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【一級土木施工管理技士の問題と解説】H30年問題A_Vol.1(コンクリート関連)

一級土木施工管理技士(コンクリート関連を詳しく) 問題と解説h30_A_Vol.1

【H30_学科A(コンクリート)_No1】

 コンクリート用骨材に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)アルカリシリカ反応を生じたコンクリートは特徴的なひび割れを生じるため、その対策としてアルカリシリカ反応性試験で区分A「無害」と判定される骨材を使用する。
(2)細骨材中に含まれる多孔質の粒子は、一般に密度が小さく骨材の吸水率が大きいため、コンクリートの耐凍害性を損なう原因となる。
(3)JISに規定される再生骨材Hは、通常の骨材とほぼ同様の品質を有しているため、レディーミクストコンクリート用骨材として使用することが可能である。
(4)砕砂に含まれる微粒分の石粉は、コンクリートの単位水量を増加させ、材料分離が顕著となるためできるだけ含まないようにする。
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正解(4)
(1)○です。アルカリシリカ反応は、アルカリ反応性骨材、アルカリ、水が存在する条件で発生します。まず、コンクリート中のアルカリ成分とアルカリ反応性骨材が化学反応することで、骨材の周りにアルカリシリカゲルが生成されます。

アルカリシリカゲルは、吸水すると膨張する性質を有しているため、その膨張作用により低鉄筋比の部材では、コンクリート表面に亀甲状のひび割れが発生したり、高鉄筋比の部材では主筋方向のひび割れや鉄筋の破断が発生します。

その対策としてアルカリシリカ反応性試験で区分A「無害」と判定される骨材を使用します。

(2)○です。細骨材中に含まれる多孔質の粒子は、一般に密度が小さく骨材の吸水率が大きいため、コンクリートの耐凍害性を損なう原因となります。粗骨材の吸水率は、5%以上になると凍害が生じやすくなります。
(3)○です。JISに規定される再生骨材Hは、通常の骨材とほぼ同様の品質を有しているため、レディーミクストコンクリート用骨材として使用することが可能です。M、Lは使用できません。
再生骨材H:コンクリート塊に対して、破砕、磨砕、分級など高度な処理を行う。
再生骨材M:コンクリート塊に対して、破砕、磨砕などの処理を行う。
再生骨材L:コンクリート塊に対して、破砕などの処理を行う。
(4)×です。砕砂に含まれる微粒分の石粉は、適度な粉末度、混入量であれば強度の増進やワーカビリティ―の改善効果があります。

【H30_学科A(コンクリート)_No2】

 コンクリート用混和材に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)フライアッシュを適切に用いると、コンクリートのワーカビリティーを改善し単位水量を減らすことができることや初期強度の増進などの効果がある。
(2)膨張材を適切に用いると、コンクリートの乾燥収縮や硬化収縮に起因するひび割れの発生を低減するなどの効果がある。
(3)高炉スラグ微粉末を適切に用いると、コンクリートの湿潤養生期間を短くすることができることや、コンクリートの長期強度の増進などの効果がある。
(4)石灰石微粉末を適切に用いると、ブリーディングの抑制やアルカリシリカ反応を抑制するなどの効果がある。
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正解(2)
(1)×です。フライアッシュは、可溶性の二酸化シリカがセメントの水和で生じた水酸化カルシウムと反応し、長期強度を発現させます。この反応による水和物が空隙を充てんするためコンクリートの組織が緻密化して、長期強度が増進されます。フライアッシュを適切に用いると、水和反応による発熱を抑えるなどの効果があります。初期強度の増進効果はありません。
(2)○です。膨張材は、コンクリートの収縮を膨張させることで相殺し、ひび割れを抑制する働きを持ちます。膨張材を適切に用いると、コンクリートの乾燥収縮や硬化収縮に起因するひび割れの発生を低減するなどの効果があります。
(3)×です。高炉スラグは、アルカリ環境(pH12以上)で、固溶されていた炭酸カルシウムなどが溶出し、それらが刺激剤となって、カルシウムシリケート水和物やカルシウムアルミネート水和物を生成して硬化します。高炉スラグ微粉末を適切に用いると、コンクリートの長期強度の増進などの効果がありますが、コンクリートの湿潤養生期間を短くすることはできません。
(4)×です。石灰石微粉末には、アルカリシリカ反応を抑制する効果はありません。石灰石微粉末を加えて、単位粉体量を増やすと、ブリーディングを減らす効果があります。

