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【宅建過去問】権利関係ー不法行為、請負、委任No.136-140

【No2-27】聞き流し_宅建過去問_一問一答_権利関係

【No.136】

Aに雇用されているBが,勤務中にA所有の乗用車を運転し,営業活動のため顧客Cを同乗させている途中で,Dが運転していたD所有の乗用車と正面衝突した(なお,事故についてはBとDに過失がある。)場合における次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
(1)Aに雇用されているBが,勤務中にA所有の乗用車を運転し,営業活動のため顧客Cを同乗させている途中で,Dが運転していたD所有の乗用車と正面衝突した。なお,事故についてはBとDに過失がある。Aは,Cに対して事故によって受けたCの損害の全額を賠償した。この場合,Aは,BとDの過失割合に従って,Dに対して求償権を行使することができる。
(2)Aに雇用されているBが,勤務中にA所有の乗用車を運転し,営業活動のため顧客Cを同乗させている途中で,Dが運転していたD所有の乗用車と正面衝突した。なお,事故についてはBとDに過失がある。Aは,Dに対して事故によって受けたDの損害の全額を賠償した。この場合,Aは,被用者であるBに対して求償権を行使することはできない。
(3)Aに雇用されているBが,勤務中にA所有の乗用車を運転し,営業活動のため顧客Cを同乗させている途中で,Dが運転していたD所有の乗用車と正面衝突した。なお,事故についてはBとDに過失がある。事故によって損害を受けたCは,AとBに対して損害賠償を請求することはできるが,Dに対して損害賠償を請求することはできない。
(4)Aに雇用されているBが,勤務中にA所有の乗用車を運転し,営業活動のため顧客Cを同乗させている途中で,Dが運転していたD所有の乗用車と正面衝突した。なお,事故についてはBとDに過失がある。事故によって損害を受けたDは,Aに対して損害賠償を請求することはできるが,Bに対して損害賠償を請求することはできない。
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正解は(1)

【解説】
(1)○正しい。使用者Aは,被害者Cに損害全額の賠償をした場合に,Dに対し,求償権を行使できるかが問題となります。自動車事故によってCに損害を負わせたBD各自の行為には,不法行為とともに共同不法行為責任が成立します。また,BはAの被用者であるところ,勤務中にA所有の乗用車を運転して営業活動のため顧客Cを同乗させている途中で事故を起こしているため,事業の執行についてなされた不法行為として,Aは使用者責任を負います。使用者は,被害者の損害を全額賠償した場合,被用者と共同不法行為者である第三者との過失割合に従って定められる第三者の負担部分について,第三者に対し,求償権を行使できます。したがって,Aは,Dに対し,BとDの過失割合に従って求償権を行使できます。
(2)×誤り。信義則上相当と認められる限度で求償請求することができます。使用者は,被害者の損害を全額賠償した場合,被用者に対して求償権を行使できます。もっとも,使用者から被用者に対する求償権の行使は,損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度に制限されます。使用者は被用者を使用することによって利益を上げているのに,被用者が生じさせた損害の全てを被用者に転嫁できるとするのは報償責任の原理から相当でないからです。したがって,使用者Aは,信義則上相当と認められる限度で,被用者Bに対し求償権を行使できます。
(3)×誤り。共同不法行為者に対しても損害賠償請求できます。被害者CはABに対し損害賠償請求できます。また,BDには共同不法行為が成立しますが,共同不法行為が成立する場合,被害者は各不法行為者に対し損害全額の賠償を請求することができ,各不法行為者の損害賠償債務は不真正連帯債務となります。
(4)×誤り。使用者責任が成立する場合でも,被用者に対し損害賠償請求できます。Bは,自動車事故によってDに損害を負わせているため,Dに対し損害賠償責任を負います。また,事業の執行についてなされた被用者Bの不法行為として,Aは使用者責任を負います。そして,被用者の不法行為責任と使用者責任は,不真正連帯債務となるため,被害者は被用者と使用者のいずれに対しても損害全額の賠償を請求することができます。

