WES試験対策(1級) 問題と解説 No.71~75

WES(溶接)

WES試験対策(1級) 問題と解説 No.71~75

 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【No.71】 レーザー溶接、切断

レーザー溶接、切断に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)レーザー光の特徴として、波長と位相がそろっていることが挙げられる。
(2)レーザー光の特徴として、波長とパルス周期がそろっていることが挙げられる。
(3)レーザー光の特徴として、白色性と集光性に優れていることが挙げられる。
(4)レーザー光の特徴として、集光性と指向性に優れていることが挙げられる。
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誤っている選択肢は (2)、(3)

【解説】
(1)正しい。レーザーは単色性(波長が揃っている)があり、媒質の特定のエネルギー準位差に対応する波長で発振するため、ほぼ一色の光を出します。また、コヒーレンス(位相が揃っている)があり、光波の山と谷が時間的にも空間的にも揃っているため、干渉性が非常に高いです。
(2)誤り。波長は光の色を決める物理的性質であり、パルス周期は発振方式の設定値です。両者は直接的に「揃う」ものではありません。
(3)誤り。白色性とは、多くの波長成分を含む光(太陽光や白熱電球の光)の性質を指します。レーザーはむしろその逆で、単色性(特定の波長に揃っている)に優れています。なお、レーザー光は指向性が高く、広がりにくいため、レンズで容易に一点に集められます。
(4)正しい。レーザー光はレンズで容易に一点に集められるため、集光性が高く、非常に高いエネルギー密度を得られます。レーザー光はほとんど広がらずに進むため、非常に高い指向性を持ちます。

【No.72】 レーザー溶接、切断

レーザー溶接、切断に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)鉄鋼材料に利用される主なレーザーとして、青色レーザー(波長445nm)が挙げられる。
(2)鉄鋼材料に利用される主なレーザーとして、ルビーレーザー(波長694nm)が挙げられる。
(3)鉄鋼材料に利用される主なレーザーとして、ファイバーレーザー(波長1.06μm)が挙げられる。
(4)鉄鋼材料に利用される主なレーザーとして、CO2レーザー(波長10.6μm)が挙げられる。
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誤っている選択肢は (1)、(2)

【解説】
(1)誤り。鉄鋼材料の加工において「主に利用されるレーザー」は青色レーザー(445nm)ではありません。青色レーザーはむしろ銅やアルミニウムなどの非鉄金属に適しており、鉄鋼材料では主流ではありません。
(2)誤り。ルビーレーザーは世界初のレーザーとして歴史的に重要ですが、鉄鋼加工の主流にはなっていません。
(3)正しい。ファイバーレーザーは、波長がおよそ 1060〜1080 nm(近赤外領域)で、鉄鋼は近赤外光をよく吸収するため、ファイバーレーザーは切断・溶接に適しています。現在の鉄鋼加工分野では、ファイバーレーザーが最も広く使われる主流技術になっています。
(4)正しい。鉄鋼材料の加工に利用される主なレーザーのひとつとして、CO₂レーザー(波長10.6 μm)が挙げられます。

【No.73】 レーザー溶接、切断

レーザー溶接、切断に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)レーザーの伝送に使用されるものとして、ミラーが挙げられる。
(2)レーザーの伝送に使用されるものとして、光ファイバーが挙げられる。
(3)レーザーの伝送に使用されるものとして、コンジットケーブルが挙げられる。
(4)レーザーの伝送に使用されるものとして、ノズルが挙げられる。
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誤っている選択肢は (3)、(4)

