【No.21】
混和材に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)石灰石微粉末は,高流動コンクリートの分離抵抗性を高めるためなどに用いられるが,活性度が低いため,結合材とはみなされていない。
(2)コンクリートのアルカリシリカ反応を抑制するために高炉スラグ微粉末を用いる場合,セメントに対して一般に20%程度置換すればよい。
(3)高炉スラグ微粉末を混入したコンクリートでは,十分に湿潤養生すれば潜在水硬性により長期の圧縮強度が増加する。
(4)JIS A6204(コンクリート用化学混和剤)では,減水剤,AE減水剤,高性能AE減水剤および流動化剤について,凝結時間の差により,標準形,遅延形および促進形の3種類に区分している。
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正解は(2),(4)
【解説】
(1)〇正しい。石灰石微粉末の主成分はCaCO3であり活性度が低いため,一般的な混和材料(フライアッシュ,高炉スラグ微粉末,膨張材,シリカフューム)とは異なり,結合材とみなされていません。石灰石微粉末は,比表面積が大きいので高流動コンクリートの分離抵抗性を確保する場合に使用されています。
(2)×誤り。JIS A 5308-2009 (レディーミクストコンクリート)附属書B「アルカリシリカ反応抑制対策の方法」には,混合セメントを使用する場合,高炉セメントB種の高炉スラグの分量(質量分率%)は40%以上,フライアッシュB種のフライアッシュの分量(質量分率%)は15%以上でなければならないと規定されています。
(3)〇正しい。潜在水硬性を有する高炉スラグ微粉末は,水酸化カルシウムや硫酸塩などの刺激剤の作用により反応し,組織を緻密にするので強度が増進する。高炉スラグ微粉末の水硬性は長期材齢において発揮され,一般に十分な湿潤養生を行えば,長期強度において高炉スラグ微粉末無混和のコンクリートに比べて大きな強度を示します。
(4)×誤り。コンクリート用化学混和剤の種類により規定されている品質項目は異なり,区分も異なる。高性能AE減水剤,流動化剤には標準形,遅延形の区分はありますが,促進形の区分はありません。混和剤の品質項目には,減水率,グリーティング量の比,凝結時間の差,圧縮強度比,長さ変化比,凍結融解に対する抵抗性,経時変化量などがあります。
【No.22】
混和材に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)乾燥収縮ひび割れ抑制をするために収縮低液剤を寒冷地で使用する場合,凝結時閧および強度発現性の他に凍結融解抵抗性について確認した。
(2)シリカフュームを低水結合材比のコンクリートに用いると,空隙構造が緻密になって毛細管に作用する力が大きくなるため,乾燥収縮量が大きくなる。
(3)JISA6204(コンクリート用化学混和剤)に定められているAE剤の減水率の下限値は,減水剤の減水率の下限値よりも大きい。
(4)JIS A6204(コンクリート用化学混和剤)では,減水剤,AE減水剤,高性能AE減水剤および流動化剤について,凝結時間の差により,標準形,遅延形および促進形の3種類に区分している。
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正解は(2),(4)
【解説】
(1)〇正しい。混和材料によるコンクリートの乾燥収縮を抑制する方法として,膨張材の使用の他に収縮低減剤の使用などがあります。収縮低減剤は多く用いた場合,コンクリートの凍結融解抵抗性作用により劣化を生じる場合もあることから,収縮低減剤を使用したコンクリートの品質として凝結,強度発現の他に凍結融解抵抗性を確認することは適切です。
(2)×誤り。シリカフュームを用いると緻密化により緇孔径が小さくなるので,空隙に発生する毛細管張力が大きくなり,自己収縮が起りやすくなります。乾燥収縮量は大きくならなりません。
(3)〇正しい。JIS A 6204-2006 (コンクリート用化学混和剤)に規定されているAE剤の減水率は6%以上,減水剤の減水率は4%以上である。ちなみにAE減水剤(促進形)は8%以上,AE減水剤(標準形,遅延形)は10%以上,高性能減水剤は12%以上,高性能AE減水剤は18%以上です。
(4)×誤り。コンクリート用化学混和剤の種類により規定されている品質項目は異なり,区分も異なります。高性能AE減水剤,流動化剤には標準形,遅延形の区分はあります,促進形の区分はありません。混和剤の品質項目には,減水率,グリーティング量の比,凝結時間の差,圧縮強度比,長さ変化比,凍結融解に対する抵抗性,経時変化量などがあります。
