コンクリートの内部探査の手法として、超音波などを用いた、弾性衝撃波法があります。
弾性波を用いてひび割れを測定する方法を以下に挙げます。
- 伝播時間測定
- 定周波数測定
- 位相反転法
- 振幅分布法
今回は、位相反転法について扱いたいと思います。
位相反転法
上図のように、発振子からの弾性波(縦波)は、ひび割れの先端部分で”回折”され、受振
弾性波は、回折する際に、波形の位相が変化する性質を持ちます。
特に、位相が反転する角度のことを「臨界角」と呼びます。コンクリートの臨界角は約90°です。
この性質を利用し、位相が反転する距離を測定し、下図のように直角三角形の長さの関係を用いて、ひび割れ深さを測定します。
角度θ<臨界角の場合:引張波
角度θ>臨界角の場合:圧縮波
過去問2018No.16
コンクリートに生じたひび割れの深さを超音波法により推定する方法に関する、次の記述中の(A)~(C)に当てはまる(1)~(4)の語句または式の組合せのうち、適当なものはどれか。
コンクリート中を伝播する弾性波がひび割れ先端部において(A)する現象を利用することで、ひび割れ深さを推定することができる。ひび割れ深さの推定方法には、弾性波の伝播時間を利用する方法と受信波の(B)に着目する方法の2種類がある。
後者の方法では、下図に示すように、発振子および受振子を等間隔でひび割れから遠ざけるように走査しながら測定する。(B)が初めて反転する直前の発振子と受振子の間隔をLとすると、ひび割れ深さは(C)として推定される。
(図省略)
(A) | (B) | (C) | |
---|---|---|---|
(1) | 反射 | 振幅 | L |
(2) | 回折 | 位相 | L |
(3) | 反射 | 振幅 | L/2 |
(4) | 回折 | 位相 | L/2 |
答え(4)