【H30_学科A(コンクリート)_No3】

 コンクリートの打込みに関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)コンクリートの1層当たりの打込み高さは、棒状バイブレータの振動部分の長さよりも大きくなるようにする。
(2)コンクリートを2層に打ち重ねる部位の締固めについて、下層側のコンクリートの過剰締固めを起こさぬようにするため、上層側のコンクリートの締固めでは、振動機を下層側のコンクリートに入らないようにする。
(3)コールドジョイントの発生を防止するため、壁とスラブの連続した部分のコンクリートを連続して打ち込むようにする。
(4)コンクリートを2層以上に分けて打ち込む場合、上層と下層が一体となるように施工し、コールドジョイントが発生しないよう外気温による許容打重ね時間間隔を定めるようにする。
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正解(2)
(1)×です。コンクリートの1層当たりの打込み高さは、棒状バイブレータの振動部分の長さよりも小さくし、打ち重ね前と後のコンクリートが振動により一体化されるようにします。
(2)×です。コンクリートを2層に打ち重ねる部位の締固めについて、下層側のコンクリートと上層側のコンクリートを一体化させるため、振動機を下層側のコンクリートに10cm程度入るようにします。
(3)×です。沈下ひび割れを防止するため、壁とスラブの連続した部分のコンクリートは、壁部分のコンクリートの沈下が落ち着いてからスラブの打込みを開始します。
(4)○です。コンクリートを2層以上に分けて打ち込む場合、上層と下層が一体となるように施工し、コールドジョイントが発生しないよう外気温による許容打重ね時間間隔を定めるようにします。

【H30_学科A(コンクリート)_No4】

 暑中コンクリートに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)暑中コンクリートでは、練上がり温度の10℃の上昇に対し、所要のスランプを得るための単位水量が2~5%増加する傾向にある。
(2)暑中コンクリートでは、練混ぜ後できるだけ早い時期に打ち込まなければならないことから、練混ぜ開始から打ち終わるまでの時間は、1.5時間以内を原則とする。
(3)暑中コンクリートは、最高気温が25℃を超える時期に施工することが想定される場合に適用される。
(4)暑中コンクリートは、運搬中のスランプの低下、連行空気量の減少、コールドジョイント発生防止のため打込み時のコンクリート温度の上限は35℃以下を標準としている。
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正解(3)
(1)○です。暑中コンクリートでは、練上がり温度の10℃の上昇に対し、所要のスランプを得るための単位水量が2~5%増加する傾向にあります。コンクリート温度が高くなると、スランプや空気量の経時変化も大きくなる傾向にあります。
(2)○です。暑中コンクリートでは、練混ぜ後できるだけ早い時期に打ち込まなければならないことから、練混ぜ開始から打ち終わるまでの時間は、1.5時間以内を原則とします。日平均気温が25℃未満の、通常のコンクリートは、2時間以内です。
(3)×です。暑中コンクリートは、日平均気温が25℃以上の時期に施工することが想定される場合に適用されます。
(4)○です。暑中コンクリートは、運搬中のスランプの低下、連行空気量の減少、コールドジョイント発生防止のため打込み時のコンクリート温度の上限は35℃以下を標準としています。

【H30_学科A(コンクリート)_No5】

 コンクリート構造物の温度ひび割れの抑制に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)マスコンクリートの養生では、コンクリート温度をできるだけ緩やかに外気温に近づけるようにし、必要以上の散水は避ける。
(2)コンクリートの練上がり温度を下げるためには、骨材の温度を下げるよりも、練混ぜ水の温度を下げる方が効果は大きい。
(3)マスコンクリートのパイプクーリングにおいて通水する水は、冷却効果を高めるためにできるだけ温度を下げておくことが望ましい。
(4)ひび割れ誘発目地を設ける場合は、目地部のひび割れ幅が過大とならぬよう、断面欠損率をできるだけ小さく設定することが望ましい。
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正解(1)
(1)○です。マスコンクリートの養生では、コンクリート内部の温度が高くなり、表面の温度との差が大きくなると温度応力による、温度ひび割れが発生しやすくなります。コンクリート温度をできるだけ緩やかに外気温に近づけるようにし、必要以上の散水は避けます。
(2)×です。コンクリートの練上がり温度を下げるためには、練混ぜ水の温度を下げるよりも、熱容量の大きい骨材の温度を下げる方が効果は大きいです。なお、セメントの加熱は行ってはなりません。
(3)×です。マスコンクリートのパイプクーリングにおいて通水する水は、温度を下げすぎると、コンクリートとパイプの温度差が大きくなり、温度ひび割れが発生します。
(4)×です。ひび割れ誘発目地を設ける場合は、目地部のひび割れ幅が過大とならぬよう、断面欠損率を25%程度以上とすることが望ましいです。
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