問題
アルカリシリカ反応が疑われるコンクリート構造物の調査項目と試験・分析方法に関する次の(1)~(4)の組合せのうち、適当なものはどれか。
調査項目 | 試験・分析方法 |
---|---|
(A)コンクリート中のアルカリ量 | (ア)蛍光X線分析 |
(B)骨材中の反応性鉱物の有無 | (イ)化学法(JIS A 1145:2007) |
(C)白色ゲル状物質の化学成分 | (ウ)ICP発光分析 |
(エ)偏光顕微鏡観察 |
選択肢
(A)コンクリート中のアルカリ量 | (B)骨材中の反応性鉱物の有無 | (C)白色ゲル状物質の化学成分 | |
(1) | (イ) | (ア) | (エ) |
(2) | (ア) | (ウ) | (イ) |
(3) | (エ) | (イ) | (ア) |
(4) | (ウ) | (エ) | (ア) |
正解は(2)です。
まず、アルカリシリカ反応は、調査項目の順番に反応が起こると考えてよいでしょう。
- (A)コンクリート中のアルカリが
- (B)骨材中の反応性骨材と反応し
- (C)アルカリシリカゲル(白色ゲル状)が生成される
※アルカリ骨材反応についての詳しい内容は、こちらを参照ください。
次に、試験・分析方法についてです。
蛍光X線法
XRF(X-Ray Fluorescence analysis)=蛍光X線分析法は、分析する試料にX線を照射して、試料に含まれる化学成分(元素)を分析する方法です。
調査項目(C)の分析に該当します。
蛍光X線法では、X線を照射された元素の内殻電子が励起され、不安定な状態になったのち、安定状態に戻るときにエネルギーを放出します。そのエネルギーは、それぞれの元素固有の波長を持ったX線として観測されます。観測されたX線から試料の含有元素を分析するということです。
化学法
化学法は、コンクリートの骨材のアルカリシリカ反応性を調べる試験です。
コンクリート試料の溶解シリカ量(Sc)とアルカリ濃度減少量(Rc)を化学分析によって求めます。詳しくはこちらのページを参照してください。
ICP発光分析
ICP=Inductively Coupled Plasma 誘導結合プラズマと訳さる場合もあります。高温(10000K)で高い電子密度を持つプラズマを生成し、このエネルギーにより試料を励起発光させます。液体の元素分析法として用いられています。
ppbからppmレベルの微量な金属の検出に用いられ、アルカリ量を測定する
調査項目(A)の分析に該当します。
偏光顕微鏡観察
光学顕微鏡の一種で、岩石や鉱物の観察に使用されます。肉眼では、通常の光学顕微鏡では、試料の偏光性は観察できません。
”偏光顕微鏡”は顕微鏡に特殊な偏光レンズを配置し、試料に偏光をあて、結晶などの複屈折物質により変化した偏光を観察します。
古くから鉱物や岩石の分析に用いられている方法です。
調査項目(B)の分析に該当します。
まとめ
蛍光X線分析法では同定(土の物質であるかを調べること)ができますが定量(物質の量はどれくらいか調べること)はできません。
ICP発光分析では、同定はできませんが定量ができます。
どの分析方法が適しているか、ひとつずつ覚えながら学習を進めていきましょう。