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【宅建過去問】権利関係ー借地借家法No.121-125

【No2-25】聞き流し_宅建過去問_一問一答_権利関係

【No.121】

借地借家法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)建物の用途を制限する旨の借地条件がある場合において,法令による土地利用の規制の変更その他の事情の変更により,現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず,借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは,裁判所は,当事者の申し立てにより,その借地条件を変更することができる。
(2)賃貸借契約の更新の後において,借地権者が残存期間を超えて残存すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず,借地権設定者がその建物の築造を承諾しないときは,借地権設定者が土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き,裁判所は,借地権者の申し立てにより,借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
(3)借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において,その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず,借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは,裁判所は,その第三者の申し立てにより,借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
(4)第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売により取得した場合において,その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず,借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは,裁判所は,その第三者の申し立てにより,借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。建物の種類,構造,規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において,法令による土地利用の規制の変更,付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず,借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは,裁判所は,当事者の申し立てにより,その借地条件を変更することができます。
(2)○正しい。借地契約の更新の後において,借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず,借地権設定者がその建物の築造を承諾しないときは,借地権設定者が地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き,裁判所は,借地権者の申し立てにより,借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。
(3)×誤り。承諾に代わる許可を申し立てるのは,借地権者です。借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において,その第三者が賃借権を取得し,又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず,借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは,裁判所は,借地権者の申し立てにより,借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。
(4)○正しい。第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において,その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず,借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは,裁判所は,その第三者の申し立てにより,借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。

【No.122】

Aが居住用の甲建物を所有する目的で,期間30年と定めてBから乙土地を賃借した場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。なお,Aは借地権登記を備えていないものとする。
(1)借地権登記を備えていないAが居住用の甲建物を所有する目的で,期間30年と定めてBから乙土地を賃借した場合に関し,Aが甲建物を所有していても,建物保存登記をAの子C名義で備えている場合には,Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたDに対して,Aは借地権を対抗することができない。
(2)借地権登記を備えていないAが居住用の甲建物を所有する目的で,期間30年と定めてBから乙土地を賃借した場合に関し,Aが甲建物を所有していても,登記上の建物の所在地番,床面積等が少しでも実際のものと相違している場合には,建物の同一性が否定されるようなものでなくてもBから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたEに対して,Aは借地権を対抗することができない。
(3)借地権登記を備えていないAが居住用の甲建物を所有する目的で,期間30年と定めてBから乙土地を賃借した場合に関し,AB間の賃貸借契約を公正証書で行えば,当該契約の更新がなく期間満了により終了し,終了時にはAが甲建物を収去すべき旨を有効に規定することができる。
(4)借地権登記を備えていないAが居住用の甲建物を所有する目的で,期間30年と定めてBから乙土地を賃借した場合に関し,Aが地代を支払わなかったことを理由としてBが乙土地の賃貸借契約を解除した場合,契約に特段の定めがないときは,Bは甲建物を時価で買い取らなければならない。
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正解は(1)

【解説】
(1)○正しい。土地について賃借権の登記がなくても,土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは,これをもって第三者に対抗することができます。しかし,配偶者名義や長男名義などの場合,第三者に対抗することができません。建物保存登記がAの子C名義であるため,Aは,乙土地の所有権移転登記を備えたDに対して,借地権を対抗することができません。
(2)×誤り。建物の同一性が認められれば,借地権を対抗できます。借地上の建物の登記に表示された所在地番及び床面積が実際と異なる場合であっても,一定の事情の下では,登記されている建物との同一性は肯定されます。そして,土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは,これをもって第三者に対抗することができます。したがって,甲建物の登記を備えているAは,Dに対して借地権を対抗することができます。
(3)×誤り。建物買取請求権を認める規定は特約で排除できません。借地権の存続期間が満了した場合の建物買取請求についての規定は強行規定であるため,借地権者に不利な内容の特約は無効となります。「賃貸借契約終了時にはAが甲建物を収去すべき」との特約は,借地権者の建物買取請求を否定するものであるため,借地権者であるAにとって不利な内容であり,無効です。また,公正証書によって事業用定期借地権を設定した場合であれば,更新や建物買取請求を認めない旨を特約で定めることもできますが,Aは居住用の甲建物を所有する目的で乙土地を賃借しているので通常の借地権の設定であり,事業用定期借地権の設定にあたりません。
(4)×誤り。借地権者の債務不履行による解除の場合,建物買取請求権は認められません。建物買取請求権が認められるのは,借地権の存続期間が満了したことによって賃貸借契約が終了した場合です。債務不履行によって賃貸借契約が解除された場合には建物買取請求権は認められません。したがって,地代を支払わなかったことを理由として賃貸借契約が解除された場合には,Bは甲建物を時価で買い取る必要はありません。

