WES試験対策(1級) 問題と解説 No.96~100
このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【No.96】 非破壊試験
非破壊試験に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)溶接部の非破壊試験に関して、外観試験の対象となる欠陥として、パス間の融合不良が挙げられる。
(2)溶接部の非破壊試験に関して、外観試験の対象となる欠陥として、アンダカットが挙げられる。
(3)溶接部の非破壊試験に関して、外観試験の対象となる欠陥として、目違いが挙げられる。
(4)溶接部の非破壊試験に関して、外観試験の対象となる欠陥として、ブローホールが挙げられる。
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誤っている選択肢は (1)、(4)
【解説】
(1)誤り。外観試験の対象欠陥として「パス間の融合不良」は基本的には挙げられません。理由は、パス間融合不良は多くの場合「内部欠陥」であり、肉眼では直接確認できないためです。ただし、融合不良が表面に開口している場合やビード形状に異常を伴う場合には、外観試験で兆候を検出できることがあります。
(2)正しい。アンダカットは外観試験の対象となる代表的な欠陥です。母材と溶接金属の境界に溝状のえぐれが生じるため、肉眼や拡大鏡で容易に確認でき、外観検査基準でも管理対象として明確に規定されています。
(3)正しい。目違い(ミスマッチ)は外観試験の対象欠陥として挙げられます。目違いは溶接部の寸法不良・形状不良に分類され、肉眼やゲージで直接確認できるため、外観試験で検出可能です。
(4)誤り。ブローホールは通常「内部欠陥」に分類されるため、外観試験の対象には基本的に挙げられません。ただし、表面に開口した場合は「ピット」と呼ばれ、外観試験で検出可能な欠陥となります。
【No.97】 非破壊試験
非破壊試験に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)溶接部の非破壊試験に関して、高張力鋼溶接部の磁粉探傷試験において、一般に用いられる磁化方法として、コイル法が挙げられる。
(2)溶接部の非破壊試験に関して、高張力鋼溶接部の磁粉探傷試験において、一般に用いられる磁化方法として、プロッド法が挙げられる。
(3)溶接部の非破壊試験に関して、高張力鋼溶接部の磁粉探傷試験において、一般に用いられる磁化方法として、極間法が挙げられる。
(4)溶接部の非破壊試験に関して、高張力鋼溶接部の磁粉探傷試験において、一般に用いられる磁化方法として、通電法が挙げられる。
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誤っている選択肢は (1)、(2)、(4)
【解説】
(1)誤り。コイル法は、パイプや棒鋼のような一定形状の長尺物を高速で検査する場合や、広い範囲を一括で磁化する場合に適しており、一般的な現場での高張力鋼溶接部の検査にはあまり用いられません。
(2)誤り。プロッド法は複雑な形状の溶接部や、表面下の欠陥を検出したい場合、または裏はつり面などの検査に用いられることがあります。ただし、電極接触部でのスパークや局部的な磁化による疑似模様が発生しやすいという欠点もあります。
(3)正しい。高張力鋼溶接部の磁粉探傷試験において最も一般的に用いられる方法は、極間法です。極間法が一般的な理由として、溶接部のような特定の限られた範囲の表面・表面直下の欠陥(特に割れ)を検査するのに適している点が挙げられます。
(4)誤り。通電法はコイル法と同じように、パイプや棒鋼のような一定形状の長尺物を高速で検査する場合や、広い範囲を一括で磁化する場合に適しており、一般的な現場での高張力鋼溶接部の検査にはあまり用いられません。
【No.98】 非破壊試験
非破壊試験に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)溶接部の非破壊試験に関して、鋼溶接部の磁粉探傷試験を実施する場合に、標準試験片を用いてあらかじめ把握しておく必要があるものとして、検出可能な割れの最小寸法が挙げられる。
(2)溶接部の非破壊試験に関して、鋼溶接部の磁粉探傷試験を実施する場合に、標準試験片を用いてあらかじめ把握しておく必要があるものとして、磁化力の強さが挙げられる。
(3)溶接部の非破壊試験に関して、鋼溶接部の磁粉探傷試験を実施する場合に、標準試験片を用いてあらかじめ把握しておく必要があるものとして、漏洩磁束密度の大きさが挙げられる。
(4)溶接部の非破壊試験に関して、鋼溶接部の磁粉探傷試験を実施する場合に、標準試験片を用いてあらかじめ把握しておく必要があるものとして、探傷有効範囲が挙げられる。
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誤っている選択肢は (2)、(3)、(4)
【解説】