【No.137】

AがBに対して建物の建築工事を代金3000万円で注文し,Bがこれを完成させた。この場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
(1)AがBに対して建物の建築工事を代金3000万円で注文し,Bがこれを完成させた。請負契約の目的物たる建物に瑕疵がある場合,瑕疵の修補が可能であれば,AはBに対して損害賠償請求を行う前に,瑕疵の修補を請求しなければならない。
(2)AがBに対して建物の建築工事を代金3000万円で注文し,Bがこれを完成させた。請負契約の目的物たる建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には,Aは当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
(3)AがBに対して建物の建築工事を代金3000万円で注文し,Bがこれを完成させた。請負契約の目的物たる建物に瑕疵があり,瑕疵の修補に要する費用が契約代金を超える場合には,Aは原則として請負契約を解除することができる。
(4)AがBに対して建物の建築工事を代金3000万円で注文し,Bがこれを完成させた。請負契約の目的物たる建物の瑕疵について,Bが瑕疵担保責任を負わない旨の特約をした場合には,Aは当該建物の瑕疵についてBの責任を一切追及することができなくなる。
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正解は(2)

【解説】
(1)×誤り。損害賠償請求する前に瑕疵修補請求する必要はありません。注文者が請負人に対して瑕疵担保責任を追及する場合,瑕疵の修補に代えて,又は,瑕疵の修補とともに損害賠償を請求することができます。瑕疵の修補が可能であるときでも,損害賠償請求を行う前に瑕疵の修補を請求しなければならないわけではありません。
(2)○正しい。請負契約の目的物である建物に重大な瑕疵があるために,これを建て替えざるを得ない場合には,注文者は請負人に対し,建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができます。
(3)×誤り。工事完成後に建物の請負契約を解除することはできません。仕事の目的物が建物その他の土地の工作物である場合には,目的物に瑕疵があり,そのために契約をした目的を達することができないときでも,注文者は契約の解除をすることはできません。
(4)×誤り。瑕疵担保責任を負わない特約をしても責任追及することができます。請負人が担保責任を負わない旨の特約をしているときであっても,請負人が知りながら告げなかった事実については担保責任を免れることはできません。したがって,一切責任を追及することができなくなるわけではありません。

【No.138】

Aは,その所有する土地について,第三者の立入り防止等の土地の管理を,当該管理を業としていないBに対して委託した。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
(1)Aは,その所有する土地について,第三者の立入り防止等の土地の管理を,当該管理を業としていないBに対して委託した。Bが無償で本件管理を受託している場合は,「善良な管理者の注意」ではなく,「自己の財産におけると同一の注意」をもって事務を処理すれば足りる。
(2)Aは,その所有する土地について,第三者の立入り防止等の土地の管理を,当該管理を業としていないBに対して委託した。Bが無償で本件管理を受託している場合は,Bだけでなく,Aも,いつでも本件管理委託契約を解除することができる。
(3)Aは,その所有する土地について,第三者の立入り防止等の土地の管理を,当該管理を業としていないBに対して委託した。Bが有償で本件管理を受託している場合で,Bの責に帰することができない事由によって本件管理委託契約が履行の中途で終了しかときは,Bは,既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
(4)Aは,その所有する土地について,第三者の立入り防止等の土地の管理を,当該管理を業としていないBに対して委託した。Bが有償で本件管理を受託している場合で,Bが死亡したときは,本件管理委託契約は終了し,Bの相続人は,当該契約の受託者たる地位を承継しない。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。無償の場合でも「善良な管理者の注意」義務を負います。委任契約においては,たとえ無償の場合でも,受任者は委任の本旨に従って,善良な管理者の注意をもって,事務を処理しなければなりません。
(2)○正しい。委任契約は,委任者,受任者のどちらからでも,いつでも,解除することができます。
(3)○正しい。委任契約が受任者の責めに憚することができない事由によって履行の中途で終了したときは,受任者は,その時までにした履行の割合に応じて報酬を請求することができます。
(4)○正しい。委任契約は委任者又は受任者の死亡によって終了します。委任契約は,委任者,受任者間の高度の人的信頼関係を基礎とするためです。

