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【宅建過去問】権利関係ー債権譲渡、地役権、相隣関係No.141-145

【No2-29】聞き流し_宅建過去問_一問一答_権利関係

【No.141】

Aが,Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)Aが,Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合に関し、譲渡通知は,AがBに対してしなければならないが,CがAの代理人としてBに対して通知しても差し支えない。
(2)Aが,Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合に関し、Bが譲渡を承諾する相手方は,A又はCのいずれでも差し支えない。
(3)Aが,Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合に関し、Aが,CとDとに二重譲渡し,それぞれについて譲渡通知をした場合で,Cに係る通知の確定日付はDに係るものより早いが,Bに対しては,Dに係る通知がCに係る通知より先に到達したとき,Dへの債権譲渡が優先する。
(4)Aが,Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合に関し、Bが,既にAに弁済していたのに,AのCに対する譲渡を異議を留めないで承諾した場合,Bは,弁済したことをCにもAにも主張することができない。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。債権譲渡において,譲受人は,譲渡人に代位して債務者に債権譲渡の通知をすることはできませんが,譲渡人の代理人として,債務者に債権譲渡の通知をすることができます。したがって,CがAの代理人としてBに対して通知しても差し支えません。
(2)○正しい。債権譲渡についての債務者の承諾の相手方は,譲渡人又は譲受人のいずれでも差し支えありません。したがって,BはA又はCのいずれに対して承諾をしてもよいです。
(3)○正しい。債権が二重譲渡され,いずれの譲渡についても確定日付ある証書による通知がなされた場合,譲受人間の優劣は,通知が債務者に到達した日時の先後によります。
(4)×誤り。BはAに弁済したことを,Aには主張できます。異議なき承諾をした債務者は,譲渡人に対する抗弁事由をもって譲受人に対抗することはできませんが,譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り返し,また,譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができます。したがって,Bは,Cに対しては弁済したことを主張できませんが,Aに対しては弁済したことを主張することができます。

【No.142】

Aは,Bに対して貸付金債権を有しており,Aはこの貸付金債権をCに対して譲渡した。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
(1)Aは,Bに対して貸付金債権を有しており,Aはこの貸付金債権をCに対して譲渡した。貸付金債権に譲渡禁止特約が付いている場合で,Cが譲渡禁止特約の存在を過失なく知らないとき,BはCに対して債権譲渡が無効であると主張することができない。
(2)Aは,Bに対して貸付金債権を有しており,Aはこの貸付金債権をCに対して譲渡した。Bが債権譲渡を承諾しない場合,CがBに対して債権譲渡を通知するだけでは,CはBに対して自分が債権者であることを主張することができない。
(3)Aは,Bに対して貸付金債権を有しており,Aはこの貸付金債権をCに対して譲渡した。Aが貸付金債権をDに対しても譲渡し,Cへは確定日付のない証書,Dへは確定日付のある証書によってBに通知した場合で,いずれの通知もBによる弁済前に到達したとき,Bへの通知の到達の先後にかかわらず、DがCに優先して権利を行使することができる。
(4)Aは,Bに対して貸付金債権を有しており,Aはこの貸付金債権をCに対して譲渡した。Aが貸付金債権をEに対しても譲渡し,Cへは令和2年10月10日付,Eへは同月9日付のそれぞれ確定日付のある証書によってBに通知した場合で,いずれの通知もBによる弁済前に到達したとき,Bへの通知の到達の先後にかかわらず,EがCに優先して権利を行使することができる。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。債権に譲渡禁止特約が付いている場合,この特約に違反してなされた債権譲渡は無効です。しかし,譲渡禁止特約について善意無重過失の第三者にはその無効を対抗することはできません。したがって,Bは,譲渡禁止特約について善意無過失のCに対して,債権譲渡が無効であると主張することができません。
(2)○正しい。債権譲渡は,譲渡人が債務者に通知するか,又は,債務者が承諾しなければ,債務者に対抗することができません。したがって,債権譲渡の通知は債権の譲渡人であるAが行わなければならず,譲受人であるCが債務者に対して通知をしたとしても,債務者Bの承諾がない以上,Cは,Bに対して自分が債権者であることを主張することができません。
(3)○正しい。債権が二重に譲渡された場合において,一方の譲渡の通知が確定日付のある証書によってなされ,他方の譲渡の通知が確定日付のない証書によってなされたとき,確定日付のある証書による通知が優先します。したがって,確定日付のある通知がなされているDがCに優先して権利を行使することができます。
(4)×誤り。Bへの通知が先に到達した方が優先します。債権が二重に譲渡された場合において,双方の譲渡の通知が確定日付のある証書によってなされたとき,譲受人相互間の優劣は,その通知が債務者に到達した日時の先後により決します。したがって,Bへの通知の到達の先後により,CとEの優劣が決することになります。

