疲労による劣化とは
繰り返し荷重の作用でコンクリート、鋼材が破壊することをいいます。
特徴
- 金属材料は疲労限度が存在し、ある応力以下で繰り返しによる破壊を生じない
- 金属材料は、ふしやきず等の局部応力が生じる箇所から疲労ひび割れが発生し破壊する
- コンクリートは水中において疲労強度が大きく低下する
累積損傷疲労度の計算
累積疲労損傷度M(ある応力を繰返し受けているコンクリートが、残りどれくらいの繰返し応力を受けると損傷するかを表す指標)を表す式は以下となります。
$$累積損傷疲労度M=∑i\frac{ni}{Ni}$$
累積損傷疲労度M=1.0で破壊を表します。
S1、S2は最大応力に対する応力の比
N1、N2は破壊までの繰返し回数
下図は、コンクリートの繰返し圧縮応力比Sと破壊に至るまでの繰返し回数Nの関係を表したS-N曲線です。下図の赤線は、Siでの応力をNi回加えたら破壊するという点を繋げた直線となっています。横軸は、対数表示となっていますので注意が必要です。
例えば、このコンクリートに応力比S1でn1回繰返し応力を加えた後、応力比S2で繰返し載荷をn2回行ったところで破壊したとします。その時の累積疲労損傷度をMとすると下式で表すことが出来ます。
$$M=\frac{n1}{N1}+\frac{n2}{N2}$$
問題例(2015年No.39)
鉄筋コンクリート鉄道橋において、線形累積損傷則(マイナー則)により疲労の照査を行った。その結果、引張鉄筋の累積疲労度Mが0.76に達していることが判明した。累積疲労度Mが1.0に達する時点として、次の(1)~(4)のうち、正しいものはどれか。
ただし、引張鉄筋には、152N/m㎡の最大引張応力度に等価な応力が毎月400回作用する。また、引張鉄筋の最大応力比と等価繰返し回数Nの関係は下図で表されるものとし、鉄筋の引張強度は400N/m㎡で、最大応力比Smaxは次式で表されるものとする。
最大応力比Smax(%)=(鉄筋の最大引張応力度)/(鉄筋の引張強度)×100
- 照査時点から15年後
- 照査時点から20年後
- 照査時点から25年後
- 照査時点から30年後
問題文から、すでに累積疲労度が0.76となっていることがわかりますので、1.0に達するまでの残りの累積疲労度は
1.0 – 0.76 = 0.24
次に、鉄筋には152N/m㎡の引張応力が繰返し加わるので、最大応力比を求めます。
152 / 400 = 0.38 = 38%
グラフから、応力比38%時の等価繰返し回数Nは、5×105です。
累積疲労損傷度の式は
$$累積損傷疲労度M=∑i\frac{ni}{Ni}$$
ですので、ここに、M=0.24、N=5×105を代入します。
繰返し回数nは、照査時点からの経過年数をX年とすると、n=400(回)×12(か月)×X(年)
つまり、0.24 = (400×12×X)/5×105
Xについて解くと、X=25(年)・・・答え(3)
となります。