【No.139】

Aが,A所有の不動産の売買をBに対して委任する場合に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。なお,A及びBは宅地建物取引業者ではないものとする。
(1)Aが,A所有の不動産の売買をBに対して委任する場合に関し,不動産のような高価な財産の売買を委任する場合には,AはBに対して委任状を交付しないと,委任契約は成立しない。
(2)Aが,A所有の不動産の売買をBに対して委任する場合に関し,Eは,委任契約をする際,有償の合意をしない限り,報酬の請求をすることができないが,委任事務のために使った費用とその利息は,Aに請求することができる。
(3)Aが,A所有の不動産の売買をBに対して委任する場合に関し,Bが当該物件の価格の調査など善良な管理者の注意義務を怠ったため,不動産売買についてAに損害が生じたとして私報酬の合意をしていない以上,AはBに対して賠償の請求をすることができない。
(4)Aが,A所有の不動産の売買をBに対して委任する場合に関し,委任はいつでも解除することができるから,有償の合意があり,売買契約成立寸前にAが理由なく解除してBに不利益を与えたときでも,BはAに対して損害賠償を請求することはできない。
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正解は(2)

【解説】
(1)×誤り。委任契約の成立に委任状の交付は不要です。委任も契約の一類型であるから,委任契約により成立します。したがって,たとえ高価な財産の売買の委任であったとしても,当事者の合意がありさえすれば,委任状なくして委任契約は成立します。
(2)○正しい。委任契約は無償が原則であり,受任者は,有償の特約をしなければ,委任者に対して報酬を請求することができません。また,受任者が委任事務を処理するのに必要な費用を出したときは,その費用及び利息を請求できます。
(3)×誤り。無報酬の場合でも賠償請求できます。受任者の注意義務は,有償無償にかかわらず,善良な管理者の注意義務です。受任者がかかる義務に違反し,委任者に損害が発生した場合は,損害賠償請求できます。したがって,AはBに損害賠償請求できます。
(4)×誤り。Aの解除によりBが不利益を被った以上,賠償請求できます。委任は,各当事者が,いつでも解除することができます。また,当事者の一方が,やむを得ない理由もなく,相手方にとって不利な時期に委任を解除した場合は,その損害を賠償しなければなりません。

【No.140】

民法上の委任契約に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
(1)委任契約は,委任者又は受任者のいずれからも,いつでもその解除をすることができる。ただし,相手方に不利な時期に委任契約の解除をしたときは,相手方に対して損害賠償責任を負う場合がある。
(2)委任者が破産手続き開始決定を受けた場合,委任契約は終了する。
(3)委任契約が委任者の死亡により終了した場合,受任者は,委任者の相続人から終了についての承諾を得るときまで,委任事務を処理する義務を負う。
(4)委任契約の終了事由は,これを相手方に通知したとき,又は相手方がこれを知っていたときでなければ,相手方に対抗することができず,そのときまで当事者は委任契約上の義務を負う。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。委任は,各当事者がいつでもその解除をすることができます。ただし,当事者の一方が相手方の不利な時期に委任の解除をしたときは,やむを得ない事由があったときを除いて,相手方の損害を賠償しなければなりません。
(2)○正しい。委任は,委任者又は受任者の死亡,委任者又は受任者が破産手続き開始の決定を受けたとき,受任者が後見開始の審判を受けたことのいずれかの事由によって終了します。
(3)×誤り。委任契約が委任者の死亡により終了した場合において,急迫の事情があるときは,受任者は委任者の相続人が委任事務を処理することができるに至るまで,必要な処分をしなければなりません。しかし,受任者は,委任者の相続人から終了についての承諾を得るときまで委任事務を処理する義務を負うわけではありません。
(4)○正しい。委任の終了事由は,これを相手方に通知したとき,又は相手方がこれを知っていたときでなければ,これをもってその相手方に対抗することができません。したがって,そのときまで当事者は委任契約上の義務を負います。
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