【宅建過去問】権利関係ー売主の担保責任、民法No.41-45

宅建士
【No2-9】聞き流し_宅建過去問_一問一答_権利関係
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【No.41】

宅地建物取引業者でも事業者でもないAB間の不動産売買契約における売主Aの責任に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)宅地建物取引業者でも事業者でもないAB間の不動産売買契約における売主Aの責任に関して、売買契約に,隠れた瑕疵についてのAの瑕疵担保責任を全部免責する旨の特約が規定されていても、Aが知りながらBに告げなかった瑕疵については,Aは瑕疵担保責任を負わなければならない。
(2)宅地建物取引業者でも事業者でもないAB間の不動産売買契約における売主Aの責任に関して、Bが不動産に隠れた瑕疵があることを発見しても,当該瑕疵が売買契約をした目的を達成することができないとまではいえないような瑕疵である場合には,Aは瑕疵担保責任を負わない。
(3)宅地建物取引業者でも事業者でもないAB間の不動産売買契約における売主Aの責任に関して、Bが不動産に瑕疵があることを契約時に知っていた場合や,Bの過失により不動産に瑕疵があることに気付かず引渡しを受けてから瑕疵があることを知った場合には,Aは瑕疵担保責任を負わない。
(4)宅地建物取引業者でも事業者でもないAB間の不動産売買契約における売主Aの責任に関して、売買契約に,瑕疵担保責任を追及できる期間について特約を設けていない場合,Bが瑕疵担保責任を追及するときは,隠れた瑕疵があることを知ってから1年以内に行わなければならない。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。売主が瑕疵担保責任を負わないとする特約は有効です。しかし,売主が目的物に瑕疵があることを知りながら告げなかった事実については,担保責任を免れることはできません。
(2)×誤り。Aは瑕疵担保責任のうち,損害賠償責任は負います。売買の目的物に隠れた瑕疵があり,そのために契約の目的を達成することができないときは,買主は契約を解除することができます。したがって,目的物に瑕疵があった場合でも,そのために契約の目的を達成することができないとまではいえないときは,買主は契約を解除することはできません。しかし,あくまで契約の解除ができないのみであり,損害賠償請求をすることはできます。
(3)○正しい。買主が売主に対して瑕疵担保責任を追及するためには、目的物に瑕疵が存在することにつき善意無過失でなければなりません。
(4)○正しい。瑕疵担保責任の追及期間は,買主が瑕疵を知ったときから1年以内です。

【No.42】

Aを売主,Bを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された場合の売主の担保責任に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)Aを売主,Bを買主とする甲土地の売買契約が締結された場合の売主の担保責任に関して、Bが,甲土地がCの所有物であることを知りながら本件契約を締結した場合,Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができないときは,BはAに対して,損害賠償を請求することができない。
(2)Aを売主,Bを買主とする甲土地の売買契約が締結された場合の売主の担保責任に関して、Bが,甲土地がCの所有物であることを知りながら本件契約を締結した場合,Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができないときは,Bは,本件契約を解除することができる。
(3)Aを売主,Bを買主とする甲土地の売買契約が締結された場合の売主の担保責任に関して、Bが,A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合,当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失い損害を受けたとしても,BはAに対して,損害賠償を請求することができない。
(4)Aを売主,Bを買主とする甲土地の売買契約が締結された場合の売主の担保責任に関して、Bが,A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合,当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失ったときは,Bは,本件契約を解除することができる。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。他人物売買において,契約時にその権利が売主に属しないことを知っていたときは,損害の賠償を請求することができません。Bは甲土地がCの所有物であり、Aはその所有権を有しないことを知っていたので,損害賠償の請求をすることはできません。
(2)○正しい。他人物売買において,売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは,買主は,善意・悪意を問わず契約の解除をすることができます。
(3)×誤り。抵当権がある場合の売主の担保責任の追及においては善意、悪意は問いません。売買の目的である不動産について存した抵当権の行使により、買主がその所有権を失ったときは,買主は,善意、悪意を問わず、受けた損害の賠償を請求することができます。
(4)○正しい。売買の目的である不動産について存した抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは,買主は,善意、悪意を問わず契約の解除をすることができます。

【No.43】

Aは,中古自動車を売却するため,Bに売買の媒介を依頼し,報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。この場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
(1)Aは,中古自動車を売却するため,Bに売買の媒介を依頼し,報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。この場合、Bが報酬を得て売買の媒介を行っているので,CはAから当該自動車の引渡しを受ける前に,100万円をAに支払わなければならない。
(2)Aは,中古自動車を売却するため,Bに売買の媒介を依頼し,報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。この場合、当該自動車に隠れた瑕疵があった場合には,CはAに対しても,Bに対しても,瑕疵担保責任を追及することができる。
(3)Aは,中古自動車を売却するため,Bに売買の媒介を依頼し,報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。この場合、売買契約が締結された際に,Cが解約手付として手付金10万円をAに支払っている場合には,Aはいつでも20万円を償還して売買契約を解除することができる。
(4)Aは,中古自動車を売却するため,Bに売買の媒介を依頼し,報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。この場合、売買契約締結時には当該自動車がAの所有物ではなく,Aの父親の所有物であったとしても,AC間の売買契約は有効に成立する。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。売買契約は双務契約であり,目的物の引渡しと代金の支払いは同時に行うことが原則です。また,目的物の引渡し時期や代金の支払い時期は当事者の合意によって決めることもできます。いずれにしろ,報酬を得る者が媒介を行っているからといって,代金の支払いが先履行となるということはありません。CはAから当該自動車の引渡しを受ける前に100万円を支払う必要はありません。
(2)×誤り。瑕疵担保責任は売主の責任であり,媒介をする者は責任を負いません。目的物に隠れた瑕疵があった場合に生じる瑕疵担保責任は,売主の責任です。Bは媒介を行っているのであって売主ではありません。したがって,Cは,売主であるAに対して瑕疵担保責任の追及はできますが,Bに対して瑕疵担保責任を追及することはできません。
(3)×誤り。手付を交付したときは,当事者の一方が契約の履行に着手するまでは,買主はその手付を放棄し,売主はその倍額を償還して,契約の解除をすることができます。相手方が履行に着手した後は手付解除ができなくなります。Aはいつでも解除することができるわけではありません。
(4)○正しい。民法上,他人の物を売買契約の目的としても,売買契約は有効です。