【No.123】

賃貸借契約に関する次の記述のうち,民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば,正しいものはどれか。
(1)ゴルフ場経営を目的とする土地賃貸借契約については,対象となる全ての土地について地代等の増減額請求に関する借地借家法第n条の規定が適用される。
(2)借地権の存続期間が満了する際,借地権者の契約の更新請求に対し,借地権設定者が遅滞なく異議を述べた場合には,借地契約は当然に終了する。
(3)二筆以上ある土地の借地権者が,そのうちの一筆の土地上に登記ある建物を所有し,登記ある建物がない他方の土地は庭として使用するために賃借しているにすぎない場合,登記ある建物がない土地には,借地借家法第10条第1項による対抗力は及ばない。
(4)借地権の存続期間が満了する前に建物が滅失し,借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を建築した場合,借地権設定者が異議を述べない限り,借地権は建物が築造された日から当然に20年間存続する。
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正解はNone

【解説】
(1)×誤り。借地借家法では,「借地」に関する規定については,建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権でなければ適用されません。土地の賃貸借契約おいてゴルフ場経営を目的としているにすぎず,建物の所有を目的としていないため,借地借家法11条を直接適用することはできません。また,その土地が建物の所有と関連する態様で使用されている事実をうかがうこともできないため,借地借家法11条を類推適用することもできません。
(2)×誤り。借地権者の地位の保護するため,借地権者からの契約の更新請求に対して借地権設定者が異議を述べる場合には,正当事由がなければならないとされています。したがって,更新請求に対して借地権設定者が異議を述べれば,当然契約が終了するというわけではありません。
(3)○正しい。二筆以上ある土地の借地権者が,そのうち一筆の上地上に登記のある建物を所有しているにすぎない場合,登記ある建物がない他方の土地に借地借家法10条1項による対抗力は及びません。
(4)×誤り。存続期間の延長のためには,借地権設定者の承諾が必要です。借地権の存続期間が満了する前に建物が滅失し,借地権者が存続期間を超えて存続すべき建物を築造した場合,借地権設定者の承諾がある場合に限り,借地権は,承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続します。したがって,存続期間の延長が認められるためには借地権設定者の承諾が必要であり,借地権設定者が異議を述べないにすぎないときは,存続期間は延長されません。

