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【コンクリート主任技士過去問解説】平成25年度No11~15

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【平成25年度―問題11】

 フレッシュコンクリートの試験に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)スランプ試験は、スランプが5~18cm程度のコンクリートのコンシステンシーを評価する試験として適している。
(2)振動台式コンシステンシー試験は、硬練りコンクリートのコンシステンシーを評価する試験として用いられ、振動に伴う変位量を測定する。
(3)高流動コンクリートの塑性粘度は、500mmフロー到達時間および漏斗の流下時間と関係があり、塑性粘度が高くなると、500mmフロー到達時間および漏斗の流下時間は長くなる。
(4)軟練りコンクリートの降伏値は、スランプおよびスランプフローと密接な関係があり、降伏値が大きくなると、スランプおよびスランプフローは小さくなる。
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正解(2)

(1)問題の通りです。コンシステンシーとは、”かたさ”や”粘度”などの意味で、フレッシュコンクリートの変形や流動に対する抵抗性のことを差します。
(2)誤りです。振動台コンシステンシー試験は、振動に伴う沈下量を測定します。
(3)問題の通りです。塑性粘性が高くなると、流体がドロドロした状態になります。そのため、コンクリートが横に広がるフロー時間、および、漏斗を流れ落ちる時間は、長くなります。
(4)問題の通りです。降伏値とは、ビンガム流体において、流動を開始する時の、応力の大きさを差します。降伏値が大きいほど、変形に対する抵抗性が大きい流体になります。つまり、降伏値が大きいほど、流動性の低いコンクリートで、スランプ、および、スランプフローは小さくなります。

【平成25年度―問題12】

 コンクリートの凝結に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか
(1)骨材中のフミン酸やタンニン酸などの有機不純物は、水酸化カルシウムと化合して有機酸石灰塩を生じるので、その量が多いと、コンクリートの凝結が妨げられる。
(2)海砂や海水中に含まれる塩化ナトリウムは、セメント粒子の表面に吸着することで水和反応を妨げ、コンクリートの凝結を遅らせる。
(3)超遅延剤は、亜硝酸化合物や硝酸化合物を主成分とし、セメント粒子の表面に吸着して、水とセメントの接触を一時的に遮断することによって、コンクリートの凝結を遅らせる。
(4)硬化促進剤は、オキシカルボン酸やけいフッ化物を主成分とし、セメントから溶出する水和生成物の形成を促進することによって、コンクリートの凝結を早める。
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正解(1)

(1)問題文の通りです。フミン酸やタンニン酸は、古代の植物が堆積してできた物質です。山や河川の骨材に含まれている場合があります。これらは、水酸化カルシウムと化合して、有機酸石灰エンを生じるので、コンクリートの凝結を妨げる作用があります。なお、遅延剤は、凝結を妨げるのではなく、遅らせる作用があります。遅延剤には、グルコン酸、クエン酸などの、オキシカルボン酸が用いられます。遅延剤は、セメントの表面に吸着し、水和による凝結を遅らせる作用があります。
(2)誤りです。炭酸塩や、硫酸塩、亜硝酸塩などの塩類は、凝結を早める作用があります。寒中コンクリートなどに使用される、凝結促進剤には、硝酸カルシウムや、亜硝酸カルシウムなどの塩類が添加されます。
(3)誤りです。炭酸塩や、硫酸塩、亜硝酸塩など、塩類は、凝結を早める作用があります。遅延剤には、グルコン酸や、クエン酸などの、オキシカルボン酸が用いられます。
(4)誤りです。凝結促進剤は、硝酸カルシウムや、亜硝酸カルシウムなどの塩類、凝結遅延剤には、オキシカルボン酸や、けいフッ化物が使用されます。凝結遅延剤には、オキシカルボン酸や、けいフッ化物を主成分とするものがあり、セメント粒子の表面に吸着して、水とセメントの接触を一時的に遮断することによって、コンクリートの凝結を遅らせる作用があります。