【解説】
(1)正しい。レーザーの伝送に使用されるものとして「ミラー」が挙げられます。特に高出力レーザー(CO₂レーザー)の場合、光ファイバーでの伝送が難しいため、反射ミラーを組み合わせてビームを誘導するのが一般的です。
(2)正しい。レーザーの伝送に使用されるものとして「光ファイバー」が挙げられます。特に近赤外領域のレーザー(ファイバーレーザーなど)では、光ファイバー伝送が主流です。光ファイバーはケーブル状なので、ロボットアームや複雑な加工機構に組み込みやすいという長所があります。
(3)誤り。コンジットケーブルは「レーザー光そのものを伝送するケーブル」ではなく、レーザー加工機において光ファイバーや電源線、制御線などを保護・誘導するためのケーブル保護管(フレキシブルコンジット)を指します。
(4)誤り。ノズルは「レーザー光そのものを伝送する部品」ではなく、レーザー加工において レーザービームをワークに導き、補助ガスを供給するための末端部品 として使用されます。

【No.74】 レーザー溶接、切断

レーザー溶接、切断に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)レーザー溶接の長所として、材料の種類や表面状態の影響を受けないことが挙げられる。
(2)レーザー溶接の長所として、エネルギー密度が低く、入熱が大きいことが挙げられる。
(3)レーザー溶接の長所として、熱影響部幅が狭く母材の劣化が少ないことが挙げられる。
(4)レーザー溶接の長所として、溶接ひずみや変形が少ないことが挙げられる。
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誤っている選択肢は (1)、(2)

【解説】
(1)誤り。レーザー溶接は「材料の種類や表面状態の影響を受けない」とまでは言えません。むしろ、材料特性や表面状態は溶接品質に大きく影響します。反射率の高いアルミニウムや銅はレーザーを反射しやすく、溶け込み不足や不安定な溶融池を生じやすいです。酸化皮膜、油分、汚れ、粗さはレーザー吸収率や溶融挙動に影響し、気孔や溶け込み不良の原因となります。
(2)誤り。レーザー溶接の長所は「エネルギー密度が非常に高く、入熱が小さい」ことです。むしろ「エネルギー密度が低く、入熱が大きい」のはアーク溶接など従来の熱源の特徴です。
(3)正しい。レーザー溶接の代表的な長所のひとつは、熱影響部(HAZ)が非常に狭く、母材の劣化や変形が少ないことです。レーザーは小さなスポットに高出力を集中できるため、必要な部分だけを急速に加熱します。また、入熱が局所的かつ短時間で済むため、母材全体に広く熱が伝わらず、冷却も速やかに進行します。
(4)正しい。レーザーは非常に小さなスポットにエネルギーを集中できるため、母材全体に広く熱を与える必要がありません。結果として、熱影響部(HAZ)が狭く、入熱量が少ないため、膨張・収縮による変形が小さくなります。

【No.75】 レーザー溶接、切断

レーザー溶接、切断に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)レーザー溶接の短所として、磁場の影響を受けやすいことが挙げられる。
(2)レーザー溶接の短所として、特別な安全対策が必要であることが挙げられる。
(3)レーザー溶接の短所として、高真空での施工が必要であることが挙げられる。
(4)レーザー溶接の短所として、開先の高精度な加工が必要であることが挙げられる。
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誤っている選択肢は (1)、(3)

【解説】
(1)誤り。レーザーは「光」であり,電磁波の一種ですが,電子やイオンの流れを直接利用していないため,外部磁場による影響をほとんど受けません。一方,アーク溶接や電子ビーム溶接は電流や電子の流れを利用するため,外部磁場の影響を受けやすく,アークの吹き飛びやビームの偏向が発生することがあります。
(2)正しい。レーザー溶接の短所のひとつに「特別な安全対策が必要であること」が挙げられます。 高出力レーザーは目や皮膚に深刻な損傷を与える可能性があり、反射光や散乱光も危険なため、従来のアーク溶接以上に厳格な安全管理が求められます。
(3)誤り。高真空環境を必要とするのは 電子ビーム溶接(EBW)であり、レーザー溶接は基本的に 大気中や保護ガス雰囲気で施工可能です。
(4)正しい。レーザーは直径 0.1〜0.6 mm 程度のスポットに集光されるため、わずかなギャップや段差でも溶け込み不足や欠陥につながります。熱源が局所的であるため、アーク溶接のように「多少の隙間を埋める」ことが難しいです。
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