サイトアイコン Blog AtoZ

【塩害】とは?塩化物イオンの侵入で鉄筋がさびる劣化現象

塩害とは?

塩害は、塩化物イオンClがコンクリート中に侵入し、アノード(陽極)と カソード(陰極)が形成され、アノード部分で鋼材の不動態被膜が破壊され腐食を生じる現象です。

中性化も塩害も鉄筋の腐食で劣化が生じる

コンクリート構造物に、中性化や塩害を生じると、コンクリート内部の鉄筋を腐食させることで、劣化が生じます。そのため、無筋コンクリートで中性化や塩害が生じても、劣化は生じません。

中性化のメカニズム

  1. 大気中の二酸化炭素とコンクリート中の水酸化カルシウムが反応、炭酸カルシウムが生成
  2. コンクリートのpHが高アルカリ(水酸化カルシウム)から中性化(炭酸カルシウム)
  3. 鉄筋表面の不働態被膜が破壊(pHが下がるとさびやすくなる)

塩害のメカニズム

  1. 塩化物イオンがコンクリート内部に侵入
  2. 鉄筋表面の不動態被膜が破壊(塩化物イオンによりさびやすくなる)

※塩化物イオン=塩素イオン

塩害が生じやすい場所

塩化ナトリウム(いわゆる塩)は海水に含まれます。そのため、海岸近くでは飛来塩分により塩害が生じやすくなります。

塩化ナトリウムは、路面の凍結防止材として、塩化カルシウムは、融雪剤として広く用いられます。つまり、寒さの厳しい、内陸部の道路橋など、路面が凍結しやすい環境では、塩化ナトリウムや塩化カルシウムの散布により、塩害が生じやすくなります。

また、プールの塩素消毒で用いられるのは次亜塩素酸ナトリウム(いわゆる塩素消毒)で塩化物イオンを含むため、塩害を生じる恐れが高くなります。

鉄筋が腐食し始める塩化物イオンの量は、1.2kg/㎥とされています。

参考:土木学会コンクリート標準示方書

特徴

飛沫滞

塩害の化学式

コンクリート構造物に塩害が生じると、内部の鉄筋を腐食させます。この腐食反応はアソード(陽極)での酸化反応と、カソード(陰極)での還元反応により起こります。

アノード(陽極)=酸化反応

Fe→Fe2++2e

カソード(陰極)=還元反応

O2++2H2O+4e→4OH

腐食反応

Fe2++2OH→Fe(OH)2+【OH】→Fe(OH)3-【H2O】→FEOOH(赤さび)

塩化物イオンの測定

特定の位置の塩化物イオン量(濃度)を把握するために、コアからコンクリート試料を切り取る際は、乾式カッターを使用します。これは、熱による影響を避けるために水冷式のカッターを用いてしまうと、水溶性の塩化物イオンが溶出してしまうため、塩化物イオン量を精確に測定できなくなるからです。

全塩化物イオンと可溶性塩化物イオン

塩化物イオンを測定する際には、「全塩化物イオン」と「可溶性塩化物イオン」を意識して測定する必要があります。

全塩化物イオン

可溶性塩化物イオン

硬化コンクリート中の塩化物イオン量の測定方法

重量法

容積法

吸光光度法

電気化学的方法

モバイルバージョンを終了