【平成25年度―問題13】

 コンクリートの空気量および空気泡に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)細骨のうち、0.3~0.6mmの割合が多いと空気泡は連行されやすく、0.15mm以下の部分が多いと空気泡は連行されにくい。
(2)エントレインドエアは、その径が25~250μm程度の微小な独立した空気泡で、耐凍害性を向上させるとともに、コンクリート中でボールベアリングのような働きをするため、ワーカビリティを改善させる。
(3)60N/mm2を超えるような高強度コンクリートでは、空気連行による減水効果より、強度低下の影響の方が大きくなるので、凍害の危険が小さい場合には目標空気量を小さく設定するのがよい。
(4)粗骨材の最大寸法を小さくすると、骨材の表面積が増し、流動性が低下するので、同じ流動性を得るためにモルタル量が増加し、空気量が増大する。
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正解(4)

(1)問題文の通りです。細骨材の、0.15~0.6mm程度の粒の多いものは、空気連行能力が大きく、0.15mm以下の微粒分が増すと空気連行性は低下します。また、細骨材率を大きくするほど、空気量は増加します。
(2)問題文の通りです。混和剤の効果により、コンクリート中に連行された気泡を、エントレインドエアといいます。形状は球状です。気泡の大きさは、50~500μmで、ピークは200μmです。また、施工過程において、コンクリート中に自然に混入する気泡をエントラップトエアといいます。形状は不規則です。気泡の大きさは、1~数mmで、比較的大きいです。
(3)問題文の通りです。普通コンクリートの空気量は、4.5%程度ですが、高強度コンクリートの空気量は、2~3%程度に設計する場合が多いです。 これは、空気量が1%多くなると、圧縮強度が4から6%低下するためです。
(4)誤りです。粗骨材の最大寸法が小さくなると、骨材の表面積が増し、流動性が低下するので、同じ流動性を得るためにモルタル量が増加します。モルタル量が増加した分、気泡間隔係数を、一定値以下にするため、空気量は多くなります。

【平成25年度―問題14】

 コンクリートの強度および弾性係数に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)直径が150mmで高さが300mmの円柱供試体と1辺が150mmの立方供試体の圧縮強度の試験値は、立方供試体の方が大きく、圧縮強度が大きくなるほど、その試験値の比は1に近づく。
(2)圧縮強度は、同一水セメント比の場合、粗骨材として川砂利を用いた場合より、粗な表面性状を有する砕石を用いた方が10~20%程度大きくなる。
(3)コンクリートの静弾性係数は、計測したコンクリートの応力―ひずみ関係において、最大荷重の1/3に相当する応力点と50×10-6のひずみが生じたときの応力点を結んだ直線の勾配で表される。
(4)コンクリートの応力―ひずみ関係において、接線弾性係数は、応力が大きくなるに従い大きな値となる。
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正解(4)

(1)問題文の通りです。JISコンクリートコア圧縮強度試験方法では、高さと、直径の比に対する補正係数を定めており、その使用条件も、補正後の圧縮強度のあたいが四十N/mm2以下に限定されています。しかし、高強度コンクリートのように、圧縮強度が増加すると、供試体の高さと、直径の比による影響は減少するとされています。
(2)問題文の通りです。圧縮強度の増加は、砕石のような、角ばった形状や、粗な表面形状が、モルタル部分と粗骨材の間の、ずれ変形に抵抗し、界面における付着破壊が生じにくくなるためと考えられています。一方、砕石の使用は、施工性の観点からは、ワーカビリティが低下するため、望ましくありません。
(3)問題文の通りです。
(4)接線弾性係数は、応力-ひずみ関係の傾きです。下図のように応力が大きくなるほど傾きは小さくなります。

【平成25年度―問題15】

 下図は、秋期に、膨張材を用いたコンクリートを厚さが50cmで高さが5mの壁に打ち込んだ場合の、中心のコンクリート温度と無応力状態におけるひずみを2年間計測した結果を模式的に示したものである。この図に示す(1)~(4)のうち、膨張材の効果が直線の傾きに影響を与えている部分を示すものとして、適当なものはどれか
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正解(1)

膨張材は硬化初期段階(材齢1日~7日)で膨張するため、長期における収縮を低減し、ひび割れを抑制します。

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