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【宅建過去問】権利関係ー不法行為No.131-135

【No2-27】聞き流し_宅建過去問_一問一答_権利関係
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【No.131】

不法行為に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
(1)不法行為による損害賠償請求権の期間の制限を定める民法第724条における,被害者が損害を知った時とは,被害者が損害の発生を現実に認識した時をいう。
(2)不法行為による損害賠償債務の不履行に基づく遅延損害金債権は,当該債権が発生した時から10年間行使しないことにより,時効によって消滅する。
(3)不法占拠により日々発生する損害については,加害行為が終わった時から一括して消滅時効が進行し,日々発生する損害を知った時から別個に消滅時効が進行することはない。
(4)不法行為の加害者が海外に在住している間は,民法第724条後段の20年の時効期間は進行しない。
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正解は(1)

【解説】
(1)○正しい。民法724条は,「不法行為による損害賠償の請求権は,被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは,時効によって消滅する」と規定します。そして,ここでいう被害者が損害を知った時とは,被害者が損害の発生を現実に認識した時をいいます。
(2)×誤り。不法行為に基づく遅延損害金債権は,3年間又は20年間行使しないことにより消滅します。不法行為による損害賠償債務の遅延利息は,不法行為による損害賠償請求権の期間制限を定めた民法724条が適用され,不法行為による損害賠償請求権の期間制限と同様の期間である,被害者等が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき,又は不法行為の時から20年間経過により消滅することになります。
(3)×誤り。不法占拠のような継続的不法行為の場合には,当該行為により日々発生する損害につき被害者がその各々を知った時から別個に消滅時効が進行します。加害行為が終わった時から一括して消滅時効が進行するわけではありません。
(4)×誤り。不法行為に基づく損害賠償請求権は,不法行為の時から20年で消滅します。しかし,民法上,海外に在住している間に時効期間が進行しないとの規定はありません。

【No.132】

不法行為に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
(1)不法行為の被害者は,損割賠償責権を自働債権として加害者に対する金銭返還債務と相殺することができない。
(2)不法行為に基づく損害賠償債務は,被害者が催告をするまでもなく,その損害の発生のときから遅滞に陥る。
(3)売主及び買主がそれぞれ別の宅地建物取引業者に媒介を依頼し,両業者が共同して媒介を行った場合において,両業者の共同不法行為により買主が損害を受けたときは,買主は,買主が依頼した業者に損害賠償を請求することはできるが,売主が依頼した業者に損害賠償を請求することはできない。
(4)従業員Aが宅地建物取引業者Bの業務を遂行中に第三者Cに不法行為による損害を与えた場合,Bは,その損害を賠償しなければならないが,Aに対してその求償をすることはできない。
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正解は(2)

【解説】
(1)×誤り。被害者から加害者に相殺することはできます。不法行為によって損害賠償債務が生じたときは,その債務者,つまり加害者は,相殺をもって債権者,つまり被害者に対抗することができません。しかし,被害者の側から不法行為に基づく損害賠償請求権を自慟債権として相殺することは認められています。
(2)○正しい。不法行為に基づく損害賠償債務は,被害者保護の見地から,被害者が催告を行わなくとも,不法行為の時から直ちに遅滞に陥ります。
(3)×誤り。買主は,売主が依頼した業者にも損害賠償請求できます。数人の者が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは,各不法行為者は,生じた損害について連帯して責任を負います。両業者は買主に生じた損害について連帯して責任を負うため,買主は売主が依頼した業者に対しても,損害賠償を請求することができます。
(4)×誤り。業者Bは,加害者である従業員Aに求償できます。他人に使用されている被用者が,その使用者の事業を執行するについて他人に違法な損害を加えた場合,使用者も被用者の選任及び事業の監督につき過失があれば損害賠償責任を負います。そして,使用者が被害者に損害を賠償したときには,被用者に求償することができます。