【No.44】

AがBから建物所有の目的で土地を買い受ける契約をしたが,AB間に担保責任に関する特約はなかった。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
(1)AがBから建物所有の目的で土地を買い受ける契約をしたが,AB間に担保責任に関する特約はなかった。この土地がC所有であることをAが知って契約した場合でも,Bがこの土地をCから取得してAに移転できないときには,Aは,Bに対して契約を解除することができる。
(2)AがBから建物所有の目的で土地を買い受ける契約をしたが,AB間に担保責任に関する特約はなかった。この土地の8割の部分はBの所有であるが,2割の部分がDの所有である場合で,BがD所有の部分を取得してAに移転できないことをAが知って契約したときでも,Aは,Bに対して契約を解除することができる。
(3)AがBから建物所有の目的で土地を買い受ける契約をしたが,AB間に担保責任に関する特約はなかった。この土地が抵当権の目的とされており,その実行の結果Eが競落したとき,Aは,Bに対して契約を解除することができる。
(4)AがBから建物所有の目的で土地を買い受ける契約をしたが,AB間に担保責任に関する特約はなかった。この土地の8割が都市計画街路の区域内にあることが容易に分からない状況にあったため,Aがそのことを知らなかった場合で,このため契約の目的を達することができないとき,Aは,Bに対して契約を解除することができる。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。売買の目的物の全部が他人の物であった場合,買主は,そのことについて善意悪意にかかわらず,その売買契約を解除することができます。
(2)×誤り。Aは悪意の場合には,契約を解除できません。売買の目的物の一部が他人の物であった場合,買主はそのことにつき善意であり,かつ,残部のみでは買わなかったであろうというときでなければ,その売買契約を解除することはできません。
(3)○正しい。売買の目的物に抵当権が設定されており,その抵当権が実行された結果,買主が所有権を失った場合,買主は善意、悪意にかかわらず売買契約を解除することができます。
(4)○正しい。売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合には,善意無過失の買主は,損害賠償を請求することができ,さらに契約の目的が達成できない場合には,契約を解除することができます。そして,この瑕疵には物理的な瑕疵ばかりではなく,法律的な瑕疵も含まれます。売買の目的物である土地が都市計画街路の区域内にある場合には建築物の建築が規制されるため,法律上の瑕疵があるといえます。しかも、そのような区域にあることが容易に分からない状況にあったため,Aは善意無過失です。そして,Aは建物所有の目的で売買契約を締結しているため,契約の目的も達成できないことになります。したがって,Aは契約を解除することができます。

【No.45】

次の記述のうち,民法の規定及び下記判決文によれば,明らかに誤っているものはどれか。
(1)売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵があり、これを建て替えざるを得ない場合,買主は,工事施工者に対して損害賠償請求をすることができる。
(2)売買の目的物である新築建物に、建て替えざるを得ないような重大な隠れた瑕疵があって契約の目的を達成できない場合には,買主は売買契約を解除することができる。
(3)売買の目的物である新築建物に、建て替えざるを得ない重大な瑕疵があり,同建物が社会通念上、社会経済的な価値を有しないと評価すべきものである場合,当該建物が現実に倒壊していないのであれば,買主からの工事施工者に対する建て替え費用相当額の損害賠償請求において,買主の居住利益が損害額から控除される。
(4)売買の目的物である新築建物に建て替えざるを得ない重大な瑕疵があり,同建物が社会通念上、社会経済的な価値を有しないと評価すべきものである場合,買主が当該建物に居住したまま工事施工者に対して、建て替え費用相当額の損害賠償を請求しても,買主の居住利益が損害額から控除されることはない。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負います。新築建物の工事施工者は,建て替えざるを得ない重大な瑕疵のある建物を建て,これによって買主に損害を与えているため,買主は,不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。
(2)○正しい。売買の目的物に隠れた瑕疵があり,そのために契約をした目的を達することができないときは,買主は契約を解除することができます。
(3)×誤り。買主の居住利益は損害額から控除されません。売買の目的物である新築建物に建て替えざるを得ない重大な瑕疵があり,建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときは,買主からの工事施工者等に対する建替え費用相当額の損害賠償請求において,買主の居住利益は,損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として,損害額から控除することはできません。
(4)○正しい。売買の目的物である新築建物に建て替えざるを得ない重大な瑕疵があり,建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときは,買主からの工事施工者等に対する建替え費用相当額の損害賠償請求において,買主の居住利益は,損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として,損害額から控除することはできません。
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