【No.143】

AがBに対して1000万円の代金債権を有しており,Aがこの代金債権をCに譲渡した場合における次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)AがBに対して1000万円の代金債権を有しており,Aがこの代金債権をCに譲渡した。AB間の代金債権には譲渡禁止特約があり,Cがその特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合には,Cはこの代金債権を取得することはできない。
(2)AがBに対して1000万円の代金債権を有しており,Aがこの代金債権をCに譲渡した。AがBに対して債権譲渡の通知をすれば,その譲渡通知が確定日付によるものでなくても,CはBに対して自らに弁済するように主張することができる。
(3)AがBに対して1000万円の代金債権を有しており,Aがこの代金債権をCに譲渡した。BがAに対して期限が到来した1000万円の貸金債権を有していても,AがBに対して確定日付のある譲渡通知をした場合には,BはCに譲渡された代金債権の請求に対して貸金債権による相殺を主張することができない。
(4)AがBに対して1000万円の代金債権を有しており,Aがこの代金債権をCに譲渡した。AがBに対する代金債権をDに対しても譲渡し,Cに対する債権譲渡もDに対する債権譲渡も確定日付のある証書でBに通知した場合には,CとDの優劣は,確定日付の先後ではなく,確定日付のある通知がBに到着した日時の先後で決まる。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。債権に譲渡禁止特約があっても,その特約は「善意の第三者」には対抗することができません。そして,重大な過失がある者は,悪意者と同様に扱うのが公平です。したがって,譲渡禁止特約の存在を知らないことにつき重大な過失があるCは,当該債権を取得することはできません。
(2)○正しい。債権譲渡の債務者に対する対抗要件については,譲渡人からの偵務者に対する通知があれば足り,確定日付のある証書による必要はありません。したがって,AがBに対して債権譲渡の通知をすれば,CはBに対して自らに弁済するように主張することができます。
(3)×誤り。債務者は通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた債権をもって譲受人に相殺を対抗できます。譲渡人が譲渡の通知をした場合は,債務者は,その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって,譲受人に対抗することができます。そして,債務者が通知を受けた当時,すでに弁済期の到来している反対債権を有していたならば,これを自働債権として譲受人に対し相殺を主張することができます。Bは,Aに対して期限の到来した貸金債権を有しているため,当該債権をもって,譲受人であるCに対し相殺を主張することができます。
(4)○正しい。債権が二重譲渡され,いずれの通知も確定日付のある証書でなされた場合,当該債権の譲受人の優劣は,通知が到達した日時の先後によって決します。

【No.144】

Aは,自己所有の甲土地の一部につき,通行目的で,隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約(地役権の付従性について別段の定めはない。)を,乙土地所有者Bと締結した。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
(1)Aは,自己所有の甲土地の一部につき,通行目的で,隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約を,乙土地所有者Bと締結した。この通行地役権の設定登記をしないまま,Aが,甲土地をCに譲渡し,所有権移転登記を経由した場合,Cは,通路として継続的に使用されていることが客観的に明らかであり,かつ,通行地役権があることを知っていたときでも,Bに対して,常にこの通行地役権を否定することができる。
(2)Aは,自己所有の甲土地の一部につき,通行目的で,隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約を,乙土地所有者Bと締結した。この通行地役権の設定登記を行った後,Bが,乙土地をDに譲渡し,乙土地の所有権移転登記を経由した場合,Dは,この通行地役権が自己に移転したことをAに対して主張できる。
(3)Aは,自己所有の甲土地の一部につき,通行目的で,隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約を,乙土地所有者Bと締結した。Bは,この通行地役権を,乙土地と分離して,単独で第三者に売却することができる。
(4)Aは,自己所有の甲土地の一部につき,通行目的で,隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約を,乙土地所有者Bと締結した。Bが,契約で認められた部分ではない甲土地の部分を,継続的に行使され,かつ,外形上認識することができる形で,乙土地の通行の便益のために利用していた場合で糺契約で認められていない部分については,通行地役権を時効取得することはできない。
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正解は(2)

【解説】
(1)×誤り。Cは原則として通行地役権を否定できません。通行地役権の承役地が譲渡された場合において,譲渡の時に,承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることが客観的に明らかであり,かつ,承役地の譲受人がそのことを認識していたか,又は認識することが可能であったときは,その譲受人は,特段の事情がない限り,当該通行地役権を否定することはできません。
(2)○正しい。要役地の所有権が移転したときは,設定行為に別段の定めがない限り,地役権も要役地と共に移転します。そして,所有権の移転を承役地の所有者に対抗することができるときは,これに伴う地役権の移転も登記がなくても対抗することができます。したがって,乙土地の所有権移転登記を経由したDは,地役権が移転したことをAに対して主張することができます。
(3)×誤り。通行地役権を分離して売却することはできません。地役権は要役地と分離して譲渡することはできません。
(4)×誤り。Bは通行地役権を時効取得できます。地役権は,契約による場合だけでなく,継続的に行使され,かつ,外形上認識することができるものに限り,時効によっても取得することができます。

【No.145】

相隣関係に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
(1)土地の所有者は,境界において障壁を修繕するために必要であれば,必要な範囲内で隣地の使用を請求することができる。
(2)複数の筆の他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は,公道に至るため,その土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。
(3)Aの隣地の竹木の枝が境界線を越えてもAは竹木所有者の承諾なくその枝を切ることはできないが,隣地の竹木の根が境界線を越えるときは,Aはその根を切り取ることができる。
(4)異なる慣習がある場合を除き,境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことができる窓を設ける者は,目隠しを付けなければならない。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。土地の所有者は,境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で隣地の使用を請求できます。したがって,障壁を修繕するために必要であれば,必要な範囲内で隣地の使用を請求できます。
(2)×誤り。他の土地を自由に選んで通行できるのではありません。公道に至るために他の土地を通行するには,通行権を有する者のために必要であり,かつ,他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければなりません。
(3)○正しい。土地の所有者は,隣地から竹木の枝が境界線を越えて伸びてきたとしても,自らこれを切り取ることはできず,竹木の所有者に切除させることができるにすぎません。これに対して,土地の所有者は,隣地から竹木の根が境界線を越えて伸びてきたときは,自らこれを切り取ることができます。
(4)○正しい。境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことができる窓又は縁側を設ける者は,目隠しを付けなければなりません。ただし,異なる慣習があるときは,その慣習に従います。
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