【No.133】

事業者Aが雇用している従業員Bが行った不法行為に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
(1)事業者Aが雇用している従業員Bが行った不法行為に関し,Bの不法行為がAの事業の執行につき行われたものであり,Aに使用者としての損害賠償責任が発生する場合,Bには被害者に対する不法行為に基づく損害賠償責任は発生しない。
(2)事業者Aが雇用している従業員Bが行った不法行為に関し,Bが営業時間中にA所有の自動車を運転して取引先に行く途中に前方不注意で人身事故を発生させても,Aに無断で自動車を運転していた場合,Aに使用者としての損害賠償責任は発生しない。
(3)事業者Aが雇用している従業員Bが行った不法行為に関し,Bの不法行為がAの事業の執行につき行われたものであり,Aに使用者としての損害賠償責任が発生する場合,Aが被害者に対して売買代金債権を有していれば,被害者は不法行為に基づく損害賠償債権で売買代金債務を相殺することができる。
(4)事業者Aが雇用している従業員Bが行った不法行為に関し,Bの不法行為がAの事業の執行につき行われたものであり,Aが使用者としての損害賠償責任を負担した場合,A自身は不法行為を行っていない以上,Aは負担した損害額の2分の1をBに対して求償できる。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。Bは加害者である以上,被害者に対する賠償責任があります。民法715条1項によって使用者が負担する損害賠償債務と,民法709条によって被用者自身が負担する損害賠償債務とは,一種の連帯債務となります。したがって,AとBとは連帯して被害者に対して損害賠償責任を負担することになります。
(2)×誤り。「事業の執行について」とは,被用者の行為の外形から客観的に観察して,あたかも被用者の職務行為の範囲内に属するものと認められれば足ります。したがって,BがAに無断で自動車を運転していた場合であっても,営業時間中に取引先に行く途中で発生した人身事故であり,外形から客観的に観察して「事業の執行について」といえるため,Aには使用者としての損害賠償責任が発生します。
(3)○正しい。債務が不法行為によって生じたときは,その債務者である加害者は相殺をもって債権者である被害者に対抗することができません。しかし,不法行為に基づく損害賠償債権を自働債権とし,不法行為による損害賠償債権以外の債権を受働債権とする相殺は許されます。したがって,被害者は不法行為に基づく損害賠償債権で売買代金債務を相殺することができます。
(4)×誤り。Aは信義則上相当な額をBに求償できます。被害者に対して損害の賠償をした使用者が,被用者に対して求償権を行使することは妨げられません。そして,損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において,被用者に対して求償できます。したがって,Aは負担した損害額の2分の1をBに求償できるわけではありません。

【No.134】

Aに雇用されているBが,勤務中にA所有の乗用車を運転し,営業活動のため得意先に向かっている途中で交通事故を起こし,歩いていたCに危害を加えた場合における次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
(1)Aに雇用されているBが,勤務中にA所有の乗用車を運転し,営業活動のため得意先に向かっている途中で交通事故を起こし,歩いていたCに危害を加えた場合,BのCに対する損害賠償義務が消滅時効にかかったとしても,AのCに対する損害賠償義務が当然に消滅するものではない。
(2)Aに雇用されているBが,勤務中にA所有の乗用車を運転し,営業活動のため得意先に向かっている途中で交通事故を起こし,歩いていたCに危害を加えた場合,Cが即死であった場合には,Cには事故による精神的な損害が発生する余地がないので,AはCの相続人に対して慰謝料についての損害賠償責任を負わない。
(3)Aに雇用されているBが,勤務中にA所有の乗用車を運転し,営業活動のため得意先に向かっている途中で交通事故を起こし,歩いていたCに危害を加えた場合,Aの使用者責任が認められてCに対して損害を賠償した場合には,AはBに対して求償することができるので,Bに資力があれば,最終的にはAはCに対して賠償した損害額の全額を常にBから回収することができる。
(4)Aに雇用されているBが,勤務中にA所有の乗用車を運転し,営業活動のため得意先に向かっている途中で交通事故を起こし,歩いていたCに危害を加えた場合,Cが幼児である場合には,被害者側に過失があるときでも過失相殺が考慮されないので,AはCに発生した損害の全額を賠償しなければならない。
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正解は(1)