【No.124】

賃貸借契約に関する次の記述のうち,民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において,借地権の登記がなくても,その上地上の建物に借地人が自己を所有者と記載した表示の登記をしていれば,借地権を第三者に対抗することができる。
(2)建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において,建物が全焼した場合でも,借地権者は,その上地上に滅失建物を特定するために必要な事項等を掲示すれば,借地権を第三者に対抗することができる場合がある。
(3)建物の所有を目的とする土地の適法な転借人は,自ら対抗力を備えていなくても,賃借人が対抗力のある建物を所有しているときは,転貸人たる賃借人の賃借権を援用して転借権を第三者に対抗することができる。
(4)仮設建物を建築するために土地を一時使用として1年間賃借し,借地権の存続期間が満了した場合には,借地権者は,借地権設定者に対し,建物を時価で買い取るように請求することができる。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。借地権については,借地権の登記がなくても借地上の建物の登記があれば第三者に対抗することができます。そして,この場合の「登記」には表示の登記も含まれます。
(2)○正しい。建物の滅失があった場合でも,借地権者が,その建物を特定するために必要な事項等を土地の上の見やすい場所に掲示するときは,借地権は,なお第三者に対抗することができます。
(3)○正しい。賃借人が対抗力のある登記ある建物を所有している場合は,適法な転借人は自らは対抗力を備えていなくても,転貸人たる賃借人の賃借権を援用して,転借権を第三者に対抗することができます。
(4)×誤り。一時使用目的の借地権の場合,建物買取請求権は認められません。臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には,建物買取請求権は認められません。

【No.125】

Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と,一時使用目的ではなく建物所有目的を有するCに貸す場合とに関する次の記述のうち,民法及び借地借家法の規定によれば,正しいものはどれか。
(1)Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と,一時使用目的ではなく建物所有目的を有するCに貸す場合とに関し,AB間の土地賃貸借契約の期間は,AB間で60年と合意すればそのとおり有効であるのに対して,AC間の土地賃貸借契約の期間は,50年が上限である。
(2)Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と,一時使用目的ではなく建物所有目的を有するCに貸す場合とに関し,土地賃貸借契約の期間満了後に,Bが甲土地の使用を継続していてもAB間の賃貸借契約が更新したものと推定されることはないのに対し,期間満了後にCが甲土地の使用を継続した場合には,AC間の賃貸借契約が更新されたものとみなされることがある。
(3)Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と,一時使用目的ではなく建物所有目的を有するCに貸す場合とに関し,土地賃貸借契約の期間を定めなかった場合,Aは,Bに対しては,賃貸借契約開始から1年が経過すればいつでも解約の申入れをすることができるのに対し,Cに対しては,賃貸借契約開始から30年が経過しなければ解約の申入れをすることができない。
(4)Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と,一時使用目的ではなく建物所有目的を有するCに貸す場合とに関し,AB間の土地賃貸借契約を書面で行ってもBが賃借権の登記をしないままAが甲土地をDに売却してしまえばBはDに対して賃借権を対抗できないのに対し,AC間の土地賃貸借契約を口頭で行っても,Cが甲土地上にC所有の登記を行った建物を有していれば,Aが甲土地をDに売却してもCはDに対して賃借権を対抗できる。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。建物所有を目的としないAB間の土地賃貸借契約には借地借家法の適用はなく,民法のみが適用され,その期間については20年が上限となります。これに対して,建物所有を目的とするAC間の土地賃貸借契約は借地借家法の借地権に該当するので,30年以上であれば,合意による期間の制限はありません。
(2)×誤り。土地賃貸借契約の期間満了後に,Bが甲土地の使用を継続する場合,賃貸人Aがこれを知りながら異議を述べないときはAB間の賃貸借契約は更新したものと推定されます。これに対し,期間満了後にCが甲土地の使用を継続した場合,建物がある場合に限り,AC間の賃貸借契約が更新されたものとみなされます。
(3)×誤り。AB間の土地賃貸借契約の期間を定めなかった場合,各当事者はいつでも解約申入れをすることができます。これに対して,AC間の土地賃貸借契約については,少なくとも30年の法定期間が定められ,借地権者からの更新請求に対して借地権設定者は異議を述べる扱いとなります。
(4)○正しい。AB間の土地賃貸借契約については,民法のみが適用されるので,賃借権の登記を有しないBは,新たに所有者となったDに対して賃借権を対抗することができません。これに対して,AC間の土地賃貸借契約については,借地借家法が適用されるので,Cが甲土地上にC所有の登記を行った建物を有していれば,第三者Dに対して賃借権を対抗することができます。いずれの場合も,契約が書面で行われたか否かは関係ありません。
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