【No.23】
JIS A 5308附属書C(レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水)における回収水に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)スラッジ水は,骨材を取り除く処理がなされていない,コンクリートの洗浄排水である。
(2)上澄水は,水酸化カルシウム等をほとんど含まないので,ほぼ中性を示す。
(3)スラッジ固形分率は,単位水量に対する割合で示される。
(4)回収水には,塩化物イオン量の上限値が規定されている。
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正解は(4)
【解説】
(1)×誤り。スラッジ水とは,コンクリートの洗浄排水から,粗骨材,細骨材を取り除いて,回収した懸濁水です。
(2)×誤り。上澄水は,スラッジ水から,スラッジ固形分を沈降その他の方法で取り除いた水です。上澄水中には水酸化カルシウム等が残存しているので,アルカリ性を示します。
(3)×誤り。スラッジ固形分率は,レディーミクストコンクリートの配合における単位セメント量に対するスラッジ固形分の質量の割合を分率で表したものです。
(4)〇正しい。回収水とは,コンクリート洗浄排水を処理して得られるスラッジ水および上澄水の総称です。回収水の品質として①塩化物イオン(Cト)量の上限値(200 ppm以下)②セメントの凝結時間の差(始発は30以内,終結は60以内)③モルタルの圧縮強さの比(材齢7日および28日で90%以上)が規定されています。
【No.24】
練り混ぜ水に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)スラッジ固形分率は,単位セメント量に対するスラッジ固形分の質量の割合を分率で表したものである。
(2)JIS A5308(レディーミクストコンクリート)では,スラッジ水からスラッジ固形分を取り除いた水は,「上水道水以外の水」として使用する。
(3)海水を練混ぜ水に用いると,塩分によりコンクリートの凝結が遅れる。
(4)回収水を使用する場合,スラッジ固形分が多いと所定の空気量を連行するためのAE剤の使用量を減らすことができる。
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正解は(1)
【解説】
(1)〇正しい。スラッジ固形分率は,単位セメント量に対するスラッジ固形分の質量の割合を百分率で表したものです。スラッジ固形分率の限度は,3%をこえてはならないと規定されています。
(2)×誤り。スラッジ水からスラッジ固形分を取り除いた水(上澄水)とは回収水でし。上水道水以外の水とは,河川水,湖沼水,井戸水,地下水などとして採水され,とくに上水道水として処理がなされていないものおよび工業用水で,回収水を除く水のことです。上澄水は,上水道水以外の水としてではなく,回収水として使用します。
(3)×誤り。海水中の塩化ナトリウムはセメントの水和を促進する作用があります。通常のコンクリートに海水を練混ぜ水に使用すると,凝結時間は1時間~1時間30分程度早くなります。海水中には, 塩化ナトリウムは約2.7%含まれています。
(4)×誤り。スラッジの固形分が多くなると微粒分か多くなり,AE剤がその微粒分に吸着され,空気量が連行されにくくなるので,AE剤の使用量は増やすことになります。
【No.25】
コンクリート用補強材に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートとの付着強度は,丸鋼よりも異形棒鋼の方が大きい。
(2)鉄筋コンクリート用棒鋼の弾性係数は,引張強さに比例する。
(3)鋼材は,含有炭素量が多いほど,破断時の伸びが大きくなる。
(4)PC鋼材を引っ張って一定の長さに保つと,時間の経過とともに,その引張応力が増加する。
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正解は(1)
【解説】
(1)〇正しい。寸着強度を高めるために鉄筋の表面に節(突起)を付けたものが異形鉄筋です。
(2)×誤り。鉄筋の弾性係数は鋼種(降伏強度,引張強さ)にかかわらずほぼ一定で205 kN/mm2です。
(3)×誤り。鋼材は炭素量が増えると脆くなります。すなわち,伸びは小さくなります。
(4)×誤り。引っ張って一定の長さに保つと,時間とともに応力は減少します。これをリラクセーションと呼びます。