、表乾密度は2.55g/cm3、水の密度は1.00g/cm3である。
(1)表面水率が2.0%である。
(2)表面水率が3.1%である。
(3)有効吸水率が2.0%である。
(4)有効吸水率が3.1%である。
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正解(3)
表面水率(H)とは、表乾状態の骨材の質量に対する、表面水の質量のことです。表面水率は以下の式で計算します。
$${表面水率(%)}=\frac{{表面水の質量(g)}}{{表乾状態の骨材の質量(g)}}{×100(%)}$$
有効吸水率(Y)とは、骨材が表乾状態に到達するまでに吸収する水の質量の、絶乾状態の骨材の質量(mZ)に対する百分率です。
$${有効吸水率(%)}=\frac{{吸収する水の質量(g)}}{{絶乾状態の骨材の質量(g)}}{×100(%)}$$
この手の計算問題が出たら、上の表を作成すれば、ほとんどの問題に対応できます。JISの公式を覚える必要はありません。試料を”砂(骨材)”と”表面水”(表の黄緑色のハッチング部分)に分けて表を作成するのがコツです。
この問題では、表面水率が負の値(-1.96)となっています。この意味は、砂が吸水する余地が残っているということです。
【(R1)-No.3】
混和剤に関する一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)高性能AE減水剤は、空気連行性、高い減水性能と優れたスランプ保持性能を有しており、高強度コンクリートや高流動コンクリートのほか、普通強度のコンクリートにも使用されている。
(2)水中不分離性混和剤は、コンクリートの粘性を増大させるとともに、高い流動性能を有するため、単独で使用してコンクリートの単位水量を低減することができる。
(3)収縮低減剤は、セメント硬化体の細孔中の水に作用することで、コンクリートの乾燥収縮だけでなく自己収縮も低減することができる。
(4)超遅延剤は、初期においては水和反応を抑制して凝結遅延効果を発揮するが、長期的な水和反応は阻害せず、コンクリートの長期強度の発現にほとんど影響を及ぼさない。
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正解(2)
(1)〇:問題のとおりです。高性能AE減水剤は、空気連行性、高い減水性能と優れたスランプ保持性能を有しています。高強度コンクリートや高流動コンクリートのほか、普通強度のコンクリートにも使用されています。
(2)×:誤りです。水中不分離性混和剤は、水溶性の増粘剤で、単独では使用しません。減水性能がないため、AE減衰剤などと併用し、流動性能を確保します。
(3)〇:問題のとおりです。収縮低減剤は、セメント硬化体の細孔中の水に作用することで、コンクリートの乾燥収縮だけでなく自己収縮も低減することができます。
(4)〇:問題のとおりです。超遅延剤は、セメント表面に吸着し、セメントの反応を抑制して凝結遅延効果を発揮します。長期的な水和反応は阻害せず、コンクリートの長期強度の発現にほとんど影響を及ぼしません。
【(R1)-No.4】
混和剤を普通ポルトランドセメントの一部に置換して用いたコンクリートの性質に関する一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)高炉スラグ微粉末4000を用いた場合、養生温度が高くなると高炉スラグ微粉末の活性が高まり、それを用いていないコンクリートよりも発熱量が高くなる場合がある。
(2)フライアッシュⅡ種を用いた場合、フライアッシュの未燃炭素含有率が大きいほどAE剤の吸着量が増大し、コンクリートの空気連行性が低下しやすくなる。
(3)膨張材20型を収縮低減(収縮補償)を目的に用いた場合、初期材齢に十分な湿潤養生を行うことで、4週程度にわたりコンクリートの膨張が持続的に進行する。
(4)シリカフュームを用いた場合、マイクロフィラー効果とポゾラン反応により、低水結合材比では高強度を発現し、化学抵抗性が向上する。
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正解(3)
(1)〇:問題のとおりです。高炉スラグ微粉末4000は、水和熱によるコンクリート温度上昇を抑えるため、温度ひび割れを抑制することができます。しかし、養生温度が高くなると高炉スラグ微粉末の活性が高まり、それを用いていないコンクリートよりも発熱量が高くなる場合があります。
(2)〇:問題のとおりです。フライアッシュⅡ種は強熱減量が5%以下と規定されています。この強熱減量が未燃炭素含有量の目安となります。フライアッシュの未燃炭素含有率が大きいほどAE剤の吸着量が増大し、コンクリートの空気連行性が低下しやすくなります。
(3)×:誤りです。膨張材は、初期材齢に十分な湿潤養生を行うことで、コンクリートの凝結終了後から、常温では、3~7日程度で膨張が終了します。
(4)〇:問題のとおりです。シリカフュームを用いた場合、マイクロフィラー効果とポゾラン反応により、低水結合材比では高強度を発現し、化学抵抗性が向上します。シリカフュームは、水セメント比が20%以下の超高強度コンクリートの流動性向上のために用いられます。
【(R1)-No.5】
鋼材に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)JIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)による鉄筋は、銑鉄から高炉→転炉→圧延の工程で製造される高炉鉄筋ならびに、鉄スクラップから電気炉→圧延の工程で製造される電炉鉄筋があり、近年では高炉鉄筋の使用が大半を占める。
(2)JIS G 3117(鉄筋コンクリート用再生棒鋼)による鉄筋は、鋼板を製造する工程及び製品を採取する際に発生する端材、並びに鋼板の注文質量に対して余剰となる鋼板を圧延材料として、熱間圧延によって製造する。
(3)PC鋼材は、引張応力を与えて一定の長さに保っておくと、時間の経過とともにその引張応力が減少する。
(4)鋼繊維は、他の鋼材による補強が困難な場合や補強の方向が不明な場合に有効であり、トンネルのライニングコンクリートや舗装コンクリートに用いられている。
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正解(1)
(1)×:誤りです。近年では電炉鉄筋の使用が大半を占めます。
(2)〇:問題のとおりです。鉄筋コンクリート用再生棒鋼による鉄筋は、鋼板を製造する工程及び製品を採取する際に発生する端材、並びに鋼板の注文質量に対して余剰となる鋼板を圧延材料として、熱間圧延によって製造します。異形棒鋼では、径がD10、D13の2種類に規定されています。細径のみで、構造用にはほとんど使用されていません。
(3)〇:問題のとおりです。PC鋼材は、引張応力を与えて一定の長さに保っておくと、時間の経過とともにその引張応力が減少します。これを、リラクセーションと呼びます。PC鋼材を用いた設計では、このリラクセーションを考慮して、導入するプレストレスが設定されます。
(4)〇:問題のとおりです。鋼繊維は、他の鋼材による補強が困難な場合や補強の方向が不明な場合に有効です。初期ひび割れや収縮ひび割れの防止、剥落防止のために鋼繊維補強コンクリートが用いられます。