サイトアイコン Blog AtoZ

【一級土木施工管理技士の問題と解説】H29年問題A_Vol.1(コンクリート関連)

一級土木施工管理技士(コンクリート関連を詳しく) 問題と解説h29_A_Vol.1

【H29_学科A(コンクリート)_No1】

 コンクリートに使用する細骨材に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)JISに規定されている「コンクリート用スラグ骨材」に適合したスラグ細骨材は、ガラス質で粒の表面組織が滑らかであるため、天然産の細骨材よりも保水性が小さい。
(2)コンクリート表面がすりへり作用を受ける場合においては、受けない場合に比べて、細骨材に含まれる微粒分量を大きくする方がよい。
(3)アルカリシリカ反応に対して耐久的なコンクリートとするために、安定性損失質量の小さい細骨材を用いる方がよい。
(4)細骨材の骨材粒子が多孔質であると、これを用いたコンクリートの耐凍害性は向上する。
クリックで【H29_学科A(コンクリート)_No1】の解答と解説をみる
正解(1)
(1)○です。スラグ骨材には、ガラスの主成分と同じ、ケイ酸が含まれています。スラグ細骨材は、ガラス質で粒の表面組織が滑らかであるため、天然産の細骨材よりも保水性が小さいという特徴があります。
(2)×です。コンクリート表面がすりへり作用を受ける場合においては、受けない場合に比べて、細骨材に含まれる微粒分量を小さくする方がよいです。JISでは、すり減り作用を受ける場合は、微粒分量を3.0%以下、その他の場合は5.0%以下と規定されています。
(3)×です。安定性損失質量は凍結融解に対する安定性を示す指標です。JISでは、細骨材の安定性損失質量は10%以下であることと規定されています。アルカリシリカ反応に対しては、アルカリ反応試験で区分「A:無害」と判定される骨材を使用します。
(4)×です。細骨材の骨材粒子が多孔質であると、吸水率が高くなるため、これを用いたコンクリートの耐凍害性は低下します。JISでは、細骨材の吸水率は3.5%以下であることが規定されています。

【H29_学科A(コンクリート)_No2】

 コンクリート用混和材に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)ポゾラン活性が利用できる混和材には、フライアッシュがある。
(2)硬化過程において膨張を起こさせる混和材には、膨張材がある。
(3)潜在水硬性が利用できる混和材には、石灰石微粉末がある。
(4)オートクレーブ養生によって高強度を得る混和材には、けい酸質微粉末がある。
クリックで【H29_学科A(コンクリート)_No2】の解答と解説をみる
正解(3)
(1)○です。”ポゾラン”とは「火山灰やシリカを含んだ砂や粉」のことを差します。ポゾラン活性が利用できる混和材には、フライアッシュやシリカフュームがあります。
(2)○です。膨張材は、コンクリートの収縮を膨張させることで相殺し、ひび割れを抑制する働きを持ちます。膨張材は、炭酸カルシウム系とエトリンガイト系の2つがあります。どちらもフレッシュコンクリート中の水分との水和反応による膨張作用を利用しています。
(3)×です。潜在水硬性が利用できる混和材には、高炉スラグ微粉末があります。石灰石微粉末は、材料分離やブリーディングの抑制を目的に使用します。
(4)○です。オートクレーブ養生によって高強度を得る混和材には、けい酸質微粉末があります。オートクレーブは、高圧釜の意味で、オートクレーブ養生は、高温高圧蒸気環境で養生を行うことを言います。オートクレーブ養生を用いることで、コンクリート製品は、製造した翌日には28日強度を得ることができ、さらには常温では不活性なシリカが、カルシウムと結合することで、ケイ酸カルシウム水和物という強度の高い安定した反応物を生成するため、製造されたコンクリートは常温で養生された場合よりも高強度なものとなります。オートクレーブ養生を用いた製品として代表的なものとしてはPHC杭やALCがあります。

