概要
自作ビールでは、モルト缶を用いて、10ℓ以上の発酵容器を使用することが一般的です。しかし、筆者は、もっと本格的なビール造りを短いスパンで楽しみたいという思いが強かったため、麦芽を原材料として、ペットボトルで発酵する方法を考案しました。
麦芽からビールを造る方法は、温度管理(インフュージョン法)に非常に手間が掛かるため、保温鍋を活用した手間が掛からない方法も考案しました。
このページでは、筆者が考案した麦芽から手軽にビールを造る方法をご紹介します。
材料と道具
材料
- 水:2ℓ
- 食用硫酸カルシウム:小さじ1
- 麦芽:350g
- ホップペレット:おおさじ2
- 精製カラギナン:みみかき1
- ビールイースト:小さじ1
道具
- 保温鍋(シャトルシェフ2.7ℓ)
- 2ℓペットボトル
- 温度計
- ざる
- 粉ふるい
- じょうご
- エアーキャップ
注意点
失敗しないためのコツは3つです。
- 道具を洗剤でしっかり洗う(殺菌)
- 水のpH(ペーハー)を調整する(弱酸性:5.5くらい)
- 温度管理をしっかり(麦芽は65℃以下)
【注意】日本国内で度数1%以上のお酒をつくることは、種税法違反になります。砂糖の量と発酵時間の管理を厳密に!
STEP1ー水のpH調整
保温鍋に水を入れます。
小さじ1程度の「硫酸カルシウム」を入れて、よくかき混ぜます。
pH試験紙で確認すると、5~6の間の黄緑色になったことがわかります。
【ここ重要!】pHを調整しないまま麦芽を入れると、麦芽のエグミ成分(タンニン)などが溶け出し、おいしくないビールになってしまいます。
STEP2ー50℃まで加熱
pH調整後の水を火にかけ、50℃になるまで加熱します。
【ここ重要!】温度管理は厳密に行ってください。例えば50℃の意味は「たんぱく休止」で、ビールのうまみにかかわってきます。
STEP3ー麦芽投入
350g測った麦芽(クラッシュグレイン)を鍋に入れます。
STEP4ープロテインレスト
鍋に入れたら30分間保温鍋で保温します。
STEP5ー63℃まで加熱
30分の保温後は、63℃まで温度を上げます。63℃の意味は、αアミラーゼとβアミラーゼという酵素を活性化させ、たんぱく質を糖へ分解させるためです。
STEP6ーデンプン糖化
63℃まで加熱したら、30分間保温鍋で保温します。
保温後、でんぷんが糖へ分解されたか、ヨードチンキで確認してみましょう。薬局で売ってます。(ヨードチンキは水で薄めてから使ってください。)
デンプンが残っていると、上の写真のように青紫色になります。
STEP7ー煮込み工程
デンプンが分解したら、ざるとふるいを使って煮込み液を濾します。
煮込み工程で、ホップペレットを投入します。お茶パックに入れてから投入すると、後で濾さずに済むので楽です。
沸騰直前にあくが大量に出るので、あくを取り除いてください。エグミのもとになります。その後、沸騰し始めたら15分間煮込んでください。30分以上煮込んだ方が良いというのが一般的ですが、私の経験上、15分間煮込めば十分にホップの苦み成分が抽出されます。
STEP8ー仕上げ工程
澄んだビールを造るため、精製カラギナンを投入します。
【ココ注意!】必ず水に溶かしてから精製カラギナンを投入します。また、みみかき1杯程度の量を守ってください。入れすぎると、煮込み液がすべてゼリー状になり、廃棄する羽目になります。
香り付け用のホップを投入します。煮込むと苦みは抽出されますが、香りは飛んでしまうため、仕上げ工程で香り付け用として追加します。
精製カラギナンと香り付け用のホップを投入したら、1分間だけ煮込みます。
煮込んだら、ホップを取り出します。
STEP9ー冷却工程
煮込んだ液を素早く冷やします。水を張り、鍋ごと投入する方法が簡単だと思います。15分ほどつけておけば、十分冷却されます。
STEP10ー一次発酵
ビールイーストは38℃以上で死滅してしまうといわれていますので、念のため温度を確認してください。私の経験上では、45℃でも問題なく発酵しましたが、保証はできません。
十分に冷却したら、ペットボトルへじょうごを使って移します。
ビールイーストを入れます。予備発酵をする必要はありません。そのまま容器の中へ入れます。ビールイーストの種類は豊富です。好きなものを選んでいろいろ試してみましょう。
最後に、空気中の雑菌が入らないように、エアーキャップをして作業完了です。
おまけー一次発酵の様子
ビールイーストは、発行開始から12時間は呼吸をしながら増殖し、その後4日までは、アルコールと炭酸を生成しながら増殖します。
発酵は約1週間で落ち着きます。
動画紹介
このページの内容を分かりやすくまとめた動画となります。ぜひご視聴とチャンネル登録をおねがいいたします!