【診断士過去問】2016年No.16(蛍光X線法、ICP発光分析、偏光顕微鏡観察)

診断士
問題

アルカリシリカ反応が疑われるコンクリート構造物の調査項目と試験・分析方法に関する次の(1)~(4)の組合せのうち、適当なものはどれか。

調査項目 試験・分析方法
(A)コンクリート中のアルカリ量 (ア)蛍光X線分析
(B)骨材中の反応性鉱物の有無 (イ)化学法(JIS A 1145:2007)
(C)白色ゲル状物質の化学成分 (ウ)ICP発光分析
(エ)偏光顕微鏡観察
選択肢
(A)コンクリート中のアルカリ量 (B)骨材中の反応性鉱物の有無 (C)白色ゲル状物質の化学成分
(1) (イ) (ア) (エ)
(2) (ア) (ウ) (イ)
(3) (エ) (イ) (ア)
(4) (ウ) (エ) (ア)

正解は(2)です。

まず、アルカリシリカ反応は、調査項目の順番に反応が起こると考えてよいでしょう。

  1. (A)コンクリート中のアルカリが
  2. (B)骨材中の反応性骨材と反応し
  3. (C)アルカリシリカゲル(白色ゲル状)が生成される

※アルカリ骨材反応についての詳しい内容は、こちらを参照ください。

次に、試験・分析方法についてです。

蛍光X線法

XRF(X-Ray Fluorescence analysis)=蛍光X線分析法は、分析する試料にX線を照射して、試料に含まれる化学成分(元素)を分析する方法です。

調査項目(C)の分析に該当します。

蛍光X線法では、X線を照射された元素の内殻電子が励起され、不安定な状態になったのち、安定状態に戻るときにエネルギーを放出します。そのエネルギーは、それぞれの元素固有の波長を持ったX線として観測されます。観測されたX線から試料の含有元素を分析するということです。

化学法

化学法は、コンクリートの骨材のアルカリシリカ反応性を調べる試験です。

コンクリート試料の溶解シリカ量(Sc)とアルカリ濃度減少量(Rc)を化学分析によって求めます。詳しくはこちらのページを参照してください。

ICP発光分析

ICP=Inductively Coupled Plasma 誘導結合プラズマと訳さる場合もあります。高温(10000K)で高い電子密度を持つプラズマを生成し、このエネルギーにより試料を励起発光させます。液体の元素分析法として用いられています。

ppbからppmレベルの微量な金属の検出に用いられ、アルカリ量を測定する

調査項目(A)の分析に該当します。

偏光顕微鏡観察

光学顕微鏡の一種で、岩石や鉱物の観察に使用されます。肉眼では、通常の光学顕微鏡では、試料の偏光性は観察できません。

”偏光顕微鏡”は顕微鏡に特殊な偏光レンズを配置し、試料に偏光をあて、結晶などの複屈折物質により変化した偏光を観察します。

古くから鉱物や岩石の分析に用いられている方法です。

調査項目(B)の分析に該当します。

まとめ

蛍光X線分析法では同定(土の物質であるかを調べること)ができますが定量(物質の量はどれくらいか調べること)はできません。

ICP発光分析では、同定はできませんが定量ができます。

どの分析方法が適しているか、ひとつずつ覚えながら学習を進めていきましょう。

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