【H29_学科A(コンクリート)_No3】

 コンクリートの配合に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)締固め作業高さによる打込み最小スランプは、締固め作業高さが2mと0.5mでは、2mの方の値を小さく設定する。
(2)荷卸しの目標スランプは、打込みの最小スランプに対して、品質のばらつき、時間経過に伴うスランプの低下、ポンプ圧送に伴うスランプの低下を考慮して設定する。
(3)圧送において管内閉塞を生じることなく円滑な圧送を行うためには、できるだけ単位粉体量を減らす必要がある。
(4)高性能AE減水剤を用いたコンクリートは、水セメント比及びスランプが同じ通常のAE減水剤を用いたコンクリートに比較して、細骨材率を1~2%小さく設定する。
クリックで【H29_学科A(コンクリート)_No3】の解答と解説をみる
正解(2)
(1)×です。締固め作業高さが高くなると、締固めをしにくくなります。そのため、締固め作業高さが高い場合、流動性を高めるため、スランプ値は大きく設定します。
(2)○です。荷卸しの目標スランプは、打込みの最小スランプに対して、品質のばらつき、時間経過に伴うスランプの低下、ポンプ圧送に伴うスランプの低下を考慮して設定します。
(3)×です。圧送において管内閉塞を生じることなく円滑な圧送を行うためには、一定以上の単位粉体量を確保する必要があります。
(4)×です。高性能AE減水剤は、AE減水剤よりも減水性能が高い混和剤です。高性能AE減水剤を用いたコンクリートは、水セメント比及びスランプが同じ通常のAE減水剤を用いたコンクリートに比較して、細骨材率を1~2%大きく設定すると、良好な圧送性が得られることが多いです。一般に、細骨材率が大きい場合、細骨材を覆うセメントペースト量が増えるため、なめらかなコンクリートになることで、圧送性は高くなります。

【H29_学科A(コンクリート)_No4】

 暑中コンクリートに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)暑中コンクリートでは、練上がりコンクリートの温度を低くするために、なるべく低い温度の練混ぜ水を用いる。
(2)暑中コンクリートでは、練混ぜ後できるだけ早い時期に打ち込まなければならないことから、練混ぜ開始から打ち終わるまで1.5時間以内に行う。
(3)暑中コンクリートでは、練上がり温度が10℃上昇する場合、所要のスランプを得るために単位水量が2~5%増加する。
(4)暑中コンクリートでは、コールドジョイントの発生防止のため、減水剤、AE減水剤及び流動化剤については標準形のものを用いる。
クリックで【H29_学科A(コンクリート)_No4】の解答と解説をみる
正解(4)
(1)○です。暑中コンクリートでは、練上がりコンクリートの温度を低くするために、なるべく低い温度の練混ぜ水を用いるのが効果的です。
(2)○です。日平均気温が25℃を超える場合の、暑中コンクリートでは、練混ぜ後できるだけ早い時期に打ち込まなければならないことから、練混ぜ開始から打ち終わるまで1.5時間以内に行います。 日平均気温が25℃以下の場合は、練混ぜ開始から打ち終わるまで2時間以内に行います。
(3)○です。暑中コンクリートでは、練上がり温度が10℃上昇する場合、所要のスランプを得るために単位水量が2~5%増加します。
(4)×です。暑中コンクリートでは、コールドジョイントの発生防止のため、減水剤、AE減水剤及び流動化剤については遅延形のものを用います。遅延形には、遅延剤が添加されています。遅延剤は、グルコン酸や、クエン酸などの、オキシカルボン酸を主成分とし、セメント粒子の表面に吸着して、水とセメントの接触を一時的に遮断することによって、コンクリートの凝結を遅らせます。なお、遅延剤は長期的な水和反応は阻害せず、コンクリートの長期強度の発現への影響はほとんどありません。

【H29_学科A(コンクリート)_No5】

 コンクリートの締固めに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)呼び強度50以上の高強度コンクリートは、通常のコンクリートと比較して、粘性が高くバイブレータの振動が伝わりやすいので、締固め間隔を広げてもよい。
(2)コンクリートを打ち重ねる場合には、上層と下層が一体となるよう、棒状バイブレータを下層のコンクリート中に10cmほど挿入する。
(3)鉄筋のかぶり部分のかぶりコンクリートの締固めには、型枠バイブレータの使用が適している。
(4)再振動を行う場合には、 コンクリートの締固めが可能な範囲でできるだけ遅い時期がよい。
クリックで【H29_学科A(コンクリート)_No5】の解答と解説をみる
正解(1)
(1)×です。呼び強度50以上の高強度コンクリートは、通常のコンクリートと比較して、粘性が高くバイブレータの振動が伝わりにくいので、締固め時間やバイブレーターの挿入間隔を適切に定めなければなりません。
(2)○です。コンクリートを打ち重ねる場合には、上層と下層が一体となるよう、棒状バイブレータを下層のコンクリート中に10cmほど挿入します。
(3)○です。鉄筋のかぶり部分のかぶりコンクリートの締固めには、型枠バイブレータの使用が適しています。
(4)○です。再振動を行う場合には、ブリーディング水の表出や、コンクリートの沈降が落ち着いた後で、コンクリートの締固めが可能な範囲でできるだけ遅い時期がよいです。
モバイルバージョンを終了