WES試験対策(1級) 問題と解説 No.86~90

WES(溶接)

WES試験対策(1級) 問題と解説 No.86~90

 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【No.86】 溶接継手の破壊

溶接継手の破壊に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)ぜい性破壊の特徴として、低温で生じやすく、発生すると急速に伝播することが挙げられる。
(2)ぜい性破壊の特徴として、高温で長時間、一定荷重に保持された場合に発生しやすいことが挙げられる。
(3)ぜい性破壊の特徴として、長時間の変動荷重下で発生しやすいことが挙げられる。
(4)ぜい性破壊の特徴として、大きな塑性変形を伴うことが挙げられる。
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誤っている選択肢は (2)、(3)、(4)

【解説】
(1)正しい。金属材料は温度が下がると延性が低下し、塑性変形をほとんど伴わずに破壊が進行します。また、ひとたびき裂が発生すると、塑性変形によるエネルギー吸収がほとんどないため、き裂が高速で伝播します。
(2)誤り。高温・長時間・時間依存は、クリープ破壊の特徴です。破面は粒界割れが多く、延性をある程度伴います。ボイラ、タービン、炉構造など高温機器で問題となります。
(3)誤り。長時間の変動荷重下で発生しやすいのは疲労破壊です。長時間の繰返し荷重(変動荷重) によって発生し、応力が材料の降伏強さ以下でも、繰返しによってき裂が徐々に進展し、破壊までに「潜伏期間」があり、最終的に急速破断に至ります。
(4)誤り。大きな塑性変形を伴うのは、延性破壊の特徴です。くびれや局所的な伸びが顕著で、破面はディンプル(微小な空孔の集合)が観察されます。

【No.87】 溶接継手の破壊

溶接継手の破壊に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)ぜい性破壊面の特徴として、粒上にキラキラとした光沢があることが挙げられる。
(2)延性破壊面の特徴として、破壊面は平坦で、光沢がほとんどないことが挙げられる。
(3)ぜい性破壊面の特徴として、シェブロンパターン(山形模様)がみられることが挙げられる。
(4)へき開破壊面の特徴として、ビーチマーク(貝殻模様)がみられることが挙げられる。
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誤っている選択肢は (4)

【解説】
(1)正しい。ぜい性破壊は、塑性変形をほとんど伴わず、結晶粒界やへき開面に沿って割れるため、破面は平坦で光を反射しやすく、粒状に「キラキラ」とした金属光沢を示します。
(2)正しい。延性破壊は、破面はディンプル状で凹凸が多く、光沢が少ない外観となります。
(3)正しい。シェブロンパターンは、ぜい性破壊面でよく観察される特徴のひとつです。山形模様の形状は、破面上に「V字」や「山形」の模様が現れます。模様の尖った部分(V字の先端)が、き裂の発生源を指し示します。
(4)誤り。ビーチマークは、疲労破壊でよく観察される特徴のひとつです。肉眼でも確認可能で、荷重の繰返しによるき裂進展の履歴を示します。航空機部材、橋梁、回転機械などの疲労破壊で問題になります。へき開破壊面の特徴としては、リバーパターン があり、顕微鏡レベルで、川が合流するような筋模様となり、流れが合流する方向にき裂が進展していることを示します。

【No.88】 溶接継手の破壊

溶接継手の破壊に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)ぜい性破壊が生じる負荷応力条件として、負荷応力が降伏応力以下では生じないことが挙げられる。
(2)ぜい性破壊が生じる負荷応力条件として、負荷応力が降伏応力以下でも生じることが挙げられる。
(3)ぜい性破壊が生じる負荷応力条件として、負荷応力が降伏応力に達したときに生じることが挙げられる。
(4)ぜい性破壊が生じる負荷応力条件として、負荷応力が引張応力に達したときに生じることが挙げられる。
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誤っている選択肢は (1)、(3)、(4)

【解説】
(1)誤り。ぜい性破壊は、負荷応力が降伏応力以下でも発生することが大きな特徴のひとつです。
(2)正しい。ぜい性破壊は、負荷応力が降伏応力以下でも発生することが大きな特徴のひとつです。
(3)誤り。ぜい性破壊は 負荷応力が降伏応力に達しなくても発生する ことが大きな特徴です。
(4)誤り。ぜい性破壊は 「負荷応力が引張強さ(引張応力)」に達しなくても発生する のが大きな特徴です。

【No.89】 溶接継手の破壊

溶接継手の破壊に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)ぜい性破壊源となりやすい溶接欠陥として、ポロシティが挙げられる。
(2)ぜい性破壊源となりやすい溶接欠陥として、溶接割れが挙げられる。
(3)ぜい性破壊源となりやすい溶接欠陥として、スラグ巻き込みが挙げられる。
(4)ぜい性破壊源となりやすい溶接欠陥として、未溶着部が挙げられる。
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誤っている選択肢は (3)

【解説】
(1)正しい。溶接継手部に生じる溶接欠陥には、ブローホール、ポロシティなどがありますが、溶接欠陥が溶接継手の静的強度に及ぼす影響は、一般に小さいと言われています。
(2)正しい。破壊起点を生成する要因の存在として、溶接欠陥、特に、溶接割れや、溶け込み不良のような平面状欠陥は、ぜい性破壊の起点となりやすいです。
(3)誤り。溶接継手部に生じる溶接欠陥には、ブローホール、スラグ巻込み、割れ、アンダカット、溶け込み不足がありますが、溶接欠陥が溶接継手の静的強度に及ぼす影響は、一般に小さいと言われています。
(4)正しい。破壊起点を生成する要因の存在として、溶接欠陥、特に、裏当て金などの未溶着部は脆性破壊の起点となりやすいです。

【No.90】 溶接継手の破壊

溶接継手の破壊に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)溶接継手が溶接線直角方向に負荷を受けるとき、ぜい性破壊強度を低下させる要因として、溶接線方向の引張残留応力が挙げられる。
(2)溶接継手が溶接線直角方向に負荷を受けるとき、ぜい性破壊強度を低下させる要因として、溶接線方向の圧縮残留応力が挙げられる。
(3)溶接継手が溶接線直角方向に負荷を受けるとき、ぜい性破壊強度を低下させる要因として、角変形が挙げられる。
(4)溶接継手が溶接線直角方向に負荷を受けるとき、ぜい性破壊強度を低下させる要因として、縦収縮が挙げられる。
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誤っている選択肢は (1)、(2)、(4)

【解説】
(1)誤り。溶接線方向の引張残留応力は、溶接線直角方向の負荷を受けるときのぜい性破壊強度を低下させる要因となりにくいです。
(2)誤り。溶接線方向の圧縮残留応力は、溶接線直角方向の負荷を受けるときのぜい性破壊強度を低下させる要因となりにくいです。
(3)正しい。角変形は、溶接を行ったことによって部材或いは構造物に生じる横曲がり変形のことです。溶接線と直角方向に負荷を受ける場合、角変形は、ぜい性破壊強度を低下させる要因となります。
(4)誤り。溶接により生じる溶接線方向の縮みを縦収縮と呼びます。縦収縮は溶接線直角方向の負荷を受けるときのぜい性破壊強度を低下させる要因となりにくいです。
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