【No.146】
マスコンクリートの温度ひび割れ抑制対策に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)内部温度上昇を小さくするために,中庸熱ポルトランドセメントを用いた。
(2)練上り温度を低くするために,練り混ぜ水の一部をフレークアイスに置き換えた。
(3)フーチングにおいて,内部拘束によるひび割れを抑制するために,型枠に保温性の高いものを用いた。
(4)壁状構造物において,外部拘束によるひび割れを抑制するために,打ち込み時のブロック長を大きくした。
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正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。水和熱の小さいセメントを用いたコンクリートのほうがコンクリートの温度上昇は小さく,温度ひび割れ抑制に効果があります。低熱ポルトランドセメント,中庸熱ボルトランドセメント,混合セメントなどが用いられます。
(2)○正しい。使用材料・配合,外気温など環境条件が同一であれば,使用材料のプレクーリングを行い,打ち込み温度を下げることで,コンクリートの最高温度を低減できます。フレークアイス,冷水,液体窒素などを用いる方法があります。
(3)○正しい。マスコンクリートでは比較的初期の材齢において,温度降下の早い表面部は収縮しようとし,これを,温度上昇過程あるいは温度降下過程にあっても降下速度の遅い内部のコンクリートが拘束することでひび割れが生じる場合があります。保温性の高い型枠を用いることで表面部での温度降下速度が抑えられ,内外部の温度差を小さくできるとともに,気温の変動による影響が緩和できます。とくに,冬期施工では有効なひび割れ抑制対策の一つです。
(4)×誤り。打ち込み区画が大きい方が外部拘束は大きく,温度ひび割れが生じやすくなります。温度ひび割れの抑制には,打ち込み時のブロック長を小さくするのがよいです。
【No.147】
マスコンクリートに関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)水和熱が小さいセメントは,部材内部の最高温度を下げるのに有効である。
(2)コンクリートの温度上昇量は,打ち込み時の温度が高いほど大きくなる。
(3)内部拘束によって生じるひび割れは,部材の断面を貫通しやすい。
(4)外部拘束によって生じるひび割れは,部材内部の温度が降下するときに発生しやすい。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。コンクリートの温度上昇はセメントの水和熱が主因であり,水和熱が小さいセメントを用いることで,部材内部のコンクリートの最高温度は小さくなります。
(2)○正しい。コンクリートの温度上昇量は,他の条件が同じであれば,打ち込み時のコンクリート温度が高いほど大きくなります。マスコンクリートの温度ひび割れを抑制する方法として,練り混ぜ水や骨材を冷却し,コンクリートの練上り温度を下げることでコンクリート打ち込み温度を下げる方法があります。
(3)×誤り。マスコンクリートでは比較的初期の材齢において,温度降下の早い表面部は収縮しようとし,これを温度上昇過程あるいは温度降下過程にあっても降下速度の遅い内部のコンクリートが拘束することでひび割れが生じる場合があります。これが内部拘束による温度ひび割れであり,部材表面に生じます。
(4)○正しい。部材中のコンクリート温度は最高温度に達した後,周囲の環境温度に収束するまで降下します。基礎地盤や既設のコンクリート部材の拘束によって生じる外部拘束応力(引張り)はこの温度降下過程で徐々に増加し,引張応力度が限界値をこえたときにひび割れが生じます。ひび割れは,断面を貫通する場合が多いです。
【No.148】
マスコンクリートの温度ひび割れ対策に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)コンクリートの温度上昇量を小さくするために,単位セメント量を小さくした。
(2)コンクリートの温度上昇量を小さくするために,パイプクーリングを実施した。
(3)部材の表面温度を低くするために,型枠を早期に脱型した。
(4)岩盤の拘束により発生する温度応力を小さくするために,打ち込みブロックを小さくした。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。コンクリートの温度上昇はセメントの水和熱を主因とし,単位セメント量を低減することで,部材内部のコンクリートの温度上昇量は小さくなります。