(1)正しい。準試験片(対比試験片)には、人工的な欠陥(例えば、幅や深さが既知の溝など)が設けられています。この試験片を使って実際に探傷を行い、どの程度の大きさの欠陥までが明確に検出できるかを確認することで、その試験条件における「検出感度」や「検出可能な割れの最小寸法」を把握します。これは、設定した試験方法が要求される品質水準を満たしているかを保証するために不可欠です。
(2)誤り。磁化力の強さは、試験装置の設定(電流値や極間距離など)から計算や測定によって決定する操作変数であり、標準試験片で「把握」する対象ではありません。適切な磁化力を設定した上で、その結果としての感度を標準試験片で確認します。
(3)誤り。漏洩磁束密度は、欠陥部で実際に発生する物理量ですが、現場で直接的に精密測定して管理する項目ではありません。適切な磁化条件を設定し、標準試験片で感度を確認することで間接的に評価されます。
(4)誤り。探傷有効範囲は、使用する磁化装置(ハンドマグナの極間距離など)や磁化方法によって物理的に決まる範囲であり、標準試験片を用いて把握するものではありません。
【No.99】 非破壊試験
非破壊試験に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)溶接部の非破壊試験に関して、溶剤除去性染色浸透液を用いる浸透探傷試験において、浸透処理を行ったあと、表面の余分な浸透液を取り除くための適切な除去処理として、溶剤を試験体表面に塗布して、しばらく放置したあと試験体表面をふき取る方法がある。
(2)溶接部の非破壊試験に関して、溶剤除去性染色浸透液を用いる浸透探傷試験において、浸透処理を行ったあと、表面の余分な浸透液を取り除くための適切な除去処理として、溶剤スプレーを試験体表面に吹き付けたあと、すぐに試験体表面を乾燥させる方法がある。
(3)溶接部の非破壊試験に関して、溶剤除去性染色浸透液を用いる浸透探傷試験において、浸透処理を行ったあと、表面の余分な浸透液を取り除くための適切な除去処理として、試験体表面に溶剤の薄膜ができるようにして、すぐに試験体表面を乾燥させる方法がある。
(4)溶接部の非破壊試験に関して、溶剤除去性染色浸透液を用いる浸透探傷試験において、浸透処理を行ったあと、表面の余分な浸透液を取り除くための適切な除去処理として、溶剤をつけたウエスを用いて試験体表面をふき取る方法がある。
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誤っている選択肢は (1)、(2)、(3)
【解説】
(1)誤り。溶剤を放置することで溶剤が欠陥内に浸透し、中の浸透液を溶かして除去してしまう可能性があります。
(2)誤り。スプレーを直接吹きかけると、水洗性浸透液の場合と同様に、欠陥内部の浸透液まで洗い流してしまい、結果として欠陥を見逃す原因となります。これを「洗いすぎ」と呼びます。
(3)誤り。膜ができるほどの大量の溶剤を塗布すると、水洗性浸透液の場合と同様に、欠陥内部の浸透液まで洗い流してしまい、結果として欠陥を見逃す原因となります。これを「洗いすぎ」と呼びます。
(4)正しい。溶剤を含ませた(しかし、液が垂れない程度に絞った)清潔なウエスを使い、表面を優しく拭き取ります。これにより、表面の余剰液のみが除去され、欠陥内の浸透液は保持されます。
【No.100】 非破壊試験
非破壊試験に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)溶接部の非破壊試験に関して、磁粉探傷試験と比較して浸透探傷試験の利点として、表層部の欠陥も検出できる点が挙げられる。
(2)溶接部の非破壊試験に関して、磁粉探傷試験と比較して浸透探傷試験の利点として、非鉄金属にも適用できる点が挙げられる。
(3)溶接部の非破壊試験に関して、磁粉探傷試験と比較して浸透探傷試験の利点として、より繊細な欠陥が検出できる点が挙げられる。
(4)溶接部の非破壊試験に関して、磁粉探傷試験と比較して浸透探傷試験の利点として、線状欠陥の方向の影響を受けない点が挙げられる。
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誤っている選択肢は (1)、(3)
【解説】
(1)誤り。これは両方の試験に共通する点です。どちらも表面や表面直下の欠陥を検出対象としています。磁粉探傷試験は表面直下も検出できますが、浸透探傷試験は基本的に表面に開口している欠陥のみが対象です。
(2)正しい。浸透探傷試験は、原理的に表面に開口している欠陥であれば、材質(金属、非金属、磁性、非磁性問わず)を選ばずに適用できます。一方、磁粉探傷試験は、強磁性体(鉄鋼材料など)にしか適用できません。
(3)誤り。一般的に、磁粉探傷試験の方が微細な欠陥(特に幅の狭い割れ)に対して高い検出感度を持つとされています。
(4)正しい。浸透探傷試験は、欠陥がどの方向を向いていても、表面に開口していれば検出可能です。一方、磁粉探傷試験は、磁束線と欠陥の方向が直交に近いほど検出しやすくなるという方向性依存性があります。