建設部門【選択科目Ⅲ】成績B
この記事では、技術士2次試験(建設分野/鋼構造コンクリート)で不合格だった際の解答とその点数をご紹介します。
技術士2次試験に挑戦中の方、これから挑戦される方の参考になれば幸いです。
技術士試験に関わる個人情報の開示請求について(回答)
選択科目Ⅲ:(30点満点)
17.50(B)
問題と解答
問題ーⅢー2
【問題】
建設分野では,原材料の調達,製造,施工までを行う多様な工種があり複雑極める。そこでi-construction推進の方策の1つである最先端のサプライチェーンマネジメントの導入を掲げ,生産性向上を目指している。このことに関して次の問いに答えよ。
(1)建設分野において,サプライチェーンマネジメントをより積極的に推進するために,鋼構造及びコンクリートの技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を,専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
【解答】
(1)サプライチェーンマネジメント推進の課題
①設計・施工方法の標準化
建設物は現地屋外一品生産であり、規模・用途および設計・施工方法によって、使用資機材が多岐にわたる。そのため、資機材の供給能力が分散する。
供給能力の効率化という観点から、建設物の設計・施工方法を標準化することが課題である。
②材料の代替品確保
高強度コンクリートに使用されるシリカフュームは、そのほとんどを輸入に頼っている。そのため、急激な円安などのコスト上昇により、生産性の低下が生じる。
サプライチェーンの多様化という観点から、シリカフュームを国内生産可能な石灰石微粉末などに置き換えるなど、材料の代替品確保が課題である。
③各工事工程情報のプラットフォーム化とAI予測
コンクリート打設では、生コンプラントへの材料発注・打設工・ポンプ工および土間工を同時に手配する必要がある。大型工事の打設前工程の遅れや、雨天による延期などにより、他の現場の打設工程変更などの無駄が生じる。
サプライ能力の一貫管理という観点から、各工事の状況・工程情報を一括管理し、AI解析により工程の進捗および気象予測をすることで、打設日変更による無駄を減らす。そのため、各工事工程情報のプラットフォーム化とAI予測が課題である。
(2)最重要課題と解決策
最も重要と考える課題は「設計・施工の標準化」である。
①躯体断面の標準化
RC造道路橋は、道路の車線数(幅員)およびスパン長さから構造の耐力が決まり、水道管などのインフラ設備の要不要によって断面の大きさ(内部空間)が決まる。
構造物の規模及び用途から、標準断面を数種類用意し、その中から断面を選択することで、躯体断面の標準化をする。
②プレキャスト化
建設物は現地屋外生産である。RC造建造物は型枠工、鉄筋工、打設工、土間工等の躯体専門技術者が現地で作業するため生産性が向上しにくい。
RC部材を工場で製作し各現場に運搬・組立てるプレキャスト工法を標準化する。また、揚重時に使用する仮設ピースの形状を標準化する。それにより、現地での組立てロボット・機械の仕様を標準化することで生産性を向上させる。
③海外技術の導入(規基準の整備)
トンネル工事では、1980年代に海外からNATM工法が輸入され、国内で適用されて以来、在来工法に代わり山岳トンネルの標準工法となった。これにより海外の機械等を活用することができるようになる。
スイスなどヨーロッパでは、コンクリート用3Dプリンターにより道路橋を建造した例もある。
コンクリート用3Dプリンターを使用する場合、鉄筋の配置が困難であるため、高強度繊維を配合した引張及び曲げ応力に強い新材料を使用する必要がある。
海外の技術及び新材料を活用するため、性能規定を設けるなど、国内の規基準を整備する。
(3)波及効果と懸念事項への対応策
①波及効果
設計・施工方法の標準化により、品質向上が期待できる。また、施工後の維持管理・劣化診断の省力化が期待できる。