(2)○正しい。部材内部のコンクリートの温度上昇量を小さくする方法として,部材中にあらかじめ敷設したパイプ中に冷却水を通水して温度上昇を抑制する方法があります。通水温度,通水量,パイプ配管等に加え通水時期(開始時期,終了時期)の検討が重要です。
(3)×誤り。マスコンクリートでは比較的初期の材齢において,温度降下の早い表面部は収縮しようとし,これを温度上昇過程あるいは温度降下過程にあっても降下速度の遅い内部のコンクリートが拘束することでひび割れが生じる場合があります。これが内部拘束による温度ひび割れであり,早期の型枠脱型は,内外部の温度差を大きくし,温度ひび割れの発生を助長する可能性があります。
(4)○正しい。部材中のコンクリート温度は最高温度に達した後,周囲の環境温度に収束するまで降下します。基礎地盤や既設コンクリート部材の拘束によって生じる外部拘束応力はこの温度降下過程で徐々に増加し,引張応力度が限界値をこえたときにひび割れが生じます。打ち込みブロックを小さくすることで外部拘束が小さくなり,その結果,温度応力を小さくする効果が期待できます。
【No.149】
璧状のマスコンクリート構造物の温度ひび割れ対策として,次の記述のうち不適当なものはどれか。
(1)コンクリートの温度上昇量を小さくするために,低熱ポルトランドセメントを使用した。
(2)打ち込み時のコンクリート温度を下げるために,パイプクーリングを実施した。
(3)ひび割れの幅を制御するために,配力方向の鉄筋量を増やした。
(4)ひび割れの位置を制御するために,ひび割れ誘発目地を設けた。
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正解は(2)
【解説】
(1)○正しい。水和熱の小さいセメントを用いたコンクリートの方がコンクリートの温度上昇は小さく,温度ひび割れ抑制に効果があります。低熱ポルトランドセメント,中庸熱ポルトランドセメント,混合セメントなどが用いられます。
(2)×誤り。パイプクーリングは,あらかじめコンクリートの打ち込み区画中にパイプを設置し,コンクリート打ち込み後にパイプ中に水(冷水)を流すことで,コンクリート打ち込み後の温度上昇を小さくする方法であり,打ち込み時のコンクリート温度を下げる方法ではありません。
(3)○正しい。外部拘束によって壁に生じる温度ひび割れは鉛直方向(主筋方向)に生じます。このひび割れ幅を抑制する方法として,配力方向の鉄筋量を増やす方法があります。
(4)○正しい。ひび割れ誘発目地とは,あらかじめ切欠きなどを設けた断面欠損部にひび割れを発生させようとするもので,ひび割れ位置を制御する有力な方法です。ひび割れからの漏水が懸念されるような場合には,事前に目地部に適切な止水処置を施しておくことが重要です。
【No.150】
マスコンクリートに関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)コンクリートの温度上昇量は,セメントの種類や単位量,打ち込み温度の影響を受ける。
(2)コンクリートの温度上昇量は,構造物の形状や寸法の影響を受ける。
(3)コンクリートの温度上昇量の低減には,フライアッシュを混和材として用いることが有効である。
(4)外部拘束によるひび割れは,コンクリートが最高温度に達した時点で発生する。
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正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。コンクリートの温度上昇は,セメントの水和熱を主因とするもので,水和発熱特性は,使用するセメントの種類,単位セメント量,コンクリートの打ち込み温度によって異なり,コンクリート温度上昇量に影響します。
(2)○正しい。コンクリートの温度上昇量は,他の条件が同じであれば,構造物の寸法が大きいほど大きくなります。また,基礎上のスラブ状構造物と壁状の構造物では放熱条件(熱の移動)が異なるため,内部温度の変化は異なります。
(3)○正しい。低熱ポルトランドセメントや混合セメントなど水和熱の小さいセメントを用いる方法,フライアッシュ,高炉スラグ微粉末,石灰石粉などの混和材を用いる方法はコンクリートの温度上昇量の低減に効果的です。
(4)×誤り。部材中のコンクリート温度は最高温度に達した後,周囲の環境温度に収束するまで降下します。基礎地盤や既設のコンクリート部材の拘束によって生じる外部拘束応力(引張り)はこの温度降下過程で徐々に増加し,引張応力度が限界値をこえたときにひび割れが生じます。