【解説】
(1)○正しい。被用者が負う損害賠償債務と使用者が負う損害賠償債務とは,いわゆる不真正連帯債務の関係に立ちます。ただし,この場合,時効の絶対効はないと解されているため,一方の債務が時効によって消滅したとしても,そのことによって,もう一方の債務が消滅することはありません。
(2)×誤り。被害者が即死した場合でも,被害者に精神的損害についての損害賠償請求権が発生し,相続人がこれを承継します。
(3)×誤り。被害者に対して損害の賠償をした使用者が,被用者に対して求償権を行使することは妨げられません。そして,損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において,被用者に対して求償できます。したがって,Aは常に全額をBに求償できるわけではありません。
(4)×誤り。不法行為によって生じた損害の公平な分担を図るため,被害者と身分上ないし生活関係上一体をなすと認められる関係にある者である被害者側の過失を考慮することができます。したがって,AはCに対して過失相殺が考慮された額を賠償する必要があります。

【No.135】

AがBとの請負契約によりBに建物を建築させてその所有者となり,その後Cに売却した。Cはこの建物をDに賃貸し,Dが建物を占有していたところ,この建物の建築の際におけるBの過失により生じた瑕疵により,その外壁の一部が剥離して落下し,通行人Eが重傷を負った。この場合の不法行為責任に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。
(1)AがBとの請負契約によりBに建物を建築させてその所有者となり,その後Cに売却した。Cはこの建物をDに賃貸し,Dが建物を占有していたところ,この建物の建築の際におけるBの過失により生じた瑕疵により,その外壁の一部が剥離して落下し,通行人Eが重傷を負った。Aは,この建物の建築の際において注文又は指図に過失がなく,かつ,その瑕疵を過失なくして知らなかったときでも,Eに対して不法行為責任を負うことがある。
(2)AがBとの請負契約によりBに建物を建築させてその所有者となり,その後Cに売却した。Cはこの建物をDに賃貸し,Dが建物を占有していたところ,この建物の建築の際におけるBの過失により生じた瑕疵により,その外壁の一部が剥離して落下し,通行人Eが重傷を負った。Bは,Aに対してこの建物の建築の請負契約に基づく債務不履行責任を負うことがあっても,Eに対して不法行為責任を負うことはない。
(3)AがBとの請負契約によりBに建物を建築させてその所有者となり,その後Cに売却した。Cはこの建物をDに賃貸し,Dが建物を占有していたところ,この建物の建築の際におけるBの過失により生じた瑕疵により,その外壁の一部が剥離して落下し,通行人Eが重傷を負った。Cは,損害の発生を防止するため必要な注意をしていたときでも,瑕疵ある土地の工作物の所有者として,Eに対して不法行為責任を負うことがある。
(4)AがBとの請負契約によりBに建物を建築させてその所有者となり,その後Cに売却した。Cはこの建物をDに賃貸し,Dが建物を占有していたところ,この建物の建築の際におけるBの過失により生じた瑕疵により,その外壁の一部が剥離して落下し,通行人Eが重傷を負った。Dは,損害の発生を防止するため必要な注意をしていたときでも,瑕疵ある土地の工作物の占有者として,Eに対して不法行為責任を負うことがある。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。請負契約の注文者は,注文又は指図につき過失がない限り,請負人が第三者に与えた損害を賠償する責任を負いません。したがって,Aは建物の建築の際の注文又は指図につき過失がない以上,第三者Eに対し不法行為責任を負いません。
(2)×誤り。Bの過失が原因である以上,Bは不法行為責任を負います。Eの負傷は,Bの過失により生じた建物の瑕疵が原因で起きているため,Bは,契約関係がないEに対しても,不法行為責任を負います。
(3)○正しい。土地の工作物により第三者に損害を与えた場合には,第一次的には占有者が責任を負います。しかし,占有者が免責事由である,損害の発生を防止するために必要な注意をしたことを証明した場合は,第二次的に所有者が責任を負います。この所有者の責任は,免責を認めない絶対的な無過失責任です。したがって,占有者Dが,免責事由を証’明した場合には,Cは損害発生を防止するために必要な注意をしていたときでも不法行為責任を負います。
(4)×誤り。Dは必要な注意をしていた以上,不法行為責任を負いません。土地の工作物の占有者は,損害発生を防止するために必要な注意をしていたときには不法行為責任を免れます。占有者Dは,損害発生を防止するために必要な注意をしていたので,Eに対して不法行為責任を負いません。
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