②懸念事項
標準化により、試用する技術が画一化することで、特殊な形状の設計・施工ができる技術者が不足することが懸念される。
③対応策
③-1.デジタル化による従来技術伝承
既存の設計・施工方法を、画像やセンサー類でデジタル数値化し、技術伝承をする。
③-2.データのプラットフォーム化
原材料の調達、製造、設計、施工、維持管理まで、経験者のみ得られるノウハウ・データをBIM/CIMモデルで一貫管理し、共有することで技術者不足に対応する。
以上
(1)サプライチェーンマネジメント推進の課題
①設計・施工方法の標準化
建設物は現地屋外一品生産であり、規模・用途および設計・施工方法によって、使用資機材が多岐にわたる。そのため、資機材の供給能力が分散する。
供給能力の効率化という観点から、建設物の設計・施工方法を標準化することが課題である。
②材料の代替品確保
高強度コンクリートに使用されるシリカフュームは、そのほとんどを輸入に頼っている。そのため、急激な円安などのコスト上昇により、生産性の低下が生じる。
サプライチェーンの多様化という観点から、シリカフュームを国内生産可能な石灰石微粉末などに置き換えるなど、材料の代替品確保が課題である。
③各工事工程情報のプラットフォーム化とAI予測
コンクリート打設では、生コンプラントへの材料発注・打設工・ポンプ工および土間工を同時に手配する必要がある。大型工事の打設前工程の遅れや、雨天による延期などにより、他の現場の打設工程変更などの無駄が生じる。
サプライ能力の一貫管理という観点から、各工事の状況・工程情報を一括管理し、AI解析により工程の進捗および気象予測をすることで、打設日変更による無駄を減らす。そのため、各工事工程情報のプラットフォーム化とAI予測が課題である。
(2)最重要課題と解決策
最も重要と考える課題は「設計・施工の標準化」である。
①躯体断面の標準化
RC造道路橋は、道路の車線数(幅員)およびスパン長さから構造の耐力が決まり、水道管などのインフラ設備の要不要によって断面の大きさ(内部空間)が決まる。
構造物の規模及び用途から、標準断面を数種類用意し、その中から断面を選択することで、躯体断面の標準化をする。
②プレキャスト化
建設物は現地屋外生産である。RC造建造物は型枠工、鉄筋工、打設工、土間工等の躯体専門技術者が現地で作業するため生産性が向上しにくい。
RC部材を工場で製作し各現場に運搬・組立てるプレキャスト工法を標準化する。また、揚重時に使用する仮設ピースの形状を標準化する。それにより、現地での組立てロボット・機械の仕様を標準化することで生産性を向上させる。
③海外技術の導入(規基準の整備)
トンネル工事では、1980年代に海外からNATM工法が輸入され、国内で適用されて以来、在来工法に代わり山岳トンネルの標準工法となった。これにより海外の機械等を活用することができるようになる。
スイスなどヨーロッパでは、コンクリート用3Dプリンターにより道路橋を建造した例もある。
コンクリート用3Dプリンターを使用する場合、鉄筋の配置が困難であるため、高強度繊維を配合した引張及び曲げ応力に強い新材料を使用する必要がある。
海外の技術及び新材料を活用するため、性能規定を設けるなど、国内の規基準を整備する。
(3)波及効果と懸念事項への対応策
①波及効果
設計・施工方法の標準化により、品質向上が期待できる。また、施工後の維持管理・劣化診断の省力化が期待できる。
②懸念事項
標準化により、試用する技術が画一化することで、特殊な形状の設計・施工ができる技術者が不足することが懸念される。
③対応策
③-1.デジタル化による従来技術伝承
既存の設計・施工方法を、画像やセンサー類でデジタル数値化し、技術伝承をする。
③-2.データのプラットフォーム化
原材料の調達、製造、設計、施工、維持管理まで、経験者のみ得られるノウハウ・データをBIM/CIMモデルで一貫管理し、共有することで技術者不足に対応する。
以上